第2話 《黄昏時の世界》

「この世界は現在、異世界に侵略されかけている」


 真面目な顔で荒唐無稽な話を切り出したのは、夢多き小学生ではなく、中二病真っ只中の中学生でもなく、ハジメよりも二回りは歳の離れた中年男性だった。


 ゴスロリ衣装のクラスメイトやその後輩であるアイドル少女と邂逅を果たした後、ハジメが置かれている状況を丁寧に説明してくれる人がいるというので、彼女たちと共にアジトへと向かった。


 河野古書店。それが辿り着いた先の古本屋の名前だった。


 一般的な学校の教室くらいはあろう店内は隙間なく古本が並べられ、本棚に入りきらなかった分は乱雑に平積みされている。棚と棚の間は驚くほど狭いためか、ゴスロリ少女のふわふわなスカートが本の上の埃を浚って行く惨状は、後ろから見ていて目を覆いたくなった。


 あまり清掃が行き届いていない、お世辞にも繁盛しているようには見えない古本屋。


 彼女たちが紹介したのは、そこの店主である河野という男性だった。


 葉月は彼に対してハジメが《新参者》であることを説明すると、ユノと一緒に店の奥へと行ってしまう。一人取り残されたハジメが右往左往していると、河野がパイプ椅子に座るよう勧めてきた。


 レジ台を挟んで河野と向かい合う。小学校の先生でも似合いそうな優しい顔してるなぁ、などと印象を受けたハジメだったのだが……。


 開口一番に放たれたのが先ほどの言葉だったので、ハジメは目を丸くしてしまった。


「え? 異世界って……えっ?」


「はっはっは。やっぱり驚くよね。最初ユノ君に説明した時も、君と同じような反応をしていたよ」


 顔に似合わず、河野は豪快に笑った。


 異世界云々は、ハジメが最初に捨てた可能性だ。とはいえ、まさか他人の口から出るとこんなに滑稽に聞こえるとは思わなかった。


「信じられないって顔をしているようだけど、君もすでに体験しているはずだ。変わり果てたこの世界を」


 彼の言う通り、ハジメはあの奇妙な世界を見て歩いて、さらに痛みで覚えてしまっている。今さら夢だったなんて思えるはずはなかった。


「あの世界は、いったい何なんですか? 本当に異世界だったんですか? しかも侵略されているって……」


「一から説明しよう」


 咳払いをした河野が、本当に教師の経験があるような丁寧な口調で話し始めた。


「まず君がいたのは異世界であって異世界ではない。とある異世界と我々が住むこの世界が混じり合った、まったく別の空間だと思ってほしい。こんな風に……」


 すると河野が真っ白な紙に一部が重なっている二つの大きな円を描いた。


 片方の世界には現実世界。もう片方に異世界。そして重なっている部分に《黄昏時の世界》と記述する。


「この《黄昏時の世界》というのは、我々が便宜上そう呼んでいるだけだ。他にも《逢魔が時》や《黄昏時》なんて呼ぶこともある」


 そう言って、河野は円の重なっている部分に斜線を入れた。


「獅子堂君が体験した世界は、まさにここさ」


「《黄昏時の世界》……」


 動揺していることを隠す気もなく、ハジメは食い入るように紙上を見下ろした。


 確かに誰もいなかったり何年も放置されたように荒廃していたが、自分が見知っている世界とほぼ同じ構造だった。異世界であって異世界というのは言い得て妙だろう。


「けど、誰でもその世界に入れるってわけじゃないんですよね? なんで俺がそんな別空間に飛ばされたりしたんですか? いや、よくある異世界転移ものの小説とかも、別に主人公じゃいけない理由なんてほとんどないですけど」


「うん。実を言うと、どういう人間が《黄昏時の世界》に入れるかは未だに判明していないんだ。君がどうして転移したのか、僕も知りたい」


「へ?」


 なんだかいきなり見放された気分だった。


 ただ、ちょっと誤解されちゃったかなと、河野は否定するように手を振る。


「《黄昏時の世界》については、まだ判ってないことが多いんだ。もちろんいろいろな推測が飛び交ってはいるけれど、それを証明するための根拠がない。だから獅子堂君には、僕の説明を聞いた後で先入観を持たない意見を言ってほしいんだよ」


 今日初めて《黄昏時の世界》に入ったハジメには、まったく知識がない。その状態から多少の説明を与えることで、新たな発見、違う見方が出てくるかもしれない。河野はそれに期待しているのだ。


 まあ、それくらいなら。と、ハジメは重々しく顎を引いた。


「……分かりました」


「ありがとう」


 自分の親とそうそう変わらない年齢の人からの素直な感謝に慣れていないのか、ハジメは照れ臭そうに頭を掻いた。


「ではまず確定していることから話そう。一度、《黄昏時の世界》に入った者は、これから毎日強制的に転移されてしまう。それを拒む方法は今のところ無い。転移する時間帯は固定で、夕方ごろから日没までの約一時間十五分。そして日没を迎えれば、自動的に元の世界へと戻って来れる。今の君みたいに」


「夕方……日没まで……」


 ハジメは自分が《黄昏時の世界》に転移したであろう状況を思い出していた。


 部活が終わり、帰宅途中に突然友人が姿を消した。それがだいたい午後五時五十分ごろ。そして今は六月。一年のうち一番日照時間が長い時期であり、日没時間は午後七時前後だろう。


 葉月たちに囲まれた時、辺りが暗くなるのと同時に急に雰囲気が変わった。あれは日没を迎え、元の世界へと戻ってきたことを示していたのだ。


「それは……冬だったら前倒しになるってことですか?」


「そうだね。例えば日没時間が午後五時だった場合、《黄昏時の世界》に転移するのは午後三時四十五分ごろということになる……はずなんだけど、これがちょっと厄介で、日照時間が短いと《黄昏時》の時間も短くなるんだ。だから《黄昏時の世界》へ転移する時間を正確に把握するのは難しい」


「つまり時間は固定されていないってことですか?」


「うん。元の世界に戻る時刻は日没で間違いないんだけどね。これはまだ仮説だけど、太陽の角度が関係しているんじゃないかというのが有力だ。だから《黄昏時の世界》にいられる時間は季節によって変わってくる」


 確かに地平線を基準とした太陽の角度ならば、日照時間の短い冬の方が早く沈む。その角度を割り出せているのかは、河野の話からでは判断できないが。


 とそこで、ハジメはあることに気づいた。


「ちょっと待ってください。太陽の角度だって言うんなら、日本だけじゃ……」


「その通り。《黄昏時の世界》に転移する現象は世界中で起きている。そして地域によっても滞在時間は異なるんだ。……あとさっきは強制的に転移させられると断言しちゃったけど、極端なことを言えば、常に西へ移動し続けていれば避けることもできる。もちろん、理論上の話だけどね」


 ハジメは戦慄していた。まさかこんな現象が世界中で起きているだなんて……。


 唖然としている途中、ハジメの耳に河野の最初の言葉が掠めた。


 この世界は現在、異世界に侵略され『かけて』いる、と。


「《黄昏時の世界》が最初に確認されたのは、今から約二十年前だったらしい。その時の滞在時間はわずか五分だったそうだ」


「二十年前は……五分……」


「時期に関係なく、《黄昏時》の時間は年々長くなっている。つまりこうやって、異世界と現実世界の重なり合う部分が多くなっていってるんだ」


 そう言って、河野は紙に描かれている円が徐々に重なっていくような演出をした。


 あまりにファンタジックな話を一気に詰め込まれ、ハジメは頭を抱えてしまう。


 現実世界と異世界が重なり合い、夕刻だけ別空間が出現する。今まで普通に生活していたハジメは、何故かその空間へと転移されるようになった。そして現在、別空間が存在する時間が徐々に長くなっている。


 では、二つの世界が完全に重なり合ったらどうなるのだろう。言葉通り、この世界は異世界に侵略されてしまうのだろうか?


 質問しようとしたが、答えが返ってこないのは明白だったのでやめた。その時が来てみないと判明しないに違いない。


 代わりに、先ほど体験した中で未だ不明な点を問いただした。


「あのキョンシーみたいな怪物は何だったんですか?」


「キョンシー? 《逢魔》のことかな。現実世界から君たちが《黄昏時の世界》へ転移させられるように、異世界からもモンスターのような生物が入れるんじゃないかと推測されているんだけど……生態などはまだよく分かっていない。……ああ、それと、すまない。偉そうなこと言ってて申し訳ないんだけど、実は僕は君たち《黄昏ヒーローズ》と違って《黄昏時の世界》には入れないんだ。写真では確認しているけど、《逢魔》を生で見たことがない」


「《黄昏ヒーローズ》?」


「《黄昏時の世界》に入れる人のことだ。葉月君やユノ君や君のことを言う。僕は世界中に点在している《黄昏ヒーローズ》の組織との情報交換など、パイプ役を担っているのさ」


 つまり《黄昏時の世界》に転移する人間は世界中にいて、毎日のように《逢魔》と呼ばれる怪物と戦っているということだ。


「その、言いにくいんですが……《黄昏時の世界》にも入れないのに、河野さんはよく異世界の存在を信じましたね。実体験した俺でも未だ信じきれていないのに」


「今はスマホでも簡単に写真や動画が撮れるから、信じるまでそう時間はかからなかったよ。それに《黄昏ヒーローズ》が一瞬で消えて、日没後に戻ってくる瞬間も目の当たりにしたからね」


 なるほど。《黄昏時の世界》にいる時は、この世界から存在が消えるのか。


 すると河野が指を二本立て、ハジメの前に提示した。


「僕から君に与えられる選択肢は二つだ。毎日訪れる《黄昏時》の時間はずっとどこかで隠れているか、それとも《逢魔》と戦う道を選ぶか」


 葉月が地獄といった意味が理解できたような気がする。


 先ほど体験した世界が、明日から毎日のようにやって来るのだ。あの怪物たちに襲われる世界が……。


「その《逢魔》と戦う意味って何ですか? 全滅させれば解決するんですか?」


「いいや、それは何も分からない。意味が無いかもしれないし、倒し続けることで事態が好転するかもしれない。ただ野放しにされている地域では、次第に数が増えていくという報告も上がっているからね。他の《ヒーローズ》の安全のためにも、できるだけ駆逐した方がいい」


「でも、俺に戦う力なんて……」


「そこは悲観するところではないわ」


 女の子の声。


 見れば、店の奥からセーラー服に着替えた葉月とユノが戻ってきた。こうして見ると、やはり普段から見慣れているクラスメイトだ。


「私もユノも、最初は無理だと思った。でも今は普通に戦えてる。あの世界の中では、それだけの力が湧いてくるのよ」


「俺にもその力があるっていうのか?」


「たぶんね。実際に《黄昏時の世界》にいなきゃ説明しにくいけど」


「…………」


 ハジメは自らの手の平を見下ろした。


 果たして自分は、あのキョンシーみたいな怪物と戦えるのか?


「もちろん、気が変わったのならいつ逃げ隠れしても構わない。でも、僕としては彼女たちと一緒に戦ってほしい。実際、《黄昏時の世界》への転移は何の前触れもなくやって来るから、訳も分からず《逢魔》に襲われて死んでいく人も多い。今度は君がその人たちを助ける番だ」


 その通りだ。あの時、葉月が助けに入ってくれなければ間違いなく死んでいた。


「こう言うのは卑怯かもしれないけど、君の人生は今日、大きな転換期を迎えた。これから普通の人生を送ることは叶わない。だからこそ、君や他の《ヒーローズ》が報われるためにも協力してくれないか?」


 普通の人生が送れないと耳にし、ハジメの方が大きく揺れた。


 当たり前だ。日没一時間前なら部活中に差し掛かることだってあるし、社会人になって働きに出れば日没時間など関係ない。夕方、毎日のようにいなくなる社員を誰が雇うというのか。


 突然降りかかった不幸に嘆きながらも、ハジメは覚悟を決めた。


「……分かりました。やるだけやってみます」


「ありがとう」


 ハジメの返事を聞いた河野は、レジ台に額が触れるほど深く頭を下げた。


 その横で、話を聞いていた女子二人が各々の感想を漏らす。


「あーん、私と先輩の二人だけの時間がぁ。蜜月がぁ」


「何言ってるの。戦える人材が増えるに越したことはないでしょ」


 露骨に落胆するユノを、葉月が優しく窘めた。


 そうだ。《逢魔》と戦うということは、先輩である彼女たちに師事するということだ。女子二人相手というのは少々やりにくいかもしれないが、仲良くしなくてはならないだろう。


「ああ、そうだ。獅子堂君にこれを渡そう」


 そう言って河野が引き出しから取り出したのは、簡素なデジタル時計だった。


 どこかで見たことある。確か、葉月とユノが身に着けていたものだ。


「中にGPSが組み込まれててね、現在位置の正確な日没時間が分かるようになってるんだ」


「日没の時間を知って何か意味があるんですか? 《黄昏時の世界》に転移する正確な時間なら知りたくはありますけど」


「例えば、高層ビルの落下中に日没を迎えたらどうなると思う?」


 少しだけ考えたが、一度もビルから飛び降りたことのないハジメにとってはイメージがしにくかった。


「鍛えられた《ヒーローズ》なら容易に着地できるだろう。しかしこの世界の生身の身体能力だったら、確実に死んでしまう。だから日没五分前はなるべく危険を冒さないことだ」


「あっ」


 先ほどのやり取りを思い出し、ハジメの顔から血の気が引いた。


 ユノの治療魔法で右手が完治した瞬間、日没が訪れた。もし彼女の到着があと数分遅かったら……?


「獅子堂君の右手は切断されたままだったでしょうね」


 葉月が答える。


 元の世界に戻る前に、《黄昏時の世界》で受けたダメージはしっかり魔法で完治させておかなければならない。この世界では、即座に傷を治す方法はないのだから。


 つまり《逢魔》との戦いは本当に死と隣り合わせなのである。ついさっきした覚悟が、すでに揺らぎそうだった。


「それじゃあ今日はもう遅いから、君たちはまっすぐ家に帰るように。獅子堂君。また明日、学校が終わったらここへ来てくれ。続きはその時にしよう」


「……分かりました」


「ああ、そうだった。一つ君に訊くのを忘れていた」


「?」


 首を傾げると、河野は興味津々な笑みを浮かべながら顔を近づけてきた。


「どうして世界は君を選んだんだと思う?」


「それは……俺が《黄昏時の世界》に転移するようになった理由ですか?」


「そうだ」


 正直言って、これだけの情報じゃ何も分からなかった。


 だが河野は先入観の無い意見が聞きたいと言っていた。おそらくこの問いに正解は無い。ならば返答は、正直な感想や思い付きで構わないのだろう。


 少し考えた後、ハジメは自分の考えを口にした。


「えっと……《黄昏ヒーローズ》って、人数はそんなにいないんですよね?」


「うん。人口比に対してかなり少ないと思う」


「もしかしたら侵略してきている異世界と何か関わりがある人間なのかもしれません。いや、俺自身そんな自覚は無いですけど」


「ほう。例えば?」


「例えとかまでは考えてないんですが……」


「なるほどね」


 河野が納得したようにうんうんと頷いた。


 こんな曖昧な答えでよかったのかなと、ハジメは少し歯痒くなった。


「それで、正解は何ですか?」


「正解なんてものは存在しないよ。あるのは予想、あるいは妄想の類だ。だからこれはある種の課題のようなものだ。どんな人間が転移されるのかあらかじめ判っていれば、いくらでも対処できる。獅子堂君は、自分が選ばれた理由を常に考えててほしい」


「はあ……」


 気が抜けたように嘆息すると、河野は得意げに笑ったのだった。






「それっでは葉月先輩、おつかれさまでした~」


「はい、お疲れ様。気をつけてね」


 河野古書店の店前で別れの挨拶を交わすと、三日月ユノはダッシュで帰っていった。終始ハイテンションな娘だった。


 呆れ混じりの苦笑いを浮かべて彼女の背中を見送った葉月が、ハジメの方へと振り返る。


「獅子堂君。さっきは河野さんの前だったから戦力は増えるに越したことはないって言ったけど、無理して戦う必要はないわよ。屋内で息を潜めて隠れていれば、まず《逢魔》に見つかることはないでしょうから」


「いや、やれるだけのことはやるつもりだよ。危なくなったらそれも視野に入れるけど」


「そう……」


 嘆息した葉月が視線を伏せる。


 残念そうに漏らしたため息はハジメが加入することを嫌がっているわけではなく、まるで彼の身を案じているようにも感じられた。突き放した話し方が多かったものの、本当は優しい心の持ち主なのかもしれない。


「なあ、竜宮。一つ訊いていいか?」


「なに? 《黄昏時の世界》のことなら何を話すにしても長くなりそうだから、明日に回したいのだけれど」


「そんな長くはならないよ。河野さんの最後の質問だけど……竜宮はどう思う? なんで自分が《黄昏ヒーローズ》に選ばれたんだと思う?」


「それ、私に訊いちゃったら河野さんの意に反するんじゃない?」


「そうだけど、俺はまだ自分の考えを持ち合わせていないからな。参考までにと思って」


「…………」


 彼女は目を細める。


 しばらく考え込んだ後、仕方なくと言った感じで口を開いた。


「私は……生まれ変わりだと思う」


「生まれ変わり?」


「異世界で亡くなった人が、何らかの理由でこの世界の人間として転生した。だから二つの世界が混じり合う《黄昏時の世界》なんていう奇妙な空間に入れるのだと、私は思ってる」


「転生した異世界人が俺たち、ってことか」


 転生が本当に可能かどうかは別として、《黄昏ヒーローズ》が少数だということを加味しても筋は通っていると思った。ハジメ自身まったく心当たりがないのだから、何か対外的な理由があっても不思議ではない。


「えっと……申し訳ないけど、真に受けないでね。私自身、信じてないから」


「えぇ……」


 自分の意見を信じていないとは、これ如何に。


 と、今日の話はここまでと言わんばかりに、葉月が踵を返した。


「ともかく、明日の《黄昏時》から一緒に戦うわけだけど……学校ではあまり馴れ馴れしく話しかけてこないでね。今まで通り、普通のクラスメイトとして接して」


「なんで?」


「あなたが困るだろうから忠告しただけよ」


「???」


 よく意味が理解できず、ハジメは首を捻る。


 葉月と同じクラスになってからこの二ヶ月、確かに彼女とは一言二言くらいしか会話したことがない。しかしだからといって、会話数が増えたところで何が困るというのだろうか。


「ああ、それと。私があんなひらひらなゴスロリ衣装を着てたって誰かに言いふらしたら……その時は殺すから」


 最後の一言は冗談ではなさそうだった。


 肝を冷やしたハジメは、命乞いのように何度も頷く。


 すると葉月は別れの言葉を交わすでもなく、さっさと帰宅していってしまった。


「あの衣装、好き好んで着てたわけじゃなかったのか……」


 女子の考えていることはいまいち分らん。とでも言いたげに、ハジメは葉月の背中を見送りながらポツリとぼやいたのだった。

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