運動会 その伍 お弁当
「それでは、休憩です。お昼ご飯を召し上がってください」
アナウンスがなって、選手たちは次々と親を探し始めた。
「さてと、俺も食べに行くか………」
まじで疲れた、おなかすいた。
俺が立ち上がった時。
「ねえねえ神宮くん、湖羽、五十嵐くん!」
如月さんに呼び止められ、親のところに行きかけていた俺たちは足を止めて如月さんのほうを振り向いた。
「みんなでお弁当食べようよ!あ、柚葉ちゃんも一緒でいいよ?」
お弁当、か。
もちろんうれしいし、いいんだが……
「本当ですか!?如月先輩、お兄ちゃん、私もいれてくれないかな?」
「もちろん!柚葉ちゃんもいーよっ!」
あーなんか、これ、断っちゃいけない、ていうかもう決定してないか?
「じゃあ決まり!」
ほら、如月さんが勝手に決めてるよ。
「如月さん、俺もいれてくれないかな?」
「私も一緒に食べたい!お願い!」
クラスメイトの如月さんファン・枝豆さんファンが押し寄せる。
「だめ!むり!」
如月さん、塩対応だな。
手でばってんをつくって、クラスメイトを追い払った。
クラスメイトはあきらめて退散しながらも、俺のほうを「覚えとけよ」とでも言いたげに見ていた。多分翔のほうも。
「さあさあ、行こ♪」
如月さんはルンルンとスキップをしながら歩き出す。
俺たちはとりあえずついていった。
「ここ……で食べるの?」
「そだよ♪」
ついた場所は、大きなケヤキの木の下。
木の下は日陰になっていて、涼しかった。
「お弁当もってきて!私レジャーシートもってるから!」
俺たちは一瞬動揺したが、如月さんがせかしてくるのでそれぞれ親のところへと急いだ。
「ねえお兄ちゃん、如月先輩っていつもあんな感じなの?」
「うーんとねー」
柚葉に「俺にだけだよ?」なんて言ったらキモがられるだけだよな。
だから俺はごまかしておいた。
「あ!玲、柚葉!」
手を振っている両親が見えた。
俺と柚葉はそこに走ってついた。
「あのねお母さん、今日は友達たちと食べたいんだけど……」
「あら、そう?じゃあ、これを持っていきなさい」
お母さんはお弁当を渡してくれた。あと水筒と冷えピタも。
「ありがとう!行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
俺たちはケヤキ目指して走り出した。
お母さんとお父さんが少し悲しそうな顔をしていたことが、少し罪悪感を感じさせた。
「如月先輩!持ってきました!」
如月さんはもうレジャーシートもお弁当も水筒も広げていて、もう準備完了だった。
その後、翔と枝豆さんもついて、お弁当をそれぞれ広げる。
「じゃあ、いただきます!」
「「「「いただきます!!」」」」
そうして、俺たちはお弁当を食べ始めた。
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