運動会 その壱
「それではこれから、花鳥中学校、運動会を始めます」
マイクで音が大きくなったアナウンス。
今日は運動会の日なのだ。
「はあー……」
俺は深くため息をつく。
マジで、応援団長とか、やだ。目立つし。
「玲ーっ、柚葉ーっ、頑張ってー!」
母さんの声。
応援席を見れば、父さんと母さんがいた。
はあ……親バカかよ!!
「お母さん、お父さん………はあ」
俺の近くまでやってきて、ため息をついたのは柚葉。
黒髪ポニテで、長いポニテがゆらゆらと歩くたびに揺れている。
ぱっちりとした瞳と純粋さで、学校でも人気だ。
如月さんほどじゃないけど……
こんなにかわいい女子が、本当に俺の妹か?と疑わしくなってしまう。
「親バカなの……」
あ、うん似てるわ。俺の妹だわ。
「お兄ちゃーん、応援団長本当にやれるの?」
柚葉、嫌味だな。
「別にやれるし」
「ふーん。が、頑張ってね!」
ピューンと走り去ってしまう柚葉。
……一体なんなんだ?
「あー!妹ちゃん行っちゃった〜」
嘆きながら走ってきたのは如月さんだった。
「柚葉に用事でもあった?」
「あ、ううん、なんでも」
急に慌て出す如月さんをみて、俺は首を傾げた。
「そろそろ選手の皆さんは、入場門に集まってきてください」
アナウンスがそう告げるなり、如月さんは俺を後ろから押した。
「如月さん?」
「ほら、行かないと!ね?」
「う、うん……」
そのまま俺と如月さんは入場門に向かった。
「それでは選手入場」
ピーッピ!ピッピ!ピッピ!
先生の笛のリズムに合わせて歩き、どんどん入場門をくぐる。
「プログラム2ばん。開会宣言」
朝礼台の上に上がってきたのは、なんと柚葉だった。
えー!柚葉って開会宣言する人だったのかよ!
「皆さん、おはようございます。保護者のみなさま、今回は来ていただきありがとうございました。さて、今年の運動会のテーマは「一味同心」です。同じ目的のために力を合わせ、心を一つにすること。勝利目指して「一味同心」しましょう!」
完璧デスネ。
あー、なんでいつも完璧なんだよ!
朝礼台から降りた柚葉は、こちらをみてからニヤッとドヤ顔をしてきた。
あいつ……
「プログラム3ばん。
旗が上げられる。
「プログラム4ばん……」
すまん。ここらへん難しいから、一旦飛ばす!
如月さんは緊張していた。
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