修学旅行 旅館へ帰り温泉

「はぁ~、おいしかった~!」

「そうだね。なんか面白かったとも言えるけど」

「私おなかいっぱい!」


旅館へ帰る途中のバスで、如月さんは自分のおなかをポンポンとたたく。


「豆も~。いつもギリギリ食べ終わる感じだし~」

「俺寝るわ」

「おやすみ。私がまた起こしたげるよ」

「じゃあ花音、豆もヨロシク」

「おっけー! いっぱい遊んでいっぱい食べたら眠たくなるもんね」


天使のようにも見える隣の如月さんに伝え、俺は背もたれによりかかって瞼を閉じた。



◆◆◆



「……神宮くん! おはよ~!」

「うぅっ⁉」


耳元で元気な声が聞こえて、俺は飛び起きる。


耳が、キーンってするんだが……


俺は耳を押さえた。


「湖羽、降りるよ~」

「うん? あ、花音ありがと」


枝豆さんは如月さんの声で目覚め、降りる準備をする。


「神宮くん、耳痛いの?」

「キーンってする」

「大丈夫? 酔ったのかな?」

「多分如月さんのせい」

「そうなの⁉ よくわかんないけどごめんね……」

「起こしてくれたのは事実だから」


うーん、なんか罪悪感を感じる。


俺はさっさと準備をした。


いまだ準備を終えたままシュンとうなだれている如月さんに声をかける。


「如月さん、降りるよ」

「あ、うん!」


俺と如月さんがバスから降りると、枝豆さんと翔もつられるようにバスから降りてきた。


これで全員降りたな!



◆◆◆


「翔、お風呂行こ~ぜ~」

「おおっ!」


正直疲れた。この体を癒すため翔に提案すると、翔は即座に自分の温泉セットをまとめた。


「はやっ」

「行くぞ玲!」

「待てよ」


俺も急いで温泉セットをバッグにつめこみ、温泉セットをもって翔のあとを追う。


温泉の入り口についたところで、ようやく翔に追いついた。


このスポーツマンめ。歩く速度さえ速い。


「ん? 翔、ここは男風呂だぞ?」

「当たり前だろ」

「混浴行かないのか?」

「逆になぜ行く?」


そんなの決まってるじゃないか! 男の本能ないのかお前には!


「ラッキースケベ」

「きめぇよ」


翔の一言に俺は意外とショックを受ける。


「マジか」

「ガーンじゃねぇ! 行くぞ!」

「うぅゎん」


あとから来た男子たちは次々と混浴のほうに入っていくのにぃ。むしろ女風呂をのぞこうとしているヤツもいる。


だが、俺は翔に引っ張られ男風呂に引きずられた。


スリッパを脱ぎ、脱衣所で服を脱ぐ。


そして温泉のフィールドに侵入!


「うわぁぁ。温泉なつかしい」

「なんだ玲。来てなかったのか?」

「ああ。最近はな」

「じゃあまずは洗えよ!」

「そんくらいわかってるわ」


俺はシャンプー、ボディーソープを使って髪と体を洗った。ちなみに俺はトリートメントを使わないタイプだ。


俺が洗い終わってかけ湯をし、大浴場の一番大きい温泉につかると翔がもう温泉に入っていた。


「翔はえぇな」

「だろ」

「温泉気持ちいな」

「だな!」


あたたかく広い。これぞ温泉、少し熱いのがまたいい。


ゆったり浸かっていると、翔があがった。


「なんだ? もうあがるのか?」

「ちがうわ。外だよ、外」


翔はそう言いつつ外のドアをあけ、外に行ってしまった。


そうか、外! それがあったか!


外のまだあたたかい感じと自然、そして温泉がまざると……最高としかいえない。


「よし、行こう!」


ざばーっという音をたてて湯舟からあがり、俺は外につながるドアをあける。


そうすると石の階段があって、すべらないようにゆっくりと下ると温泉があった。


そしてその温泉には寝転びながら温泉につかる翔の姿が!


「よう。遅かったな玲」

「そんな変わらないだろ?」

「遅かった」

「マジか。それより、温泉って寝ていいのか?」


寝転がって温泉に入るって新感覚すぎる。


だが仕切りのようなぼうと枕のような石があるので公式か?


「寝転ぶのはいいんだよ」

「マジか。じゃあ俺も!」


俺はじゃぶじゃぶと温泉に入り、翔の隣に寝転んでみた。


寝転ぶと楽で温泉がさらに心地よく感じ、外の豊かな自然もよく見える。


「さいっこう!」

「最高だな!」


俺は満面の笑み。


だがそんなのも今のうちで、少し経つとのぼせきた。


「あちぃ。俺ギブ。先あがってる~」

「おう、じゃあな!」

「じゃあ~」


これにて俺の久しぶりな温泉は幕を閉じたのである。


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