修学旅行 バス編

俺たちは今、ゆらり、ゆらりとバスに揺られていた。


これから修学旅行なのだ。昨日は楽しみすぎて眠れなかったくらい。でも、いざバスに乗ると……


「うぅ……ヤバい……」


これだよ。乗り物酔い。


マジで俺、酔いやすいんだよな……辛……これからまだまだあるぞ……


「大丈夫神宮くん?」


隣に座ってる如月さんが心配して顔を覗き込んできた。


正直、大丈夫なわけない。気持ち悪い。


「神宮くん。酔い止め飲む?」

「うん、飲む……って、なんで持ってるん?」

「しー!」


如月さんが耳元でこそこそと言ってきた。吐息がかかりドキドキするが、おかしい。


確か酔い止めとか持ち込み禁止だったはずじゃ?


人差し指を口にあてる如月さんがかわいいから許すけど。


「はい、どうぞ」

「ありがとう」

「酔ってからでも効くタイプ」


それはありがたい。


俺は酔い止めをなるべくバレないように口に放り込んで、口の中でこっそり舐める。


いちごミント味か?なかなか美味い。


なんだか効いてきたような気がする。


「そういえば如月さん、今日の予定ってなんだっけ?」

「えーっと、まず清水寺に行く。そしたら旅館に行って、そのあとは旅館でくつろぐって感じ」


へえ。清水寺って、あの飛び降りたら死ぬやつね。


「あの清水寺かあ。翔と枝豆さんとまわれるの楽しみだね」

「うん」


今回は班があって、その班でまわることになっている。それで俺は如月さん、翔、枝豆さんといういつものメンバー(?)で班を組んだのだ。


まあ、旅館の部屋は男子四人で一部屋、女子四人で一部屋だがな。


「二日目は天橋立あまのはしだて!日本三景の一つで、もうすっごい綺麗なところなんだよ~!日本三景は、宮城みやぎ松島まつしま京都きょうと天橋立あまのはしだて広島ひろしま宮島みやじまのこと!」

「ほ、ほう……」


興奮しすぎで話についていけない。


まつしま?あまのはしだて?みやじま?なんか小学生の頃にやった気がするが……なんだっけ?(←小4の頃にやっただろオイ)


「うーん、まだまだつきそうにないねえ……」

「そうだなー。俺また酔うといけないから寝るな。ついたら起こしてくれない?」

「うんわかった」

「じゃあおやすみ」

「おやすみー」


なんだか眠くなってきた。


俺は「ふぁ~あ」とあくびをして、バスの座席にゴロンとなって目をとじた。如月さんのほうに倒れたらマジで恥ずかしい。その時はゴメンな、如月さん。


そう思いながら、俺は眠りについた。






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