修学旅行 清水寺編

「じ…うくん。お…て!」


うん?お手?


「神宮くん!起きて!」

「はっ!」


体を強く揺さぶられて、俺は目が覚める。


「ついたよ!何してんの行くよ!」


えええ!もう行かないとダメなの?


俺は急いでバッグなどを手に取り、如月さんのあとを追った。



◆◆◆



「ここからは班ごとの自由行動です!清水寺の敷地からは出ないでね!」


「はーい」と返事をして、俺たちは集まった。


「これで全員だね。よし、行こう!」


まずはリーフレットをもって、マップを開く。


「現在地はここだから、まず観音のところに行こっか」


少し歩いて、観音のところに行った。本当に大きくて迫力満点で、俺はそっと手を合わせた。


「次は清水の舞台だよね」


それで俺たちは清水の舞台に行ってみた。


「たかっ!景色キレーっ!」


翔が身を乗り出していうので、落ちないかと心配になる。


そんな中、翔がニヤリと笑った。


「待てよ?これ、飛び降りて無事だった人はいないんだよな?俺が飛び降りて生きてたら、賞金とかもらえるんじゃ……」


あごに手を当てながら悪だくみする翔の頭を、俺はぺしっとたたいた。


「いってーな何するんだよ!」

「バカかよ。飛び降りて無事だった人はいないってことはダメってことだろうが」

「記録はやぶられるためにある!」

「ないわ。賞金ももらえるわけないだろ警察に捕まるぞ」

「おう。それはヤバいな」

「そうだろ」

「やめるか」

「そうしろ」


俺たちはちょっとした茶番を終える。


翔からしたら本気かもしれないが、マジで死ぬぞ。


「でも景色きれいだよね!神宮くん写真とってくれない?」

「いいよ」


俺は如月さんと枝豆さんのツーショット写真を撮ってあげた。


「これでいい?」

「うん。ちょっとカメラ貸して」


俺は如月さんにカメラを返す。


すると、如月さんが俺にグイっと寄って、如月さんが俺と如月さんのツーショット写真を自撮りした。


「えちょ、如月さん⁉」


てへぺろ☆っといたずらっこみたいに笑う如月さん。


俺は別にいい……というか嬉しいんだが、如月さんはよかったのだろうか。


「如月さん、私とも写真撮ってくれない?」


きっと『神宮でもいいなら私たちもいいか』てきなノリで来たファンだろう。


でも、如月さんはハッキリと断った。


「ごっめーん無理~」


俺が言うのもなんだが、かわいそう。


枝豆さんも誘われていたが、断っている。


「あ、湖羽、ちょっと行かない?」

「あ、行く?いいよ」

「神宮くん、ちょっと私たちお土産屋さん行ってくる」

「え?うん、いいけど……」


俺から了承をもらうと、如月さんと枝豆さんはダッシュでどこかへ走り去って行ったのだった。お土産屋さんとは逆方向に。

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