運動会 その玖

騎馬戦からいろいろな競技が終わって、今はいよいよ最後の優勝チーム発表。


俺たちは願っている。敵の柚葉も。


「お願いしますお願いしますお兄ちゃんに天罰を……!」


柚葉はなに言ってんだ。


「それでは、優勝チームを発表します。優勝チームは」


お願いこんな柚葉には絶対優勝させないで!神様、どうかこの俺を!


「優勝チームは……ないです」

「「はっ?」」


ない、というわけがわからないことに、俺と柚葉は声が重なっていた。


「つまり引き分けです。両チーム、拍手を」



パチパチパチ――


とりあえず拍手をするが、俺は納得いってないぞ!


隣を見ると、柚葉もぷくーっとふくれていた。


顔はむすっとした表情。


「では、両チームがこの賞状を受け取ってください」


赤組と白組のリーダーは両方受け取ったが、こんなの俺は小学校でもなかったぞ⁉



◆◆◆


「せんせー、あんなことってあります⁉」


俺は山田先生に話していた。


「そうねえ。私も学校に七年いるけど、こんなことは初めてよ。前代未聞よ」


山田先生の言葉に、俺は「そーだそーだ!」と加担する。


引き分けなんてなったことないぞ!ありえねー!


「あれ、神宮くん。あれ、如月ちゃんじゃない?」


如月さん?


先生が後ろを指さしたので振りむいてみると、そこに如月さんの姿はなく、代わりに廊下を走る音が聞こえた。


「あー、逃げちゃった……」

「あ、じゃあ俺帰ります!」

「そう?気を付けてね!」

「はい!」


如月さんはどうしたんだろう。

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