運動会があるけれど

シュシュシュッと、先生がリズム良く黒板にある文字を書き上げていく。


その文字は、『運動会 応援団』だ。


「はーい!今度運動会があるのは知っていますね?その運動会の組み分けをまずしようと思います!」


担任の山田先生が明るめの声で告げる。


「くみわけは、男女混合で決めていくよ!みんな、同じ性別同士でペア作って!」


するとみんなガヤガヤと席から立ち、ペアを作っていく。


「翔!」

「ああ!組もうぜ!」


俺はすぐさま翔と組んだ。


如月さんは誰と組んでいるんだろう。


そう思い、如月さんの方を見ると、如月さん・枝豆さんペアだった。


枝豆さんのフルネームは、枝豆えだまめ湖羽こはねさん。


ツインテールで、髪には黄緑色のカチューシャをつけている。


背は小さめで、瞳はくり目だ。如月さんに続く学校二の美少女。あまり他の子にはそっけない如月さんの、仲良しだ。


子供っぽい無邪気な雰囲気が人気だ。喋り方は不良っぽいような、現代っ子ぽいところもあるのだが。


まめ』か『えまめん』の名で親しまれている。


山田先生がパチン、と手を叩く。


「オーケー!じゃあ、女子と男子でチーム組んで!そして1か2か決めてね!」


先生が「はじめ!」と言った瞬間、俺以外の男子の目が一斉に如月さん・枝豆さんへとむく。


反対に如月さんの目は、グルンッと俺の方を向いた。


俺は顔を背けたが、如月さんたちは俺と翔に近づいてきた。


「神宮くん!組もっ♪」

「えー、花音神宮がいいの?豆は、花音がいいなら……いい、けど……」


うう、枝豆さんの顔、露骨に嫌がっている顔なんだが。


如月さんは、ご機嫌みたいで、勝手に決定した。


「じゃあ、けってーい!1にする?2にする?」


如月さんはさりげなく俺の机に手を置いて話し始める。


クラスメイトたちは、諦めたように別の相手を探し始めたようだけど、俺の背中に視線が痛いほど刺さっている。


「じゃあ、豆1がいい」

「うん、じゃあ他に異論は?」


如月さんに聞かれるけど、枝豆さんに逆らう気なんてない。


俺と翔は首を横に振る。


「じゃあ1ね!黒板に書いてくる!」


如月さんは黒板に向かって行って、黒板の1の方に、『湖羽・花音・玲・翔』と白いチョークで描いた。


そしてタッタッタッタッとかけてくる。


如月さんがまた俺の机の前にちょこんとしゃがむと、翔が俺の耳元で囁いた。


「なあ、玲。なんか痛いほど視線を感じるんだが……」


翔、お前もか。


俺は翔に苦笑いを浮かべる。


そして俺も翔に囁いた。


「それは、ファンのものだ。しかも如月さんと枝豆さん、両方から」


翔は俺の話を聞くと、翔も苦笑いを浮かべた。



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