夕飯はBBQ!

優奈ちゃんの参加が決定したあとに、優奈ちゃんを俺たちのキャンプ場所に連れてきて、その後少し遊んで、キャンプの準備が整った。


「湖羽お姉さま! 夕飯はなんですか? ハンバーグ?」

「違う違う! キャンプなんだから、BBQバーベキューでしょ!」

「バーベキューって、あれですか? あたしはそれよりシェフとか呼んだほうがいいと思いますが」

「いやいや優奈ちゃん、バーベキューは最高だよ⁉」

「そうなんですか?」


優奈ちゃんはバーベキュー、したことないみたいだ。俺も一回くらいしかないが。


翔はバリバリの経験者で、一人でもできるらしい。枝豆さんは食材とか道具担当なので、特にすることはない。如月さんも初めてなので、俺と一緒に見守る。危なかったら優奈ちゃんのナッシーさんと枝豆さんの執事さんが何とかしてくれるだろう。


「おっしゃあ! じゃあ、火つけるぜ!」


翔が着火剤にライターで火をつける。その周りに炭を置いて、それをうちわで扇ぐ。


「わああ、翔お兄さま、危ないです!」

「大丈夫大丈夫!」


翔がうちわで扇ぐと、火が炭に燃え移り、炎が大きくなった。


「これくらいか?」


翔はちょうどいいくらいの炎になると、うちわを置いて、網をかけた。


「よし! なにから焼く?」

「じゃあ、このお肉セットからで!」

「おっけー!」


翔がトングでお肉を網に乗せていく。


翔がお肉をひっくり返すと、こんがりとおいしそうな焼き目がついていた。


俺はお皿を準備して、自分の取り皿には甘口の焼き肉のタレをいれる。


それにしても、お嬢様なのに一般で売っているようなバーベキューようのお肉詰め合わせを買ってきたのか、枝豆さんは。


「こっちにはタラバガニも用意してるからね!」


あ、お嬢様だった、ハイ。


「焼けたぜ~!」


ほい、ほい、と翔は焼けたお肉を大きな皿に盛りつけていく。


それを取り皿にとり、タレをつけた。


「いただきまーす!」


ぱくっと、一口でお肉を食べる。


「んまっい!」


炭で焼いた味って、なんかいつものお肉と違う。おいしい‼


「おいしいです……!」

「うまい!」

「おいしいね!」

「おいしい! 優奈、ほらね?」


優奈ちゃん、翔、如月さん、枝豆さんと、感想を言っていく。


枝豆さんは優奈ちゃんの頭をなでなでしていた。


「やくぞやくぞーっ!」


その後も翔が焼きまくり、カニ、エビ、ホタテ、肉、イカなどを食べた。(野菜は枝豆さんの好き嫌いにより持ってこられてないらしい。というか野菜が話題に出なかった)


「ふう~。おなかいっぱいだねえ!」

「ん? 最後、デザート食べないのか?」

「食べます食べます!」


枝豆さんが自分のおなかをぽんぽんとたたいたあと、翔に一言にすぐに食いついた。


「でも、翔? もう材料ないだろ?」

「ふっふっふー。俺が大量に買ってきたぜ!」


そう言って翔が取り出したのは、クラッカー(ビスケットのほう)、板チョコ、マシュマロ。


「その名も……スモアだ!」

「「「「スモア?(!)」」」」


一人、枝豆さんだけ喜びの声をあげた。


「わあ~、スモアか~! 五十嵐くん、材料忘れちゃってゴメンね!」

「いやいや、別にいいってことよ! それより、ほら、マシュマロみんな焼いて!」


翔にマシュマロがささった竹串をみんな渡される。


そのあとに枝豆さんと翔が炎にマシュマロをかざして焼き始めたので、俺と如月さんと優奈ちゃんはそれを真似した。


こんがりといい焼き色がマシュマロについたら、それを炎から遠ざける。


「みんな焼けたか?」


翔の質問に、全員うなずいた。


「よし、じゃあ、これから俺がするから真似してな!」


翔はまず、割れた板チョコを一個とった。クラッカーは二枚。


そのあと、クラッカー二枚のうち一枚に、割れたチョコを一個おく。


チョコが置いてあるクラッカーにマシュマロをのせ、もう一つのクラッカーで押さえながら竹串を抜く。


初めてで少し難しかったが、なんとかすることができた。


「よし! 完成だ!」

「ほわあああ……!」


よくわからない声をもらしたのは優奈ちゃん。小さい子にとってはこういうお菓子はワクワクするものなのだろう。


「いただきまーす!」


バーベキュー二回目のいただきますで、俺たちはスモアにかぶりつく。


「うま……!」


これはクラッカーにかかっている塩味と、チョコのあまさ、そこにマシュマロのあまさと舌ざわりがあわさって、すごくうまい! とにかくうまい!


「おいしいです! もう一本食べていいですか⁉」

「しょうがないなあ、優奈ったら。本当においしいね!」

「やっぱうめえ!」

「おいしい!」


優奈ちゃんはすぐに食べ終え、またマシュマロを焼いている。


そんな年下の行動に癒され、俺たち年上組は微笑んだ。


スモアの材料を使い切ると、今日の夕飯のキャンプは幕を閉じたのだった。

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