パーティー、始まり!
俺はカンパイしたあと、自分のコーラのふたをまわす。
ㇷ゚シュ! という気持ちいい音と一緒に、枝豆さんのせいで炭酸が奥からでてきたので、すかさずキャップをしめる。
そしてまたあけ、飲む。
うん、コーラはうまい! 炭酸しゅわしゅわ最高だ!
「やっぱりずんだソーダおいしい! しゅわしゅわとつぶつぶ!」
うん? しゅわしゅわは炭酸だろうけど、つぶつぶ? ずんだ入ってるのかな?
「お菓子食べよー! そして話そ!」
枝豆さんはポテトチップスのバター味を開けたので、俺らはそこからちょくちょくつまんで食べる。
あー、甘めポテチもうまいよなぁ~!
「修学旅行、旅館でさ~、男子部屋ってどんな感じだったの?」
ふと如月さんが聞いてきて、俺は質問に答える。
「普通に話してたけど、まくら投げとかはした」
「え~っ、いいなまくら投げ! 豆もしたかった!」
「女子がやるとケガしちゃうかも……?」
「偏見じゃない? 豆だってできます~! なんだったら今、クッション使ってする?」
「やめて、俺の部屋めちゃくちゃになるから」
俺らは笑う。
が、マジで部屋をめちゃくちゃにするのはやめてほしい。笑いごとにならん。
実は俺たちまくら投げもしてたんだよ?
「じゃ、女子は?」
「私たち~? やっぱり恋バナかなぁ~?」
「お、いいね恋バナ! 修学旅行って感じ! 学校一の美少女と学校二の美少女の恋バナなんてみんな聞きたいに違いないね!」
「あはは、そうかも。神宮くんとか五十嵐くんは恋してる?」
俺と翔は顔を見合わせ、首を振った。
「俺はないぜ!」
「俺もないかな? 恋、ねぇ……」
「ちぇーっ! つまんないの。ま、でも二人は恋って感じじゃないしね」
男で恋バナしてるやつは、お前誰が好きなん? とかしかないんじゃね?
俺と翔で恋バナあんましないし。
「
「意味わかんないからね、枝豆さんはちゃんとかんで飲み込んでから喋ってね?」
ずんだもちを口に含んだまま喋った枝豆さんの言葉はよくわからなかったので、枝豆さんはその後少しかんでから飲み込む。
「ごっくん。男風呂ってどんな感じだったの?」
「男風呂? 別に露天風呂とか大浴場とか。露天風呂は寝転げる温泉とかあって、ハイテク~って思った」
「あはは、そっかぁ! 私たちは女風呂に入ったんだけど、大浴場とか打たれ湯とか、露天風呂はなんかおけの大きい樽みたいなやつのお風呂だった」
「そうなんだね、なんかそっちのほうが豪華な気がするけど」
「ふふっ」
俺たちは大浴場とまぁかけ湯、そして寝転がれる露天風呂だったけど、如月さんたちは大浴場、かけ湯、打たれ湯、樽風呂だったらしい。樽風呂って間違ってると思うけど、言い方。
「打たれ湯ちょっと強かったね~」
「確かに! でもマッサージみたいで気持ちよかったよ。頭かゆいから気持ち~って感じ」
「いいな~。樽風呂はどうだった?」
「樽風呂っていうのかはわかんないけど、贅沢してる気分だった! まあるいお風呂に私一人、っていうのが! そして空を見上げると星と月が! って感じ。キャンプのときとまで星は見えなかったけど」
「「いいな~」」
男二人は口をそろえる。
樽風呂、そんなこと言われると入りたくなっちゃうじゃん。お金持ち気分を味わえるというか。
「旅館のごはん美味かったよな~」
「ね! 本当それ」
翔は地球グミを食べ始め、如月さんは小さな飴を食べている。
「翔、それめちゃ甘いのではないのか?」
「そうか? ほらよ」
翔に地球グミを一つもらい、口の中に入れてかむ。
マシュマロとグミの間の食感。甘酸っぱいなんかのソースが入っていて、飲み込むと……うん、甘い。
「地球グミ、甘っ」
「え⁉ 地球グミ⁉」
「花音ちゃんも食べる?」
翔は如月さんにも地球グミを手渡す。
「これめちゃレアだよ⁉ 売り切れ続出、再販は二千円以上の!」
「うげぇ……⁉」
やべ、思わず変な声が出てしまった。
グミが二千円以上って高すぎないか⁉ ぇ、そこらへんのグミってせめて五百円以内なんだが……?
「もぐ。甘いね! 五十嵐くんそんな食べて大丈夫? 口の中あまあまじゃない?」
「だいじょぶ。コーヒー飲めば元通り」
「翔コーヒー飲めるのか⁉」
「ブラックはギリ。ミルクとかシュガーを入れてカフェラテにすれば飲める。ましましは甘すぎて無理」
「なのに地球グミはいけるんだ……」
枝豆さん、思っていることがポロリとでていますよ。
「はい、では話に戻って」
「バイキングとかマジ久しぶりだったな」
「俺も~! 大食いしたわ」
「うん、やばかったね。豆、五十嵐くんと食べたらめっちゃ食べてて。……正直、引いた」
枝豆さん、また小声でぼそっと。
「じゃあ、修学旅行で何が楽しかったかトップ3でランキングにしてみよ!」
「お、いいね! 確かここらへんに」
俺は自分の机から紙とペンを取り出し、それぞれに配る。
そして自分のトップ3を書いて。
如月さんはみんなが書き終わったかを確かめてから、宣言。
「はい、じゃあフリップオープン!」
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