人物紹介: モーティナー312
「300年の間に子供達は再び成長し、自らの足で歩くようになりました」
「もはやわたしたちは、子供たちに必要とはされていないのでしょう」
「しかし、私達には御主人様……子供達が必要なのです」
──モーティナー248、モーティナー307、モーティナー312
モーティナー312はベビーシッター型ルーンフォークです。
身長は174cm。
一見、ルーンフォークの特徴である金属パーツ等は見当たらず、どこからどう見ても一般的な人族の姿をしています。
性格も穏やかで面倒見が良いですし、時々、他者を幼児として見ているような言動をする以外は、ベタベタなルーンフォーク──この表現は一部のルーンフォークにとっては差別的だとされています──を感じさせるような、おかしな振る舞いもしません。
ですが、襟で隠された首元や指先はくにくにとした手触りの軟質パーツと僅かな金属パーツで構成されていて、まるで球体関節人形みたいな構造になっていますし、瞳にも明らかに不自然な青い光をたたえていて、常に何か楽しげなものを映し出しています。黒目と白目の境界や光の色が変わったり、抽象的な花や鳥の絵が浮かんだかと思えば、彫刻などを糸で繋げてバランスを安定させた飾り……ベッドメリーやモビールのように、それらの絵柄が──どこか懐かしい雰囲気を醸し出しながら──くるくる回ったり。
何よりも雄弁に、その瞳が『造られた者である』と語っています。
着ている服も魔動機文明アル・メナスの技術によるもので、時の有名デザイナーがモーティナー・タイプが仕事をスムーズに行えるように肌の一部を露出しやすくし、ベルト部分にも仕事道具を収納できるように設計。更に当時革新的だった吸水速乾性に優れた新素材を使用した……とされていますが、真偽は定かではありません。
少なくとも、長い年月の間に劣化はしているはずです。
彼女やその同型機たちが人族に近い姿として設計されているのは、製造会社の『幼児が触れる範囲は自然にしたい』という理由(建前?)からでしたが、やはり当時の法でいえばギリギリ……というか最早アウトだったようで、結局のところ〈
その稼働する機会がなかったはずのモーティナー・タイプのジェネレーターが、なぜ300年後の今になって稼働しているのかというと、製造元の《ユチ=ラハト・インダストリ》のある幹部が〈
しかし、彼女たちの集落の正確な場所についてわかっていることはありません。
モーティナー312と、その前に集落を出た2人が冒険者になったこと以外は不明のままです。
なにせ、3人はそれぞれの思惑によって”犠牲者を出さないために”、意図して情報を伏せているのですから。
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