人物紹介: ナートラ・E

 ナートラはサムライエルフです。


 身長は174cm。

 エルフらしい高い身長と長い耳、切長で翡翠色の瞳。髪もまた金色の……とはいかず、エルフにしては珍しい艶やかな黒色で、長い睫毛も鴉の濡れ羽のようです。


 そのキリッとした容貌が、ゆったりとしたエキゾチックな朱色の装束と合わさって見た目以上に油断ならぬものを感じさせるようにも思えますし、腰に吊った得物はもちろん──

 

 ──そう、杖です。


 えぇ、杖なのです。確かに遠目に見れば片刃の剣ですし、近くで見てもそれらしくはあるのですが、剣の握りに見えるのは石突の飾りでしかなく、そこそこ擦り切れて装飾が擦り切れています。

 布が巻かれた切先の方も、中身は魔力を込めるための結晶……つまり〈魔法の発動体〉にすぎません。


 そして、彼女の本業は操霊術師コンジャラー。強化と創造の魔法に長け、生命と魂を探究する魔術師です。

 といっても、まだまだ未熟な卵なのですが……。


 その戦士っぽい魔術師の卵である彼女は、事あるごとに『自身はサムライである』と主張しています。

 自分が何者であるかを主張するのはいいのですが、アルフレイム大陸の人々からすると聞き馴れぬ言葉なので、大半は首を傾げるばかりです。


 それもそのはず。現代のアルフレイム大陸、それどころかこのラクシアという世界において、『サムライ』について知っている者はほんのひと握り。

 かの魔動機文明アル・メナスの、それも専門の分野に詳しい者だけなのです。


 では、なぜ彼女はその『サムライ』を自称しているのでしょうか?

 その疑問に答えるにはまず、彼女の生まれから語る必要があります。

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