〈魔法妖精アステリ☆マジカ〉とは?〈魔法少女〉シリーズの集大成って本当?実際に調べてみました!
舞台劇〈魔法妖精アステリ☆マジカ〉は、年頃の少女たちが魔法を使って大活躍する〈
この〈魔法少女〉シリーズの最大の特徴として、その頃は既に人族としての権利を得ていたはずのルーンフォークを役者として利用していた事と、まるで実際に役者が魔法を操って戦っているかのような、迫真の演技と過激なアクションが挙げられています。
実際、後者に関しては
しかし、彼らが派手に使用する強力な魔法の数々に耐え切れる人族はほとんどいません。
だからこそ、”使い捨てができる“ルーンフォークを”利用“していたのです。
そのおかげで、通常の役者であれば大怪我を負ったり命を落としたりしかねない、倫理的に裁判沙汰になるようなアクションすら”演出として“撮影することができてしまったのです……。
そんなシリーズの集大成として制作されていたのですから、主役の”アステリ☆マジカ/マルガリタ・ジッカ“役のルーンフォークは「今までより更に可愛らしく、より丈夫に作るべきだ」という制作者側の意向と嗜好により、限りなく見た目を少女に寄せた可憐で愛らしい男性型(スタッフ談)を、予算度外視で特注した高性能ジェネレーターで生み出すことになりました。
その試運転で十何人かの”マルガリタ・ジッカ“が生み出され、新作発表会や幾つかの
もちろん、新しい〈魔法少女マギガール〉は、拍手と歓声の中、人々に迎えられました……!
ですが、子供たちやファンから歓迎される一方で、制作者たちの前には大きな壁が立ちはだかっていました。
〈
心配した保護者からの問い合わせ、噂を聞きつけたルーンフォークの人権を訴える団体や蛮族保護団体の妨害、健全な演劇を追究する集団による苦情、信仰している対象の教えを曲解されかねないというアステリア神殿からの懸念の声……。
様々な”大人の事情“により舞台の開演・記録媒体版の販売が予定よりはるかに遅れており、スタッフ達は大いに悩むはめになります。
なにせ、当初予定されていたこの舞台劇のラストシーンは“アステリ☆マジカ”と黒幕の“ルックレム大蛮王“が文字通りお互いの身を削り合い、必殺の〈アステリリカルステッキ〉の仕込み回転鋸刃で”ルックレム大蛮王“の腹を裂くことで決着を付けた後、身体の殆どを欠損した”アステリ☆マジカ“が最後の力を振り絞り〈(小道具の)第二の剣〉をへし折るというものでしたから……!
しかし、彼らの中にわずかに残る良心の呵責と現状維持・資金回収を秤にかけた苦悩の中に、狂神ラーリスがもたらしたかの如き一条の光が差してしまいます。
それが、”アステリ☆マジカ/マルガリタ・ジッカ“を利用して現状の打開をはかるという案でした。
「お客様の声に応える」ため、イベントでのお披露目が終わった後は〈アステリリカルステッキ〉に内蔵された仕込み回転鋸刃の”実演会“のために抗議団体の元へと向かったり。
権力者たちが集まる晩餐会での”営業“に従事したり。
中にはそのまま買い取られ、新しい主人の元で働く”マルガリタ・ジッカ“までいたのです。
(当時、一部の上流階級の間ではこうした特殊で貴重なルーンフォークを所有することが、高級な調度品で屋敷の部屋部屋を飾る事と同じような意味を持っていました……)
そんな真っ黒な仕事に従っていた彼らも、敵役の”ルックレム大蛮王“役のルーンフォークたちよりはマシだと思っていました。
どんなに血に塗れようとも汚れようとも、子供たちや人々に愛されていたのは確かですし、殆どの者が見たことがない蛮族の模倣(または鬱憤を晴らすための
「どうせ何回か“交換”する予定のやられ役なのだから」とひどい暴力を振るわれる、自分たちとなんら変わりのない、同胞の彼女たちより、遥かに……。
そして、幸か不幸かその時が訪れます。
〈
各地の劇団支部にあった、ほとんどの高性能ジェネレーターは国に押収され、それまでに生み出された“アステリ☆マジカ/マルガリタ・ジッカ”だけではなく、敵役である“ルックレム大蛮王”、過去作で主役を演じた〈
そして、倒すべき蛮族よりも守るべき人族たちを“実演会”で屠ってきた数々の“小道具”と共に散っていったのです……。
残存した数少ない当時の記録の中には、味方の人族たちを、敵である蛮族たちと挟撃する形で斬り倒した後、呆然と立ち尽くす蛮族たちの前で自刃した者たちがいたというものまであります。
かつて彼女たちを応援する子供だった、戦場を生き抜くことができた者たちも、物語の中で相容れぬ者たちとして描かれてきたふたりが、仲睦まじく抱き合うように互いの胸に刃を突き立て、他愛もない会話をしながら息絶えていく異常な光景や、憧れだった〈魔法少女マギガール〉が上官へ発砲した後、意志に反して連れてこられた人族の兵士たちの逃亡を手伝い、最後は「仲間たちの元へ」去っていく姿を、手記などに残しています。
そうして最後、あの舞台劇より残酷な喧騒が止んだ頃。
忙しそうに働いていた制作者たちの足音も、子供たちの応援の声も、演出のための爆発音も響かなくなった劇団の本拠地で。
彼らが遺した、壮大かつ奇妙な夢と希望が詰まった幾つかのジェネレーターや、実現されなかったアイデアや物語の台本たちが、300年もの時の中で埋れていったのです……。
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