人物紹介: ウニャ・デ・ガト

 ウニャ・デ・ガトは、山猫オセロットのリカントです。


 身長は137cm。

 腰まで伸ばした長い髪は、頭頂部から先端へ向かうにつれて赤みがかった玉蜀黍ゴールデン・コーンのような色合いから茶褐色に変わっていき、その艶やかさといったら、まるでチョコレートでつくられた芸術品のようです……!

 その芸術品のような髪の毛先を何本かの束に分けて纏めて編み込んだ、特徴的な髪型をしています。


 瞳は紫色寄りの藍色インディゴブルー。透明感より色彩の豊かさが勝っていて、宝石というよりかは鮮やかに染めた織物を静かな水面に映したかのような、一見穏やかそうな輝きを湛えています。


 そんな瞳と手の込んだ髪型、そしてやや日焼けした肌が合わさってエキゾチックな雰囲気を醸し出す姿は、どこか遠い国の令嬢のように見えるかもしれません。

 ですが、そうした雰囲気に対して人を舐めたような態度を取りがちですし、なにより目元に装着された普遍的なオレンジ色メキシコカラーのマスクはあまりにもミスマッチです。


 このおかしなマスクを被った彼女と相対した時、隙を見つけて彼女の瞳をよくよく覗いたのなら、その奥底に仄暗い闘争心が燃えているのがわかるかもしれませんね?

 その闘争心が彼女に尊大なまでの自信を与えていて、腰に手を当て年齢にそぐわぬ大きさの胸を張らせたり、余裕そうに腕を組ませたり、腹立たしくなるような笑みを浮かばせ、猫のように歪んだ口元に八重歯が見え隠れさせたりしているわけです。


 そうです。彼女は令嬢などではありません。

 

 生意気で、

 高圧的で、

 そして挑発的ではありますが、一人の戦士です。


 彼女は拳闘士グラップラーにして拳闘士ルチャドーラ、そして決闘士グラディエーターなのです!




 ですが、”ウニャ・デ・ガト“について話をする前にはまず、ドーラ・オセロトラという少女の話をしなくてはなりません。


 ドーラ・オセロトラは、悪玉ルーダじみたウニャとは違って平凡なごく普通の女の子でしたが、芯があって理性的で、挫けずに苦難に立ち向かえる精神を持っていました。

 ちょっとおてんばすぎる気もありましたし、街ではガキ大将として知られていましたが、誰かが困っていたらすぐ手を差し伸べにいきますし、差し伸べられた手を掴んだ側も『彼女が差し出した幸福がいつか巡り巡って彼女に返ってきますように』と願わずには居られないほどでした。

 誰からも好かれた彼女は、父親のように善玉テクニカとして大成するはずでした。


 その素朴な笑顔が素敵だったドーラ・オセロトラの成れの果て。

 それが、ウニャ・デ・ガトなのです……。

 

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