今の時代も差別や格差は存在しますが、それがもっと赤裸々かつ生々しい形で存在していた時代について、とてもよく調べて書いてあると思います。昭和の混沌とした雰囲気は、若い世代には恐らくファンタジー小説以上に異世界に感じられ、瞠目させられることでしょう。読み出すと、めくるめく狂気の世界にドップリはまること請け合いです。
戦後の退廃的な雰囲気が漂う世界で、次から次へと事件が起こります。しかも一話一話ごとに急展開となり、次回で回収してはまた事件が起こり、次回で回収する。これが「です、ます調」の妖しい文体で、毎話ごとに繰り返されるので、いつの間にやらどっぷりと奇妙な世界に入り込みます。登場人物が多い群像劇ですが、気にせず読んで、この妖しい世界に入り込みましょう。
高度経済成長の闇を全面に出したような作品で僕の好みです。序盤の主人公の暗い過去から更に暗い展開になっていくのはワクワクすると共にゾクッとしました。続きが気になります!
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