第44話⁂勘違い⁈⁂
初美は剛の配慮もあり福岡にいる満を頼って、北九州市小倉北区に移り住んだ。
何故?よりによって小倉北区に居住したのかと言うと、以前から北九州市には日本最大企業S製鉄が有り、今現在も当然の事ながら現存している。
実は万里子お嬢様のお友達Yちゃんのお父様がS製鉄勤務で、福岡の八幡製鉄所に最近転勤になって居たのだ。
娘の事を第一に考え、全くの未知の世界に行くのであれば心細いであろうと思い、娘の事を案じてこの地に移り住んだのだ。
引っ越してくるや否や、満家族が初美達を案じてチョクチョク顔を出してくれている。
万里子お嬢様は最初こそショックを隠せない様子だったが、最近ではYちゃんと同じ中学に復学出来て、又めぐみちゃんも心配して顏を出してくれるので、水を得た魚のように生き生きとして鎌倉に居る時よりもハツラツとして見える。
実はそれは、母の初美が余りにも正気を失い元気が無いので、万里子までがしょげていては、尚更母が落ち込むと思い、空元気を出していると言っても過言ではないのだが、まだ中学三年生の万里子は、あっと言う間に九州生活に順応して九州生活を満喫している。
それでも…母の初美は一気にいろんな事が起き過ぎて、まだ立ち直る事が出来ていない。
それを見かねた満が、最近やたらと柳田邸に顏を出している。
やがて、めったやたらと休みになるとめぐみを伴って、1時間以上も掛かる小倉に出掛ける満に{ひょっとして、心配だと言いながら、あの美しい初美に逢いたくてわざわざあんな所まで出かけているのでは?}と疑念を持ち始めた満の妻裕子。
「初美ちゃん俺は剛から何も聞いてないけど、お義母さんも亡くなり大変な時期に離婚だなんて、一体何考えているんだ……あんな奴じゃなかったのに?」
「…ええ、でも大丈夫だから心配なさらないで!」
満は、妻の裕子がいながら初美を初めて見た時から、密かに思いを寄せていた。
剛に「初美が、九州で生活したいと言っているが、よろしく頼む!」と言われた時は、{剛はひどい奴だ!}と思う反面、何か心の中にきらめきが押し寄せて来るのを感じた満なのだ。
例え思いを遂げる事が出来なくても、一瞬でも多く傍に居たいと感じる満。
一方のめぐみは満に連れられ小倉北区にやって来る事は、何よりも楽しみな事。
忙しい父に唯一甘えられるこの時間が嬉しくて仕方がないのだ。
それと何よりうれしいのが、姉妹の居ないめぐみにしてみれば万里子は、姉のようなも存在。
そんなやっと姉妹が出来た幸せ一杯な毎日の中、ある日の柳田邸での一コマ。
万里子に「一階の冷蔵庫からケーキ取って来て頂戴!」と言われて一階に降りた時の事。
父の満が初美おばさんを、後ろから抱きしめているではないか?
{母と言う者がありながらなんて事を!}
余りの出来事に許せない気持ちで一杯のめぐみ。
{それより何よりあんなに優しい母があまりにも可哀想過ぎ!}
子供ながらにも{もし母が捨てられる事にでもなれば大変な事だ!}
早速その出来事を母裕子に話した。
その夜仕事から帰って来た父と夫婦喧嘩が勃発。
「違うよ剛兄さんに捨てられて、可哀想だから慰めていただけだよ」
「じゃ~?抱きしめていたってのは何よ?」
「な~んだよ?只の肩を触った程度じゃないか?大げさな~」
この件は曖昧にいつの間にか風化していったのだが…………。
「剛に頼まれたから仕方ないだろう」
それからも父満は何だかんだと口実を作って、小倉北区に行く事を止めなかった。
めぐみはというと、あれ以来父に不信感を抱いて小倉北区に足が遠のいている。
そんな時にまた事件が起きた。
父の満が小倉北区に着て行った服から「ワイシャツに香水の香りと女性の髪の毛が付いていたわ!」母が騒ぎまくり大騒動になった。
母の裕子は眠れぬ日々が続き、等々、咄嗟に睡眠薬を大量に服用してあわや大惨事となる所だった。
だから、自殺未遂は初美がしたのではなく、夫の満と初美の不倫を疑い裕子が自殺未遂をしたのだ。
話とはどこでどう間違って尾ひれが付くか分かないものだ。
やがて万里子お嬢様とめぐみちゃん2人の間には、相容れない深い溝が出来て……。
万里子お嬢様とめぐみちゃんは、この一連の出来事と球界の大スタ―木村直樹を奪い合い、やがて思いも寄らない恐ろしい殺人事件に発展して行く事になる。
「あなたのお母さんは男を奪う天才ね。最低!……あなたもおばさんの血を受け継いで直樹を奪うつもり?」
「酷い事言わないで?母だって満おじさんだって『2人はそんな関係じゃ無い!』と言っているのに早合点して、あなたのお母さんが薬を煽ったんじゃないの?迷惑な!……それから直樹は最初から私が好きだと言っているのに、あなたが横から入って来るのが悪いのよ!」
「よくも~!悔しい!」
実は万里子お嬢様にいつもピタリとくっ付いている2人組の護衛達。
一体この護衛2人組は何者なのか?
そんな折めぐみちゃんが学校の帰りに、何者かに竹やぶに押し込まれて変わり果てた姿で発見された。
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