第30話⁂遊女あるある!⁂


 この相川楼には永真遊郭一美しい夕霧という花魁がいた。


 この永真遊郭一の美人の誉れ高い夕霧には、朝に夕に御客が絶えない。

 だが、夕霧22歳の時に、横浜の造船会社社長本郷に身請けされて、その社長の後添えになった幸運の持ち主。


 夕霧には遊郭にいた時のお客で、逃亡を企てた事も有る程愛した男、陽介がいたのだが、2人で逃亡の企てを話し合っている所を、遣り手に盗み聞きされて仕方なく断念した経緯がある。

 その為その男とはそれっきり会えず仕舞い。


 だが、造船会社社長本郷に身請けされて、社長夫人として幸せな日々を送っていた夕霧(霧子)なのだが、ある日その男陽介から突如として電話が入った。


 その男、陽介は父親が会社経営をしているのだが、詳しい事情を話したがらない怪しい男。

 それでもかなりの資産家で、陽介はその会社の跡継ぎになるべく、父親の会社で修行中。


 そんなある日、どこで聞きつけたのか、この本郷邸に陽介から電話が入った。


「夕霧会いたい!」


「アア~!陽介さん……?ダメよ!もう私は  あの時の夕霧じゃないの、結婚して本郷霧子なのよ!‥もう終わった事なのよ!」


「それでも……お友達として一度だけ会いたい!お願いだ!」


「……じゃ~一度だけ」


 霧子は社長の嫉妬深さにホトホト嫌気がさしているのに……?

 そう思いながらも、ふっとあの頃を思い出し、懐かしさが込み上げくるのだ。


 チョット出掛けただけでも「どこに行っていたんだ?」本当に嫉妬深い、うるさい夫に困り果てている。


 夫にしてみれば20歳以上も若い美しい妻が、いつ心変わりするか、心配で心配で仕方がない。


 一方の霧子の方は、締め付けられれば余計にその呪縛から解き放たれたい思いで一杯なのだ。

{ほんのちょっと位なら……?}


 横浜では有名な造船会社の社長夫人、地元で会えば目立つので、あの当時ではまだ珍しかった自家用車を飛ばして隣接する県、静岡県の富士山のふもとの高級ホテルで落ち合った。


 2人は久しぶりに会えて束の間の休日を味わっている。

 それでも……もう結婚している身、懐かしい友としての再開で終わったのだ。



 何事もなく時間が過ぎて、やがて霧子は社長の子供を身籠り、可愛い男の子も誕生して霧子は幸せ一杯。


 だが、霧子は時折、身体に変調をきたすようになって来ている。

 それはどうも梅毒らしい。


 無症状の事もたまに有るこの病気なのだが、顔や身体中ボツボツの赤い斑点が出来て、最近では大きな醜いこぶが瞼の上に出来て鼻も醜く変形してえぐれて来ている。

あれだけ美しかった霧子なのだが……最近ではあの四谷怪談のお岩さんの様な醜い姿になってしまったのだ。


 1920年代後半まだちゃんとした特効薬も無い時代、どうする事も出来ない。


 3年から4年前の、まだ遊郭にいる時に移ってしまったものらしいのだが、数年の潜伏期間の後に発病する事も有るのだ。

 非常に怖い病気。


 今まで頻繫に電話をくれた陽介も、知ってか知らずか……ぷっつりと連絡が途絶えた。


 頼みの綱の本郷はというと、霧子の行動を逐一報告させていて、若い男と度々会っている事は知っている。


 あんなに今までは霧子に執着していたのに、梅毒で醜いまるで化け物のようになってしまった霧子をこれ幸いに{俺の妻でありながら男と会っているなど、到底許せぬ。不届き千万!}口実を付けてアッサリと捨ててしまった。


 霧子は、梅毒に侵され容体も思わしくないないばかりか、あれだけ美しかった顔が醜いお岩さんのようになり、頼みの綱の本郷に捨てられ、命より大切な可愛い息子と引き離されて、更には陽介とも音信不通になり天涯孤独の身となり、余りの出来事に世を儚んで自殺をしてしまった。


 この霧子の息子がのちに事件に???


 ♥️*遊女が男性客の相手をする部屋・回し部屋あるある*♥️

【いろんな客が来る。中には遊女たちが苦手な客・嫌いな客もいた。


 遊女の生理サイクルを知っていて膣口が最も柔軟性に富み密着度が増す時期に毎月、同じころつまり交合に最適な時期に来る。


 なかなか射精することなく、抜き差しするばかり。

 女陰の感触を十分に楽しもうと時間をかける。

 遊女は、女陰や腹に疲労が溜まり困り果てる。


 性交したまま腹の空気を全部出して息を止め、そして、足の指先を上にたててふんばって、男の腹を自分の腹に密着させ腹に力をいれたら、「いくいく」と矯声を上げるのがポイント。

 これで、男根は突然射精をする。


 迷惑な客では、秘具を持ち込んで、交合の際に使う客もいた。


 半立ちの客も手に負えない。

 そんな時は男根以外の性感帯を繰り返し刺激した。


 遊女は、数をこなしてサッサと終わらせたい。

 少しでもお客を多く取り借金を返す事が目的。



 *遊女のプレイ技術*

【妓楼(ぎろう:現代でいう風俗店)の亭主の女房や遣手(やりて)と呼ばれる遊女の指導役の女性、先輩遊女に教育された。


 江戸時代の戯作(げさく:江戸の俗文学)

「色道諸分難波鉦(しきどうしょわけなにわどら)」

「肛門を締めることで膣の締まりを良くする技術」

 戯作を読んで吉原の遊女は勉強していた。


 女性は幼いころから性的プレイの技術を習得することで、「名器」に仕立てられていた。

「遊女自身が感じるのは恥である」遊女としてのプレイは「仕事」


 遊女は1日で多くの男性と性的プレイを行うので、体力を大きく消耗している。

 その為プロとして仕事をするには、妓楼は「感じるのは恥」と何度も伝えることで、遊女を心理的に不感症にしていた。


 遊女は「感じているふり」をしていた。

「迫真の演技」で男性客を魅了していた。

「遊女のよがり声は大きく、色っぽい」男性客の間で評判となっていた。


「遊女が感じてはいけない」という教えは昭和の吉原にも受け継がれ、大切な教えの一つだった。


 遊女の必須アイテム「フノリ」陰部を潤わせるためにフノリを使っていた。

 フノリは漢字だと「布海苔」海藻類。

 海藻であるフノリは、温めると粘性を発揮してネバネバになる。このネバネバを陰部にコッソリ塗り付けると、遊女が感じたと思い客が喜ぶ。


 また、膣内にふやかした高野豆腐を入れて男根を締め付けるという方法も取っていた。


 江戸時代の遊女たちは借金返済の為に血のにじむ努力をしていた。

 そのため、日々の努力は欠かせなかった。



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