第27話⁂初美の過去?⁂



「あのA氏殺害事件はもう10年以上も前の話で、あの当時警察も必死に井上幸子と名乗る女性の痕跡を辿ったが、等々見付からなかったと言っている。それと若いパンパン風の女性の痕跡も全くと言って良いほど分からなかったらしいが?…でも先代のA氏の父親が遊郭を経営していたらしい……その跡継ぎとしてA氏が新潟から横浜に引っ越している…やがて手広く広げて行ったらしいが?」


{折角初美の過去を知る人物に辿り着いたと言うのに}

 中元と貴美子は地団駄を踏んで悔しがっている。


「折角の初美の生き証人を見付けたと言うのに本当に残念だ!A氏が最後に同郷の井上幸子という女性と会った後に消されているのだから、大空襲でもうとっくに亡くなっっている井上幸子の成り済ましが誰かという事だ?」


「本当に誰なんでしょうね~?」


「あの当時警察も{幼少期の井上幸子とA氏の間には何が有ったのか?}2人の関係を徹底的に調べ上げていたが……皆あの大空襲で死んでしまって、生き証人は誰もいなかったんだ。それから何故井上幸子に成り済ましてまでA氏に会う必要が有ったのかという事だ…それとパンパン風の若い女性とA氏の間には何が隠されているのか?………この2つに着目して捜査が行われていたんだ。井上幸子との関係は全く見えてこなかったが……若い女性との関係が少しずつ分かって来たんだ……昔はA氏の先代が金にめっぽう汚い男で相当あくどい手口を使って…遊郭をやっていたらしい……それは当時親に売られて来た若い女性を不当な扱いの末、死に追いやっていたという事も多かったらしい……それはどういう事かと言うと…遊女の衣装代は全て自腹だから…年貢が空けても借金のカタに切見世として下流の女郎やマネ―ジャ-更には遣り手と言って女郎の監督等をしなくちゃいけなかったんだ……又夜鷹と言って夜間に街頭で客を引く低級な売春婦としてお金を稼いでいたらしい……だから結局は借金から逃れられずに身体を壊したり……梅毒等で死んで行く娘さんが多かったんだ…話によると、母親や娘が不当な金の取り立てで恨んでいた連中も多かったらしいんだ。特にあの社長は金にめっぽう汚かったらしいから?相当恨まれていたらしいんだ!……まあ~?まだ分からないが?」


「それでも……あなた……変よね?……だってA氏が初美ちゃんと会いたいと言ったのに何故会いたがらないのよ?可笑しいじゃないの?……初美ちゃんはあれこれ理由を付けて会わなかったんでしょう?‥それって何かが隠されていると思わない?……普通だったら懐かしい同郷の新潟県の知人と会いたい筈よ…それを避けるなんて絶対に変だわよ?……挙句に折角親しくなったあなたを急に避けて……顔を合わせれば無視状態???あんな愛想の良いあの初美ちゃんが絶対に変だって?…ひょっとしたら初美ちゃんとあのA氏殺害に関する・・とんでもない秘密が隠されているかも知れない?……私社長から小百合と言う娘を盾に散々お金を拝借しているのよ……社長の娘だからタップリお金せびっていたからそのお金で……初美ちゃんの母親和子も何か…訳アリそうなのよね~?……どんな些細な情報でも、あの2人が以前住んでいた横浜での聞き込みを探偵を使って徹底的に調べさせてみるわ!」


「本当だね!俺達をバカにして!何が氷見支店の支店長代理だ。あんなに寝る間も惜しんで働いたのに許せない!しらみつぶしに調べて、あの怪しい初美と初美の母親和子の正体暴いてやる!・・そして不当な扱いを回避させて見せる!」




 この事を足掛かりに初美は追い詰められて…やがて想像もしない展開が待っている。


 初美はどうなるのか……?

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