第5話⁂小百合になった緑?⁂



 1973年5月7日のあの日も、やはり真っ赤に燃える…何か?不吉な……どす黒く濁った月が出ていた。


 何故あんな想像も付かない、恐ろしい事が起こったのか……?

 今も分からない???


 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 2012年6月某日

 日本家電の落日 開発競争に明け暮れ…気づけば安い某国企業に敗北



 長きにわたり商標として山下電機を用いていたのだが、

 1980年社名変更――――『BETTER・ベタ―』


 2019年6月初旬。

 ベタ―社長山下勉69歳と、もう直ぐ64歳の白崎緑は共に多忙を極めている。


 ベターはTV事業縮小など紆余曲折があったが、2人の間には息子2人も授かり何とかこの難局を乗り越える事が出来た。


 そこには緑の協力なしには考えられない事が多々あった。

 液晶パネルなどの焦げ付きで負債を抱えた部門に僅かばかりだが、金銭面でも援助を行っていた。

 当然の如く焼け石に水だが勉と緑の結束は、鉄の結束と言われるほど強固なものになっていた。



 2019年10月某日。


「小百合、里の不動産会社上手くいっているか?今は不動産業界も人口減少の一途を辿り激化が著しいからな~?」


 エエエエエ――――――――ッ?一体どういう事?

{静子が(白崎緑)なのに小百合ってどういう事?}

 そこには想像も出来ない事件が関係している。


「大丈夫よ副社長の三宅さんが、長らく番頭頭でしっかりやってくれているから」


「もう直ぐお義父さんの命日だな~鎌倉にお墓参りに一緒に行かなくては?……お義父さんが亡くなってもう30年も経つんだな~?」


「本当ね!あっという間ね!11月10日だから今度一緒に行きましょうね!」


 勉は緑の事を小百合と呼んでいるのだが?

 そこには深い事情が隠されている。


 今から45年以上前のあの日、北九州市小倉北区で起きた事件。

 突如として現れた緑(静子・小百合)もよく知る人物によって、1973年5月7日のあの日、あの憎たらしいポテトチップスを踏み付けためぐみちゃんが無残に殺害されていたのだ。


{あの事件では万里子お嬢様も相当ショックを受けていたが、突如として万里子お嬢様の消息が分からなくなってしまった……犯人は万里子お嬢様に近い関係者らしいが、何故あんなに優しい万里子お嬢様までが、疑われなくてはならなかったのか……?親切を装っているが、本当は恐ろしい只の偽善者だったのではないだろうか?まあ~まず身内を疑うのは常套手段だから?}


 実はそこには恐ろしい陰謀が隠されているのだ。

 また緑にまで、あの恐ろしい殺害事件は覆いかぶさって来る事になる。


 だが、あのめぐみちゃん殺害事件は、ほんの序章にしか過ぎず、想像を絶する恐ろしい事件の幕開けに他ならなかった。




【かつて日本の経済と雇用を支えていたパナソニックやシャープなど、ソニーを含めた家電3社は2012年3月期連結決算でそれぞれ過去最大の最終赤字を計上する事態に陥り、テレビ用パネル生産にこだわったテレビ事業への過剰投資が不振の原因だと戦犯扱いされた。


「家電敗戦」「テレビなぜ負けた」連日この様なタイトルが並び、紙面をにぎわせ、かつて日本の経済と雇用を支えていたパナソニックやシャープなどの苦境を書き立てた。


 高い技術力を誇り、世界市場への戦略商品だった日本のテレビは、いつの間にか強みを失っていた。円高の影響もあり、安価なテレビを桁違いの規模で市場に投入する韓国メーカーとの過当競争で価格破壊が進んだ結果、「売れば売るほど赤字になる」状態に陥ってしまった。シャープの堺工場の稼働率は3割程度と低迷し、パナソニックの尼崎工場は一部生産停止に追い込まれた。

気がつけば、海外市場で消費者に選ばれたのは、画面でも音でもなく安価な商品だった】



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