パンデミック、サバイバル、サイコパスなどなどゾンビ物ではよくある要素。ただゾンビ物の中でコチラは稀有な作品。
主人公が扱うは古流剣術。正面からゾンビを掻っ捌き、外道なサイコパスを斬り捨て時に切り結ぶ。
特に個人的に見所として推したいのは後者。
前者も熱い展開はあるが、個人的には後者における対人戦、手練達人曲者、手強い敵と繰り広げられる戦いの描写展開思考の熱さ。
殺人のために磨いた術理を交わし合う、殺意を濃密に描いていて実に実に実に面白い。
剣客者の小説を読んでる感覚をゾンビ物で味わえる。ゾンビ物はかずあれど、ユニーク極まる面白さがあるのは、この無職マンこと田中野一郎太が主人公のこの作品だけよ。
主人公視点で淡々と進む物語。
なのですが、抜刀術と手作り手裏剣で襲い掛かる人間とのアクション多々ありで読み応え抜群!
主人公は避難所には合流せず、自宅での生活を充実させるべく今日も今日とてコンビニやホームセンターに本屋さんと街中を探索をしていきます。
しかしその途中強盗に襲撃されたり(かなり頻繁)、国民を守るために潔く殉職した警官の遺体に出会ったり、子供を守るためにその身を犠牲にした女教師がいたりと、様々な出来事に出会います。
その一つ一つに主人公は向き合い、善意の心で自分にできることをやっていきます。
終わってしまった世界で懸命に生き延びようとする人たちと、できる範囲と言いながらついつい無理をしてしまうお人好しな主人公の物語を是非とも多くの方に読んで欲しいです。