第51話⁂若頭林!⁂




「組長!永田の失踪には、あなたが関与しているのではありませんか……?そんな根も葉もない噂話を広げて、厄介者を抹殺しよう等とは、浅はかすぎます。金の無心をする男と恋愛関係になる訳がないじゃ~ないか……?もし暴露されたくなかったらサッサと組長の座を譲りな!」


「男と女の関係なんて千差万別だ。貢ぐ事で相手を繋ぎ止めたいと思う事は往々にしてあるからな……!所でお前だってこの俺をゆする身の上か?散々ノミ屋、麻薬密売児童売春諸々の違法行為は、数え切れないほどやっているじゃないか?お互い様だ!」


「それは組長も同じ事、シノギの世界はそれでおまんま食ってるんだ!お互い散々違法行為はやっていて当たり前だ……?ウッフフフ!だが折角堅気の夢のような別世界に嫁いだお譲さんが、実は武闘派で恐れられている吉川会組長の娘で、富豪のお嬢様の成り済ましと分れば離婚だけでは済まない。完全に世間から抹殺されて芸能界からも追放される!ウッフフフ……!俺は失う者など何もない!だが……?あんたのお譲さんは別だ。ウッフフフ!世間にバラシてやる!」


「マッ待て…!お前の話も考えて見よう!俺だって親孝行娘に、事あるごとに『そんなヤクザから足を洗ってチョウダイ!後は私が一生お父さんの面倒を見る!』と言われている。何もこんな裏社会で人生終わりたくない!だが?色んなしがらみも有るからもう少し待ってくれ!」



 こうして油断をさせて高級マンション「アズソ-ト博多」に若頭林の愛人が住んでいることをつかんだ組長の忠は、同マンションの204号室を知人名義で借りて、舎弟のBを潜入させて、無線機を置いて若頭林の「アズソ-ト博多」の見張り要員で、10年以上も前に、小百合お嬢さんを青木ヶ原樹海で殺害してくれた、今現在は本部長を務める後藤の子分Cと交信できる様にしたのだ。


 若頭林は子分に付き添われて愛人宅「アズソ-ト博多」に意気揚々とやって来たのだが、待ち構えていた舎弟のBに1階エレベーター前で38口径リボルバー拳銃で銃撃された。


 ””バンバンバン””


「クッソ―――ッ!」


 ””バンバン””


「ウヮ―――ッ!」


「ウ――ッ!」


 ””バンバンバン””


 若頭林と子分は即死。


 舎弟のBも、若頭の子分から銃撃を受けたのだが、逃げ切れずに川に飛び込み2021年現在も消息不明。

 これで静子一連の成り済まし事件を知りえる人物は、全て消え去った。


 それでは10年以上も前に忽然と姿を消した万里子お嬢様は、一体何処に消えたのか……?


 次回いよいよ最終話です。










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