第47話⁂めぐみちゃんの死!⁂



 光のシャワ-*・。⋆✰新緑と花々のレースで飾られる春の森*。✶

 黄蝶なのかと錯覚するかのような・・・一面の菜の花❀**・もえる陽炎、まことに春らしい・✰*。・


 そんな1971年春の日の事。


 若干36歳でこの世を去った、美しく聡明な万里子お嬢様の母であり、命より大切な愛する人を失った万里子お嬢様と滝の嘆きは、想像を絶するものがある。


 後に残された万里子お嬢様と滝は、一流企業の社長夫人からこんな日本最南端に位置する、九州くんだりに追いやられた母があまりにも不憫で、欲の塊の貴美子親子を到底許す事が出来ずにいる。


【沖縄返還1972年5月15日】


 母初美の死で、この万里子お嬢様と滝は、貴美子と小百合お嬢さんに対する、同じ復讐心という不思議な運命共同体の様なもので固く結ばれていった。


 一家の大黒柱であり、家族を照らす太陽であった母の死は想像に難くない。

 2人の貴美子と小百合に対する恨みは日に日に増幅していく。


 2人は事あるごとに恨み言を口にしている。

「母初美が死んだのはあいつらのせいだ!」


 最近では万里子お嬢様は、滝を自分の父親代わりに何でも話せるようになって来ている。

 それはどういう事かというと……?

{滝は私が考える以上に、率先して私の思いを叶えてくれる!}


「滝、めぐみったら私に告白してくれた木村直樹との間を、邪魔ばかりするのよ。アッタマに来ちゃって……それから…?母の事を、男をたぶらかすフシダラな女だって散々罵倒するのよ許せない!」


「本当に酷い事を言いますね。僕もそれは絶対に許せません!」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 あれは確か静子が、メジャーデビュ―もボチボチ決まり掛けた高校生活も残すところ後1年と迫ったある日の事。


 3月下旬、福岡城跡に満開の桜の花が咲いて*。🌸


 そんな満開の桜を横目に、万里子お嬢様に呼び出されて、慌てて豪邸に向かった静子。

そこで思いも寄らない相談に啞然とした静子。


 いつもの温和なのんびりとしたお嬢様とはまるで別人のように、真剣な面持ちで話し出した。


「…あの~?あの~?大切な話があるのよ……あのね…!こんなこと言っちゃ本当に失礼な話なのだけれども……?あなただって…あそこの住人だって事……隠したいでしょう?…それから、あなただってメジャーデビューの話も来ている事だし、気分一新、全くの別人に生まれ変わるのも良いんじゃないの~?……勿論タダでっていう訳じゃない無いわよ……!タップリ褒美も弾むわよ!……お互いの為に、申し分のない話だと思うのよ!」


「…急にそんなこと言われても……?それで‥誰と?…誰と入れ替わるのよ?」


「それが日本でも有数の、不動産会社のお嬢様と入れ替わって欲しいのよ……私もあなたを見た時はびっくりしたのよ!‥余りにも瓜二つなので?」


「…そんな事言われても……私…?ちょっと考えさせて?」


 こうして静子は、自分の考えの及ばない所で、人間の欲と欲の入り混じった人間模様の渦の中に巻き込まれて行く事になる。


 それからしばらく経った5月7日に、めぐみちゃんが学校の帰りに何者かに竹やぶに押し込まれて、変わり果てた姿で発見された。



 実は事件の起きる数日前に、万里子お嬢様とめぐみちゃんは、木村直樹を巡って凄いバトルを繰り広げていた。


「直樹は私と付き合って下さい。とハッキリ言っているのよ!あなたには悪いけど、こればっかりは私も譲れないわ!」


「何を言っているの?私は去年の夏休みに長嶋スパ-ランドに行った時から、直樹とは付き合いが有るのよ?まだBまでだけど?……それでも…一緒に映画を見に行った事だってあるから」


「エエエエエエ―――ッ!ヒド~イ!じゃ~言うけど、告白された~?めぐみはいつだって私のモノ欲しがるのよ、そして要らなくなったら捨てる。あなたはいつだってそうだった!」


「フン!あなたのおばあちゃんには、お父さんも散々泣かされ酷い目に合って来たって…事あるごとにぼやいているのよ……!おじいちゃんが借金だらけになって仕方なくまだ子供だった父を、鎌倉の家に預けたら、従業員を使って殴る蹴るの暴力をおばあちゃんがやらせていたって事、同じ従業員だった私のお母さんが証言しているのよ…!そういう事もあってあなた達家族が許せないのよ…!その挙句にあなたのお母さんたら、私の父にまで色目を使って誘惑したって母が暴れて死にかけたんだから…?だから、あなたのお母さんが亡くなってくれて…こんなこと言っちゃ悪いけどホッとしているのよね?ウフフ!」


「……ウウウウッもう!許せない!あなたなんかもう!」


 こうして頭に血が上った万里子お嬢様は、めぐみちゃんを””カ―ッ””となり思い切り殴りつけたのだった。


 勿論めぐみちゃんも負けてはいない。

 こうして取っ組み合いの凄まじい喧嘩が、勃発していたのだが……?


 この数日後に、めぐみちゃんが学校の帰りに何者かに竹やぶに押し込まれて、変わり果てた姿で発見されたのだ。


 犯人は数日前に、凄まじい喧嘩をしていた万里子お嬢様なのか?



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