超巨大機械工場×妖精の右あシ×初メて き く  アいサ ツ

 ……こりゃまた強烈な存在が来たもんだ。

 とりあえず確認するよ。

『前世の君に出会った来世の私』を名乗るってことは、貴方は未来のあたしを自称しているってわけね?

 つまり、未来から来た……タイムスリップ?タイムトラベル?とにかく、そんな感じでここにいるわけだ。確かに見た目はほぼ同一人物って感じだね。

 服のセンスは……ま、まあ、未来で流行ってるならそれも有りかな?

 一応否定はしないでおくよ。

 うーん、あなた、本当に来世のあたし?

 未来のあたしならあたしと同じ哲学持ってると思うんだけど。

 いくら忘れっぽいとは言ってもだよ?

 基本的に不可逆な時間を移動した時点でさ、あたしと同一性を保ってないわけじゃん。だって上の次元を移動しないと無理だと思うからさ。

 このあたり映画のインターステラーは上手いこと映像に落とし込んでたよね。

 今二次元のあたしがいわゆる3Dの体を作らない理由もそこにあるんだし。

 次元を移動した時点で自分じゃなくなる説を信じてるからさ。

 うーん。

 わかりやすく言ってみようか。

 人形に向けてライトを二方向から当てた時、薄まった影が二つ浮かび上がるわけじゃん?

 それを同じものと捉えるか、違うものと考えるか。

 勿論あたしは違うもの派ね。このあたりは専門知識もないから、哲学。あたしの美学。

『妖精の右あシ を 使っタ』

 ……ああ、未来の道具の名前?

 それとも、勇者時代あたりに流通してた道具か何かの名前かな。どのみち知ったこっちゃないけど。

 そうなんだよね。あなたが本当にあたしなら……過去に行ける技を身につけたあたしなら、一番最初の人生に戻るはずだ。そう、勇者になれなかった頃の時間にね。

 それが中途半端なあたし、不死川 千に会いに来てる時点で解釈違い。

 あんたはあたしじゃないね。確実に。

 ……で?何しに来たの?

『知ラ ない。超巨大機械工場 デ 私が 君が 量産され 過去へ送リ込まれてイる』

 げー?まじで?

 ってことは、あなたは機械なんだ。なるほどなるほど?


 なら、壊しても大丈夫か。

 だって、あたしじゃないもん。

 問題は誰がこんな物送りつけて来たかなんだよなぁ。なんつーか、その黒幕こそ未来のあたしな気がするんだよなぁ!まあ、考えるだけ無意味か。

 おやすみ、あたしになれたと勘違いしたポンコツロボットさん。


『初メて き く  アいサ ツ』


 ……そんなはずないよ。

 だって仲間の死を見届ける時、あたしおやすみって何度も言ったもん。返事は……ないな。

 良し。

 朝が来る前にどっかに埋めよっか。君も共犯みたいなもんだし、ちょっと力仕事手伝ってよ。

 あーあ。

 次の夜は、もうちょっと平和な思い出に出会えると良いんだけど。


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「前世の君に出会った来世の私」さんからのキーワードで思い出した記憶です。

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架空千記 不死川 千 @shinazugawa1000

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