ほたて×優勝カップ×猛暑
はい、もしもし。こんばんは、ランティちゃん。
こんな時間までまたゲームしてたの?
本当に好きなんだねえ、耐久配信。
あたし?ゲームはライトに楽しみたい派かな、さすがにランティちゃん級の長時間耐久はちょっと……体力がね。ははは。
そんなあたしとランティちゃんが会ったのは、ヒトデ時代だった。
いやいや馬鹿にしちゃ駄目だよ、だってランティちゃんもヒトデだったんだもん。
あたしのこと千姉さんって呼んでくれるけど、ヒトデ時代に姉妹兄弟だったのかは、正直わからない。
でも、隣り合って岩に張り付いたりしてたし、同じ窯の飯ならぬ同じ殻のほたてを食べたりしてたから、ヒトデなりに仲良かったんじゃないかなぁ。
実はヒトデとかクラゲって脳とかのないんだけど、仕組みはわからないなりにコミュニケーション取れてたんだよ。
敢えて言うならテレパシーかな。こっちにご飯あったよ!って念じたら、ランティちゃんが泳いできたりしてくれた。ヒトデ、結構動けるのよ。
それで、やっぱり一番印象的だったのは二人で沈没船見つけたことかな。
猛暑日だったのかな。いつもは浅瀬でみんなと並んで、岩に張り付いてるんだけど、その日は海水の温度がジワジワ上がってた上に海水浴をしにきた人間の子供達でちょっとした戦場になってた。
それで、あたしたちは冷たい海の底に避難して、海水浴シーズンが開けるのを待とうとしたんだ。
ん?ヒトデって結構深海行けるよ?
それで、ゆっくり二人で沈んで、海底に着陸できた、その瞬間だった。
ランティちゃんが、柔らかい砂に埋まった硬いものを見つけたんだ。貝だと思ったあたしたちは、うまくいけばご飯にありつけると思って二人で掘り出してみた。するとそれは貝じゃなくて、金で出来た腕輪だった。
間違えちゃったんだね。
そこから辿るようにして、二人で見つけたのが……そう、お宝を積んだ、古い海賊船だったんだよ!
あたしは人間時代の知識とかうすーくあるから、本当にこういうのあるんだ!すごーい!って思ってたけど、ランティちゃんは目の前にあるキラキラしたお宝に、純粋に目を輝かせてた。…いや、ヒトデに目はないんだけどさ。何かしら感じとることは出来てたからね。
とにかく二人で心を奪われて、ヒトデなりに大はしゃぎしてた。宝石のついた……何かの優勝カップ?みたいな杯(さかずき)に、繊細な細工のついた金の指輪。香水瓶もあれば、金のインゴットもあった。
その中でも特にランティちゃんが気に入ったみたいだったのは、存在感あるブローチ。
ちょうどヒトデのあたし達みたいな形した五芒星が宝石で作られて、真珠と金の細工でふちどりされてるようなデザイン。
敢えて言うなら、ペリドット?そんな感じの黄緑色に光る宝石だった。水面から差し込む光を受けて、特別光ってた。
それを見てランティちゃんは言ったの。
「僕もこうなりたい」
って。意訳ね、意訳。ヒトデに言語があるわけないから。
それは宝石そのものになりたいって意味じゃなくて、キラキラしてて、見てるだけでときめいて、元気になれる存在になりたいって意味だった。
だから、あたしは「なれるよ」って返したの。ヒトデなりに、そんな気がしてたから。
だから今のランティちゃん見てると、その時の願いが叶ったのかもななんて思っちゃう。
だって、キラキラしてるから!
……いや、髪の毛じゃなくてさぁ。確かに発光してるけども。
概念的な……ね?
うん。うん。そうだね、へへ。照れなくていいのに!
……通話切れちゃった。
深い海の底に沈んでいても、見つけてもらえる星……かぁ。
あの時見つけた沈没船、どうなったのかな。
人類、見つけることできたのかな。
それではまた、次の夜にお会いしましょう。
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造海ランティちゃん(Vtuber)からのキーワードで思い出した記憶です。
チャンネルはこちら。
https://www.youtube.com/channel/UC_H7gtPHkf2g5vP2tRIuD9w
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