疑問×記憶 ×仮説
君とこうやって夜道を歩くのも、もう何度目になるのやら。
こんばんは。毎度のごとく、あたしだよ。
今日はあたしの思い出話じゃなくて別の話をしてみよっか。
そろそろ君が抱くであろう、疑問の整理整頓だ。
たまにはこういう夜もあっていい気がするんだけど、どうかな。
……
ねえ。
ここまであたしと色々話して来て、不思議に思ったことはなかった?
人間以外にも猫に産まれたりネズミだのヒトデだのに産まれたりしてるのに、なんで記憶が保たれたままなのか。持ち越されるのか。
特に人からヒトデあたりは容量的に不可能だとは思わない?だって記憶を保存しておく脳すらないんだから。
あとは、明らかにこの世界の歴史から外れた現象の話題がちらほら見えるのは何故か。
変だって思わない?
あたしは、自分でも変だなーって思うよ。
さすがにね、そのあたりのことは分かった上で話してるよ。これでも世界と時代に沿った常識は最低限持ち合わせてるつもり。
例えばこの前話したユニコーンとか、普通に考えるとおかしいよね。
この世界で歴史上実在を確認されているのは、サーカスの見せ物小屋で無理やり作られた一本角のヤギ程度だ。
神話生物であるユニコーンに近付けるため、白いヤギの二本の角をギュッと近付けて一本に見せかける力技があったんだよ。もちろん余裕で動物虐待だから駄目な話なんだけどね。
閑話休題。本題に戻ろう。
このあたりの点は、どうして起きたと思う?
ま、あたしからすれば経験した出来事だから思うところもあるわけだけど、君からすれば架空のお話だ。疑問に思ったことすらないって言われても怒らないよ。
何より、あたし自身あくまで予想を立ててる段階だからね。いつも以上の与太話さ。
……
ねー。わかんないよねー。
だって確かめようの無いところに答えが置かれてるんだもん。いくら考えを広げたところで机上の空論でしかない。
仮に解決策が見えたとしても、今の私に掴む方法なんてないんだよ。
あたしにかかった呪いを解く方法は、ない。
ないんだ。
でも、今はこれでいい。
十分恵まれた環境にいるわけだし。
だって、今までの人生だとこんなことを誰かに打ち明けたところで狂人扱いされて終わりだった。
もしくは、似た妄想を持つ狂人達が寄ってきて困らされたりした。
それが、こうやって真剣に聞いてくれて、考えてくれる人が傍にいる。あたしを頭のおかしい奴扱いしないで一緒にいてくれる。
それだけで十分ハッピーなんだよ。
不死川千は、本当にハッピーな存在だ!
ちなみに、今日話した疑問に対する仮説はあたしなりに立ててあるよ。
また思い出した時にでも話してみるから、君もそれまでに考えておいてよ。
あたしからのちょっとした宿題だね。
じゃあね。また次の夜にでも。
いつもあたしの話、真剣に聞いてくれてありがとう。
救われてる。
心の底から。
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