第147話 11月5日 土曜日34
駅の改札気に捕まる男性1人。よくよく知っている奴だが――。
「今のうちか」
「電車来てるよ」
「先輩早く」
「はいはい」
俺たち3人は知らぬふり。そのまま少し小走りでホームへ。そして駅に止まっていた電車に乗ったのだった。
ちなみに、改札機に捕まっていたのは旺駆里だ。というか旺駆里しかいないな。
多分強行突破しようとしたのだろうが。普通に通れなかったらしい。そして駅員さんもいるので無理に通過はできず。そもそも騒いでいたから、駅員さん目を付けていただろうし。
ということで、何が起こったかというと。俺たち3人は改札を問題なく抜けたが、旺駆里がしっかり改札機に捕まったのだ。
その間に俺たち3人はちょうど発車するところだった電車に乗ることができて――無事に旺駆里から逃走したのだった。
って、旺駆里どこまで追いかけてくるんだよ。駅は大学の外だぞ。大学祭良いのかよ。マジでどこまでくるのか――あっ、それだけ胡乃葉がなのか。そりゃ胡乃葉を改めてみるとだけどな。
そんなことがあって、やっと平穏?いや、平穏なのだろうか?まだあいつ追いかけてくる可能性ある気がするが――でも今乗った電車に追いつかれることはないと思うので、とりあえず俺たち3人はあいていた座席へと座ったところだ。やっと静かになったよ。
それから俺たちは電車に揺られながら話していた。というか。勝手に九条さんによりこの後の予定が決められて――。
「えっ、えっ!?本当に私の家行くんですか?」
「米野さんの家に突撃訪問的な?」
胡乃葉が困った表情。そして、九条さん楽しそうにしていた。
いや、なんか座席に座ったら、この後どうする?という感じで九条さんが話し出して――俺たちに聞いてきたはずなのにすぐに『あっ。米野さんと仲良くなるために。米野さんの家行こうか』などと言い出したのだ。
「先輩。何とかしてくださいよ」
「いや、俺に言われても」
「なら楠君の家に私が行ってもいい?」
「それは大変なことになるからお断――」
「その場合私も行きます」
「――」
そして今度は急に俺の家案が出てきたので断ろうと思ったら。胡乃葉が食いついてきて、なんか中途半端な感じになったというか。俺の声がちゃんと九条さんに伝わらなかったらしい。
「あれれ?米野さんなんか必死?」
「そ、そんなことないです」
「えー、急に立候補してきたけど?」
ちなみに電車はロングシートだったので、俺を挟むように2人が座っている。そして俺を挟んだまま何やら変な言い合いをするのはやめていただきたい。小声だからまだいいが――なんか女性2人に挟まれている俺そわそわだよ。
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