第67話 10月29日 土曜日5

「えっ?」

「何で東山さんが謝るの?」


 俺と九条さんで話していると、東山さんが申し訳なさそうにつぶやいた。


「いえ、本当は私の友達――同じ1年生の子を誘う予定だったんですが――」

「あー、そういう事。いや、みんなが空いているわけじゃないし。東山さんが悪いわけじゃないでしょ。ってか、東山さんもあのうるさい旺駆里――って、東山さんは旺駆里じゃないのか。えっと――下田君からだっけ?」

「あっ。えっと、はい。私は――下田君に。下田君とは大学の科目で同じ班でして、それでよく声をかけてもらって――」

「なるほど。そういうつながりか」


 下田君と東山さんって、接点ない気がするが――などと思っていたが。スッキリした。


「東山さん。ここの男。馬鹿しか居ないから気を付けてね。あっ。楠君はまともと思ってるよ?私たちと同じ巻き込まれ側って」

「ははは……」


 なるほど、九条さんは参加はしているが――旺駆里の事をよく知っているらしい。ちなみにこの後小声で――『上手に参加したら、美味しいもの食べれるし』と言ってきた。旺駆里を上手に利用している人。ここにも居た。


「ってか、楠君」

「はい?」

「一応同じ2年生だし。こうしてたまに会うこともあるんだし。連絡先教えてよ」


 そう言いながら九条さんは先ほどチラッと登場しつつも。出番なく戻っていったスマホをまたカバンの中から取り出した。


「俺の連絡先を知ったところで、特に有益な情報はないけどね」


 俺はそんな返事をしつつも断る理由はないため。スマホを準備する。


「いいからいいから、何かの時に知ってると。だし。そうだ。楠君勉強得意?」

「普通かなー」

「今までの単位は?」

「それは普通に全部取ってる」

「ならいいね。試験の時に助けてもらおうっと」

「——俺。またなんか巻き込まれそう?」

「いいからいいから。私小倉君と知り合ってから。友達は増えたけど、試験の時に頼れる人は小倉君関係じゃ少なくてね」

「それはわかる気が――」

「ってことで、いい人発見!みたいな?」

「ははは……」


 ちょっと俺心配――ではないが。九条さん上手に人を使っている?などと思いつつ。俺達は連絡先の交換をした――すると。


「そうだ。東山さんも教えてよ」


 九条さんは東山さんにも声をかけていた。


「えっ。あっ。はい。良いですよ」


 そして、俺の隣では女性同士の交換が次に始まったので、俺は用無しだな。ということで、スマホを片付けようとしたら――。


「あ、あの――」

「えっ?」


 ふと俺の後ろに影があった。


「楠――先輩の連絡先――教えてもらえませんか?」

「俺?」


 いつの間にか、東山さんが後ろへと移動してきていた。


「は、はい」

「別にいいけど――?」


 俺はそう言いながら再度スマホを出して――メッセージアプリを開く。東山さんの方は先ほど九条さんのコードを読み込んでいたと思うので、多分俺のコードをまず表示した方がいいだろう。と思いつつ画面を開くと。


 ♪

 

 スマホからメッセージの新着を告げる音――ってちょうど俺がスマホを見たと同時に胡乃葉からメッセージが届いたのだった。

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