第27話 7月15日 金曜日3
俺がここの行動。1000円札を俺の前に滑らせてきた理由がわからず混乱していると。
「せ、先月お会いした時に――その、お金払うの忘れてまして。そのまま帰っちゃいましたから。先月のお金を――と」
もじもじと理由を述べるココって、俺はそんなの全く気にもしていなかった。忘れていたな。って、お金なんてもらう気なかったし。
「いやいや、あれはいい。って、まさかだけど、ココ。俺を探してあれから毎日ここに来てたとかは――ないよな?数週間経っているし……」
「い、いや、学校もありますから……あははー」
俺の質問にごまかした感じの表情をするココ。これは……と俺が思っていると、答えは後ろから飛んできた。
「私。ココちゃんなら、2日に1回は見たよ?お店の中には来なかったけど、お店の前を通過して――通過して――って。で、先週だったか?やっと入って来てくれて――『ククさん。探しているんです……』だったから。その時はちょうどクク君テイクアウトだけで帰っちゃった時で、来週のこの時間に来るんじゃないかな?って教えておいたんだよ」
答えを笑顔で教えてくれるお姉様でしたと。
「なっ――バレてた……って――いろいろ言いすぎですよ!」
「……マジか」
飲み物を持ってきたお姉様に、全てバラされるココ。そしてバラすだけばらしたお姉様は即消えるというね。どうやら自分のやることは終わったというか。あとは遠くから見ていてやろう。といった感じらしい。って、お姉様。仕事して。
って、ココはココで。その行動はなかなかの不審者では?って、不審者もだが。かなりの間俺を探していたのでは?マジで?えっ?うそでしょ。
「はぁ……ココは何をしているのか。って、いや、マジであれは気にしなくてもいいから。あと――数週間?お疲れ様?」
「あはは……って、いや、でも――飲み物とドーナツのお金……」
「いいよ。俺が一部間違えて注文しただけだから」
「……でも」
「いいから」
「——はい」
俺が断り続けるとココはやっと諦めてくれた。1000円札がココの財布に戻っていった。
「……すみません」
そして財布をしまいながらそんなことをつぶやくココ。気にしなくていいのに。
「いや、ココもあの時は大変だったみたいだし。っか、あれからちゃんと帰れたか?」
「あ、はい、大丈夫でした」
「ならよかった」
「——あっ、えっとククさんは金曜日にここに――来るんですか?」
「え?」
「このお店に」
そんなこと聞いてどうするんだろうか?もう既にお金の事というのは解決したから――と、思いつつも俺は答えた。特に隠すことではないからな。
「あー、まあ夕食に来てるからな。金曜日だけ。ちょっと先週とかその前は忙しくてテイクアウトだけだったっが」
「え?夕食だったんですか?ドーナツが」
何故かココに驚かれた。
「夕食だが?」
「——ドーナツが?」
再度驚かれた。
「ドーナツがだけど?」
「——えっ!?」
さらにさらに驚かれた。
「うん?」
なぜか連続驚くココだが。最近の俺はドーナツが毎週金曜日の夕食である。このお店を見つけるまでは、ネットとかでお店を探して――金曜日の大学帰り。または土日にお店巡りをしていたが。ここを見つけてからは金曜日の夕食はほぼここである。
「足りますか?じゃなくて、野菜とかも――食べた方が」
ドーナツを見つつココが心配そうに俺に話しかけてくる。
「いや、金曜日だけだから。そんな毎日ドーナツじゃないぞ?」
「——でも、身体に――というか。はい」
「大丈夫だよ。美味いし幸せ求めてだから、金曜日は終わったー、なんだよ」
「そ、そうですか?」
「居るだろ?1週間終わったから飲みに行こう!とか言っている奴」
「————えっと――確かに聞いたことあるような気もしますが――あっ。私は飲めませんからそういうのはないですが……」
おっと、ここでココ情報発見か。飲めません――ってことは未成年。いや、単にお酒を飲めないという意味かもしれないか。でもちょっとココの情報っと。って、俺はココの手元に目がいった。
「っか、ココもいろいろ言いつつドーナツ食べてるじゃん。いい笑顔で」
「なっ」
実は俺の横ではココが話しながら、お金を財布に戻した後だな。話しながら手拭きで手を拭いて――またハムスターみたいにドーナツを食べている。両手で持って、ハムっという感じで、俺が話している時に少しずつ食べていた。少しずつ俺との会話中ココの返事が遅かったのは、ちゃんと飲み込んでから話していたからだろう。って、野菜がーとか言っていたココさんよ。いろいろ言いつつも幸せですって顔に出ているぞ?
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