第44話 10月7日 金曜日2
可愛い悲鳴の方を見ると、隣で白い物が噴出していた。噴出したは大げさかもしれないが。俺の隣でドーナツを頬張ったココ。ちょっとした惨事となっていた。ドーナツ中に入っていたクリームが頬張った瞬間に飛び出したらしく。両手がクリームまみれ。身動きが出来ない状態となっていた。
ちなみに今は俺の方を――恥ずかしそうに見てどうすればいいのか。といった感じで固まっている。上手にクリームはココの両手に留まっている。
って、そんな中でもちゃんと口は動いていたが。あれだな。食べ物は粗末にしないかな。ちゃんと食べたところは食べている。なら――クリームも舐めてはいかがだろうか?
「……子供だな」
「むー」
恥ずかしそうにこちらを見ているココ。何が言いたいのかはすぐに理解した。多分手拭きプリーズだろう。
「ちょっと待ってろ」
「——すみません」
「見てない間に、食えるのは食っとけ」
「——」
俺はそういい立ち上がり。トレイの返却口のところに置いてある紙の手拭き。ナプキンかな。それを数枚取って席へと戻る。その際に接客中のお姉様と目があった気がするが――会釈でやり過ごした。良かったー。接客中で。
「派手にやったな」
俺がナプキンを持って戻ってくると。ココの頬はちょっと赤かった。そして手に爆発したクリームは減っていた。多分――舐めて食ったな。
「——クリームの存在忘れてました――って、お行儀悪くてすみません……」
って、こやつ。なんやかんや言いつつ。まだドーナツ食べていた。ホント甘いものが欲しかったんだな。それだけ疲れていたのか。もぐもぐと食べている。
「ほら、食ってから手拭け」
「——はい」
俺はそう言いながらココの前にあったお皿に思って来た紙ナプキンを置いた。ってか、その間にもどんどんドーナツはココの身体に消えていった。いつもより早く食べたという感じだな。
ドーナツを食べ終える、ココはまず手を軽く紙ナプキンで拭いた。でもそれだけでは綺麗にはならないので「ちょっと手。洗ってきます」と立ち上がった。そこで俺は――。
「あっ、ココ」
とあることに気が付き。ココを呼び止めた。
「へっ?」
ココはすぐに止まって俺の方を再度見てきた。そして俺は再確認。
「ちょっとストップな」
俺はお皿の上に残っていた紙ナプキンを1枚手に取り。
「口の横クリーム付いてる」
「——なっ」
そのままちょうど立ち上がっていたココの口の横に付いていたクリームをさっと拭いた。クリームが付いたまま歩くのはだからな。恥ずかしいだろうし――って、拭いてから気が付いた。俺は何をしているのか。普通に紙ナプキン越しだがココの顔に触れたという。って――こっちの方がココ恥ずかしくないか?俺も恥ずかしいが……。
「あ――悪い。なんとなく流れで――」
みるみるココの顔が赤くなった。いや、言い訳をすると、少し前に子供みたいと思ったからだろうか。俺の脳内では勝手にココが子ども扱いを継続していたらしい。すまん。
「————あ、ありがとうござい……ます……」
ココはというと、はじめこそ何が起こった?という感じだったが――その後は叫ぶとかなく。もじもじ恥ずかしそうにして――そのまま手を洗い……ではなく。お手洗いと書かれていた方に小走りで消えていった。
あれは――怒った?いや、恥ずかしくて――逃げた?とにかく俺は――この後謝った方がいいか。などと考えつつ待機となったのだった。
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