第4話 10月17日 月曜日

 休み明けの月曜日。まず言っておこう。


「眠い……」


 大学の1限は怠い。俺だけではないと思う。ちなみに特に俺は土日に何かしたということはない。でも、大学2年になっても、休み明けの月曜日というのはやる気が出ない。身体が重たい気がする。

 

 でも誰か褒めて欲しい。


 何故なら俺はちゃんと起きている。そして目的の場所。大学へとちゃんと来ているからだ。さらに遅刻することなく。講義室で講義開始前にちゃんと椅子に座っているのだ。

 それは当たり前の事だろう?と、言われるかもしれないが。でも誰か褒めてほしいな。今の俺は1人暮らしで、だらけてしまえば、だらけられる生活だが。でも俺は講義をサボったことは一度もない。遅刻もない。

 でもそんな俺を褒めてくれそうな奴は周りには――居ないな。友人が居ないというわけではないが――その友人がな。そもそもサボりの常習犯だからな。俺が毎日ちゃんと来ても居るところを見てないから褒めてもらえないわな。って、あいつがこんなことで褒めるとは思わないが――。


 って、そうそう。まずは俺の自己紹介が必要だよな。勝手に買っているお前誰?だよな。

 俺は大学2年生のくす久瑠斗くるとだ。もうすぐ20歳になる。お酒が飲めるように――だが。特にこれに関しては嬉しくないか。そこまで飲みたいとかいう気持ちがないからな。俺は別に好きなものがあるし。

 あと、俺は――何が自己紹介で言えるだろうか……特にこれと言って目立つところは――ないんだよな。身だしなみには最低限気を付ける。というレベルなので、派手さも全くない。

 ってか、俺基本黒い。黒いな。自分でも知っている。黒を好むというか。そもそも黒系統しか衣類は持っていない。なお、日焼けはしていないので肌は白いと思われるので、黒が目立ってると思われる。って、服が黒いことをそんなに長々と言っても意味ないか。でも――黒い事以外特に思いつくことが何もないんだよな。俺スポーツとかあまりしないし。趣味も――あっ、そうそうドーナツは好きだから毎週食べに行ってるから、これ趣味?趣味なのか?なんだろうな?まあいいか。とりあえずドーナツ好きだ。あとは――何か……あるかな?これと言ったこと――ないな。


 俺が脳内で誰かへと自己紹介をすると言う悲しいことをしていると、足音が近づいてきた。


「おつー、クルトン。数日ぶりー。安定の隅っこに絶対居るから見つけやすくて助かるわーさすが」


 俺の隣に無駄に週初めから元気な声が聞こえた来た。

 ちなみにクルトンはパンだ。食べ物だ。スープに入ったり。サラダに入っているあれだ。というツッコミは嫌になるくらいしたので、今の俺は全く反応しない。面倒なことには反応しなければいいのだ。

 えっと、今の俺は自己紹介中だったか?楠久瑠斗。大学2年まもな……って、同じこと話してないか?どうしてくれるんだよ。変な奴が今日も絡んできたから自分がしていたこと忘れたじゃないか。とは思ってないが――。


 とりあえず俺は声の方を見た。


「クルトン?寝てるのか?」

「……」


 俺が返事をする前にまた食べ物の名前を言われた。だからそれはサラダの上とか。スープに入ってる食べ物だよ。ってのは、これも散々過去に言ったから脳内だけで返事をしてって、俺が話したいから、ちょっと黙れよ。でもこいつのペースで話すと俺が苦労する未来しか見えないので、もう少し無視してから返事するか。

 そうそう、今の事を言っておこうか。

 

 今はちょっと朝晩がひえだした10月下旬。場所は大学だ。そして俺の名前を間違って呼んで居るのは、小倉おぐら旺駆里おぐりという同級生。知人だ。面倒だから省略してやろうかと思ったが。こういう奴が好きな奴もいるかもしれないので、旺駆里の詳細を追加しておくと、長身で、ウザいことはあるが。多分初めての人が見たら爽やかイケメンに見えるのではないだろうか?俺は見えなかったが……。

 登場早々にいきなり悪い評価で説明するのは可愛そうだからな。ちょっと良い感じに言っておいてやろう。ぱっと見はさわやかイケメン。中身は――だ。

 えっ?良い感じに言ってない?仕方ないな。もう少し情報追加してやると。

 旺駆里は毎回俺に代理出席させて、自分は女と遊びまくっている。サボりのプロだ。って、こんなことはいきなり知られたくないだろ?だから少しだけ良い感じに――って、バラしたわ。

 俺の脳内だから問題ないと思うが?口に出したらそりゃ不特定多数の人が知ることになるだろうが。今は俺の脳内だけだ。俺の脳内なんて知ることが出来る人なんていないので――旺駆里よかったな。お前の評判は守られているぞ。今のところ。今のところは――な。


「………………?あー、お疲れ。旺駆里」


 俺はたっぷり間を取ってからいつも通り適当に旺駆里へと返事をしておいた。これが俺の旺駆里への接し方だ。

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