第79話 10月30日 日曜日10
「その――先ほどですね。友達から今日の午後。大学でハロウィンのイベントがあるからと――」
「そんなのあるの?」
初耳である――いや、誰か言ってなかったか?気のせいか?あれ?うーん。聞いてないということにしておこうか。覚えてないし。あやふやで答えるのもだからな。知らないことにしておこう。
「——あれ?先輩知らなかったんですか?チラシとか貼ってあったから、あと毎年あるって――」
「マジか。チラシか――全く知らない。来週の大学祭しか知らないわ――」
これ事実チラシに関しては見た覚えもない。
ちなみに去年も俺は大学に居たはずだが――大学祭前にハロウィンの行事を大学で何かしているとかこれもマジで知らなかった。
って、やっぱどこかでハロウィンの話を聞いたような――いや、知らないなら知らない方がいいと頭の中で何かが言っているから、このままでいいか。
ちなみに大学祭ならなんとなく覚えているからな?
「あー、確かに大学祭の看板の方が目立っていたかもしれませんが。ちょくちょくハロウィンのもありましたよ」
「あったっけか?」
「はい。書いてあったのは知ってます。大学の入り口のところで、子供にはお菓子を――とか」
張り紙ってみんなちゃんと見ているんだな。俺――見てないらしい。記憶にない。
「ってか、大学だけじゃない行事なのか」
「あー、大学ってより。あの辺り――って感じみたいですね。多分もうそろそろ始まっているのだと思います」
「今何時だっけ?」
時間を確認すると、今は15時前。子供に――とか言うならそんな遅い時間にはしないだろうからもう始まっているだろう。
「で、先輩――予定が空いているのでしたら――一緒に来てくれないかな――と思いまして」
「俺に?」
「はい。って迷惑ですよね。いきなりは」
「まあ確かにいきなりだが――」
別に嫌というわけではない。今日は胡乃葉のために空けていたようなもの――いや、そもそも土日は休み。暇か。それに聞くとどんなのかと気になるからな。
「その、私昨日も断ってて――友達はもう居るみたいで、今日こそおいでよ。的な感じで。どうしようかと、行けたら行こうか。と話していたくらいなので、断れなくはないですが。最近は毎回断っている感じなので、でも――先輩とすご――の方が。私は……」
なんだって?後半ぶつぶつしか聞こえなかったが――あっ、あれか。自分からここに乗り込んできたのに。とっとと帰るのが――とかか?って、それはないか。って、別に俺の事は気にしなくて良いのだが。
「別にいいけど」
「えっ?」
「いや、場所大学だろ?明日がしんどいかもだが――別にだし」
「——そ、そんなに遅くはならないと」
「って、何するんだ?」
「あっ。そういえば――何するんでしょうか?」
「知らないの?」
「あ、はい。一応先輩から――で、見に来たらってことを言われまして」
「そういう事か」
どうやら胡乃葉も――そのお友達?も自分たちからではなく。誰かから誘われて見に行くといった感じらしい。って、ハロウィンって――お菓子と仮想くらいしか思いつかないんだが?俺には縁のないことだからな。
「で、胡乃葉。どうするんだ?俺は良いけど――」
「え、えっと――じゃあ良いですか?一応顔出しに――」
「なら――出かける準備か」
「す、すみません。ありがとうございます」
胡乃葉は嬉しかったのか。それとも友達の誘いを断らずに済んだからか。ちょっと嬉しそう。安心したような表情だった。って、俺――居てその友達良いのかな?だが。って、気にしてもか。って――2人で居るというのも変では?いや――胡乃葉が誘ってきたから良いのか?いいか。
「まあ、部屋に居るよりはだからな」
「あっ。いや、先輩の部屋でも――楽し――」
「いやいや」
無理にいろいろ考えて言ってもらわなくてもだ。
「いや、それは本当で――」
「とりあえず――気を使ってくれてどうも」
「そんなつもりは――ないんですよ?」
「まあ、とりあえず――ちょっと待ってて。準備する」
「あっ、はい。あっ、洗面所――借りていいですか?」
「自由にどうぞ」
「すみません」
それから俺と胡乃葉はそれぞれがパパっと準備をして――今日は俺の家からなのでJRの駅へと向かったのだった。
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