精霊の魔法使い3
それから半月ほどは毎日、魔法についてリアと一緒にいろいろ試していった。
初めの一週間は、リアが俺の部屋にある本をそうとう気に入ったらしく網羅するまでずっと読んでいた。
その間俺は一人で魔法で出来ることをひたすらに試していた。
最初は、魔法使いといえば!みたいな感じで思いついたことをやっていた。例えば、火、水、氷、みたいな属性をイメージした魔法や障壁、飛行、筋力アップ、みたいな状態を変化させるような魔法などなど・・・思いついたら即実行の精神でめちゃくちゃ楽しんでいた。
気が済むまで試したら魔法がどうしたら発動するのか?どの範囲まで効果があるのか?など細かいところを一つ一つ試していった。部屋にあった道具を使って細かく測ったりイメージの中に数字を取り込んだりもした。
ほんとに楽しかった。なんか小説に出てくる勇者みたいな気分になれたしな。でも魔法は、やっぱり難しい。自身の体に廻っている魔素を使い続けるとだんだんと疲れてくる。使った魔素は、時間がたてば呼吸するみたいにだんだんと戻るがな。逆に周りの自然の中にある魔素を使う場合は自身のを使うよりもコントロールが難しくなるみたい。
リアが参加し始めた残りは、召喚魔法を中心にリアの使用している魔法について聞いた。この召喚魔法、異世界と繋げなけりばならないから膨大な魔素量が必要になるらしい。リアは、今回のを実行するのに一年間貯めたのだそうだ。
一年か~ まぁすぐに帰る予定でもなかったからいいんだけどね。
貯めることができるものが必要らしいのだがリアが使っていたものは、使うと同時に壊れてしまったらしい。仕方ないのでどうするのかを部屋の中で考えていたのだ。
「そういえば、俺、こっちに来てからリア以外にあったことがないんだけどさ~ほかに人とか魔物とかいるの?」
「ああ、いるぞ。人ならときどきこの森にも来るし魔物なんかは奥の方に行けばいるぞ。だがな~ 私はここの森一帯の精霊だからな、遠くに行ったことがないからそこまで詳しくはないんだ」
「ん? リアはここから出られないの?」
「そういうわけではないのだがな。この森は住みやすいし召喚魔法があれば退屈もしなかったからな~あまり外に出ようとは思わなかったのだよ」
ふーん、と答えながら魔物もいるんだ~と考えていた。そこでふと俺は思いついた。
「魔物ってさ魔素の塊みたいなものなのか?」
「そういった魔物もいるな。でもほとんどはそんなふうに魔素だけで出来ているわけではないぞ?」
聞きたかった答えを聞けたので少しにやけていたと思う。俺は、部屋からスケッチブックとペンを取り出して外に出た。リアは、突然俺が動きだしたので少し驚いていたみたいだが興味をひかれたのか一緒についてきた。
「なにか面白いことでもするのか?」
「成功するかわからんがまぁ見てなって!」
俺は、家から二メートルほど離れた場所で胡坐をかいて座った。そういえば俺、いま女だったと思い胡坐をやめようかと考えたがどうでもいいなと思いそのままにした。
次にスケッチブックをめくり白紙のページに二重の円を書きその中に六芒星の絵を描いた。それからイメージしやすいように文字を書いていった。
あとはそれを地面に置き全力で魔素を流し込みイメージするだけだ。するとしばらくして目もあけられないような光がほとばしり・・・・
「よっしゃ! 成功!!」
「はぁ!! なんよこれは!!!」
そこには、楕円形のツルツルボディー、色は薄い水色のような色で半透明、ボディーには先ほどスケッチブックに書いたような絵が描かれている、誰でも知っているだろうあのモンスター。 スライムがそこに誕生していた。
「コウ、すごいね。まさか魔物を作るとは思わなかったわ。でもこれどうするの?」
「俺のイメージで作ったからこんなことができる、アオ!これをしまってくれ」
俺は、そう言って手に持っていたペンをスライムことアオに渡した。するとアオは体をゆすって反応を示しペンを飲み込んでペンはどこかに消えてしまった。続いて出すように言うとどこからかペンを吐き出してくれた。
「こんな感じ」
「おお~ すごいな!私にはこんな発想はなかった。面白い!!」
と言ってアオの周りを飛び回っている。俺は、イメージした。もう一つのことを試すためにステータスを見た。
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立川康
人
20歳
男⇒女(逆転の効果 解除不可)
スキル
逆転
魔法
魔物の使役
・アオ スライム 0歳 なし スキル 空間
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といった感じになっていた。スキルってリアがいうには極まれにしか習得できないんじゃなかったけ?まぁいいや。思ってたのとは少し違っていたけどこちらも成功みたいだ。
なぜ、アオを作ったのかというとこのアオに魔素を貯めてもらうためだ。道具を作るという手もあったがなかなかイメージが定まらなかった。それに持ち歩かないといけなくなる。その点スライムなら勝手に動いてくれるし様々なサイズにもなれるから邪魔にならないと思ったのだ。
それにアオは俺の配下のようなものみたいだから指示を出してみたら後は集めてくれるみたいだ。だが、意思のようなものは弱いらしい。俺が指示を出さないと何もしてくれないようだ。
そんな感じでアオが安全かどうか調べていた。結果は今のところは問題ないみたい。
「コウには、負けていられん。どっちが師匠であったかがわからなくなってしまう。」
リアは、そんなことを言ってから自分なりに魔物を試しているようだ。でも、なかなかうまくいかないらしい。なんで俺は、一発でうまくいったんだろう? スライムだからか? ならば他のイメージで・・・
さっきのは、運がよかっただけみたいだ。犬のイメージで作ったりゴブリンなんかをイメージしてやってみたができなかった。というか形はできるが動かない。指示を出しても反応なし。結構魔素を使うからただ疲れただけに終わった。 なっとくいかん!!!
「リアできたか?」
「まだ! なんとなくわかってきたんだけどもう少し!」
「よ~し、俺のもさっきのはまぐれ感があるから完璧にできるように試そうと思ってる。どうせなら競争しないか?」
「まぐれ!? それはそれですごいけど・・・ わかった!どっちが早く作れるか競争する!」
どうせならと思い俺はリアも巻き込んで競争することにした。
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