俺は寝ていたい・・・

目を覚ますと白い部屋にいた。




ここはどこだ? 俺は寝ていたはずだが・・・




『ここは神域と呼ばれる場所 あなたは死んでしまいました』




突然どこからか声が聞こえ俺は死んでいると言われた。いや、イミガワカラナイ




『戸惑われるのは分かります 死の直前の記憶は曖昧になるものですから思い出せないのでしょう』




は? 思い出せないも何も夕飯に作ったカレーが微妙に不味かったのはよく覚えているしいつものようにFPSで死にまくってフレンドに迷惑をかけまくっていたのも覚えている。ほんとなかなか上手くならないんだよな~ドローンには当たらないし待ち伏せしてるのにこっちの位置がわかるかのように決め打ちしてくるし全然慣れない。やっぱり初めはNPCで練習するべきなのだろうか?でも動き方とかわからないし動画見た方がいいかな?




話がそれたな まぁ、要するに記憶が曖昧どころかはっきりとしている。朝起きてからいつものように人より早めに寝るまではっきりしている。謎の声は何を言っているのだろうか?




『・・・者として世界に降り立ってもらいます あなたは何が欲しいですか?』




ん? どうやら俺が考えている間にも謎の声の話が進んでいたらしい。何が欲しいか か。




「快適な睡眠が欲しい」




『・・・・・・は?』




「ん?」




『・・・はっ おほん! あなたは催眠魔法が欲しいのですね?』




「は? いや、快適な睡眠が欲しい 寝ることは素晴らしい! 眠ることは最高のことだ! いつでもどこでも何時間でも寝ていたい! だから快適な睡眠が欲しい!!」




『・・・・・・ では! 強化といったスキルを授けましょう! このスキルは自身のMPをすべて使い対象を強化できます MPを枯渇することにより疲労と共に眠ることができるでしょう』




そう聞こえると俺はスキルというものを貰ったらしい。なんとなくだが体が熱くなったように感じだ。




『対象を指定し強化と念じることでスキルを使うことができるでしょう 他のスキルを取得したい場合はステータスと念じることによっt・・・』




「強化!」




説明道理に自信を対象に強化を使用してみた。すると少し光ったかと思うと緩い疲労を感じていき徐々にブラックアウトしていくような心地よいような意識を落としていって・・・




『・・・・・起きなさい』




起こされた




「強化!!」




また徐徐に心地よく・・・




『起きなさい!!』




・・・・・・ZZZ




『・・・私は間違えたようです 私にもこんな時もあります 勇者は他の方に期待しましょう この男はずっと寝ていたいようですし半不死にでもして永眠させるようにスキル構成で孤島に放置でいいでしょう』




少しすると白い部屋の中には何もいなくなった。




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木野 京


Lv1


HP:10/10


MP:1/1




ポイント 0




ユニークスキル


魔力強化 LV:1


全MPを使用し対象を強化する




スキル


ループ LV1


設定した同じ手順を繰り返す




自動回復 LV:1


HP MPを徐々に回復する




不老 LV:--


老いない




スキル枠残り 7


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京は眠り続けた。何年、何十年、何百年、何千年も眠り続けた。自分を対象に強化をし続けることで素質が上がっていき上限に達すると今度はポイントが上がっていく。そのポイントすらもやがて上限に達するとスキルは強化する対象をスキル自身に変更した。スキルの強化すら上限に達しても起きない主人にスキルは余剰によって拡散してしまった主人の魔力を経験値に変換し始めた。これ以上の強化は不可能と判断したスキルはループを終了した。




「ん、はぁ~ ・・・・・・ここどこ?」




あたりを見まわしたが木の洞の中なのだろう。薄暗いが何故かはっきりと壁には木目が見える。




「ん? なんで見えるんだ?」




【マスターのステータスが類を見ないほど高いからです】




頭の中に突然声が聞こえてきたが何故か驚かなかった。澄んだ女性の声はとても心地よく驚いていないことに不思議に思いつつも声の主に返答する。




「えーと? あなたは誰?」




【私はマスターのスキルです ステータスを開いてみてください】




俺は言われるがままにステータスを開いた。




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木野 京


Lv--


HP:--/--


MP:9999999999/9999999999




ポイント --




ユニークスキル


魔力強化 LV:--


全MPを使用し対象を強化する




????? LV:--


意思がある




神の祝福 LV:--


老いない 死なない 回復する 中らない 使える 




スキル




スキル枠残り --


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えーと? なにこれ? 納得して理解できるのが自分の名前と魔力強化しかないのだが・・・ ステータスってこんなに白紙な感じなのかな? 白いところでステータスを見なかったからわからないけどたぶん可笑しいよね? んー、とりあえずは置いといて・・・




「この名称がないのが声のあなたかな?」 




【はい あっています】




んー 名前がないのは不便だな~ 




「名前つけてもいい?」




【はい 問題ありません】




何がいいかな? 天の声さんは安直すぎるか んー センスがないからな~ シリにでもしとくか? もうそれでいいか




「じゃあ シリって名前でよろしく」




【はい わかりました よろしくお願いします】




もう一度ステータスを開いてみると?????の部分が天の声【シリ】に変わっていた。


なぜに天の声表記なのだろう? 俺が天の声さんとか思ったからか? 悪いことしたな~




それはしょうがないとしてこれからどうしようか? とりあえず周りの確認でもするか?




「シリ ここがどこなのかとかわかるか?」




【はい ここは孤島ですね 小さな無人島です 転生担当の者にここに飛ばされました】




あの声の人がここにやったのか、何のために? ・・・考えてもわからんしいいか




「大陸は近いのか?」




【だいぶ離れてはいますがマスターなら問題ありません 大陸へ移動しますか?】




「ん? うん 出来るならよろしく」




【わかりました スキル天眼LV:-- 転移LV:--を取得 移動します】




そんな声がして一瞬視界がぶれたかと思うと俺は海岸にいた。




「転移したのか・・・」




【はい 転移しました】




こんな簡単に転移なんてできるんだ~ ・・・明らかに可笑しいけど無視をしよう そうしよう 転移できるなら人がいる場所にでも行けるかな? えーと、天眼だっけ? うわぁ、視界が開けた あっちの方に都市があるっぽいな 人のいない隅の方に転移する




「ほんとに一瞬だな」




さてどうしようか とくに目的もないしとりあえず今日は宿でも取るか あ、でもお金がない・・・




【スキルダンジョンLV:--を取得 貨幣を作成します】




と思っていたら目の前に金貨、銀貨、銅貨、なんか綺麗なコインがじゃらじゃら出てきた。




・・・・・・シリさん? 心の声聞こえてたのね




【はい 聞こえています】




・・・これどこかしまえる?




【はい スキル魔法LV:--を取得 固有空間に収納します】




目の前の山が消えた。




・・・・・・はは もう何でもありだなぁ 吹っ切れようか うん もう、シリにお任せでいいな


この世界に合わせた一般的な見た目の服をよろしく あと、必要そうなことがあったら任せるわ




【任されました 一般的な見た目の旅装を作成 スキル戦闘LV:-- 偽装LV:-- 叡智LV:--を取得 ステータスを一般的なものに偽装しました 旅人が丸腰なのは不自然になります 武器は何にしましょうか?】




ん?あー 武器か・・・ 短剣あたりでいいかな




【はい 鉄の短剣を作成 旅装及び短剣に魔法を付与 装備します】




一瞬光ったかと思うとジャージ姿だった俺は全体的に暗い色の装備に変わっていた。着心地は前と特に変わらないが見た感じはくたびれているように見えるから不思議だ。天眼で見た道行く人と変わらないような姿になった。手荷物としては後ろ腰に短剣が装備してあり肩掛けの袋を手にしている。




偽装したステータスはこんな感じだ。




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ケイ


Lv:32


HP:562/562


MP:834/834




ポイント 0




スキル


火魔法 LV:2


水魔法 LV:3


短剣術 LV:3


体術 LV:3


気配遮断 LV:5


気配察知 LV:5


俊敏強化 LV:4


スキル枠残り 3


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うん 普通はこんな感じなのね 俺が明らかに異常なんだ HP表記がないってなんだろうね~ MPの桁が可笑しいというかカンストしてるよね~ スキルもユニークしかなかったしレベル表記もなしとか意味が解らない存在なのだろう 




このステータスの見た感じ隠密か何かかな? 斥候ポジション的な奴であろう 今からはこのステータス基準で行動しようと思います たぶん・・・




「さて 今日は宿でも取って飯食ったら適当に過ごすか」




俺はその場か大通りへと歩いて行った






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起きてから数十年、何も問題なくこの異世界を旅している。過ごしてみて改めて実感したがもう俺は人間ではないのだろう。食べたり飲んだり寝たり普通の生物が必要なことをすることができるが俺には必要ないことが分かった。食べなくても死なないし喉は乾かないし寝なくても体調は崩れない。だけど、俺はなるべく周りに合わせて行動している。


まぁ、寝るのが一番好きな俺だからそこは普通の人より必要以上に寝てる節はあるが・・・




偽装のステータスに合わせて生活するのにもだいぶ慣れた。神の祝福により怪我をすることがないのだがそれすらも偽装して見た目上は傷を負うこともできる。偽装したステータスに合わせるために強制的に身体能力を制限している。ここら辺の微調整は俺にはめんどくさいのでシリにお任せだ。経験値取得によるステータスの調整ももちろんシリにお任せ。最近のシリは慣れてきたのかだいぶフレンドリーな気がする。




変わった変化としては表記レベルが56になったことかな?あとは、眠るときに魔力強化を自信を対象に出来ないことがわかった。代わりに鉄の短剣や装備に使っていたところ見た目に変化はないが性能がぶっ壊れてしまったことが大きな変化だろう。






鉄の短剣?


壊れない 鋭利 増える 変化 契約:木野 京




旅の装束?


壊れない 頑丈 伸縮自在 変化 契約:木野 京




小さな袋?


壊れない 異空間 伸縮自在 変化 契約:木野 京






説明が少なすぎてよく分かりにくいが使ってみるとその異常性能がよく分かるだろう。共通して壊れることがなく好きな形に変えることができる。鉄の短剣は時間が経つと消えるが上限なく数を増やすことができる。旅の装束は身長が変わっても問題なし。小さな袋はいくらでも収納できてしまう。どれも壊れた性能になってしまったため俺しか使用できないように制限を掛けたことで契約の表記がある。




これも知られるのはよくないということでステータスはシリにより偽装してあるので多分わからないだろう。




因みに今は王都に来ている。最近は飲んだくれて遊んでいた為か宿屋のおばちゃんの目がちょっと、いやだいぶ厳し様に感じる。現に朝食も品数が少ないような・・・いや、気のせいだ うん 気のせいだよ




【昨日よりも二割ほど減っていますね】




言わなくていいからそんな事 ほら~ おばちゃんすごい笑顔じゃん~




一月もこんな生活をしているのはまずかったな~ 今日は違う街に向けて旅に戻ろうと思います そうと決まればちゃっちゃと食べて旅の支度をするとしよう 特に用意する者はないけど・・・




宿屋を出ると外はいつもよりも大分活気づいているように感じた。早朝だというのに普段よりも人の数が多い。今日は何かあるのだろうか?




【マスター気づいていなかったのですか? 今日は勇者の帰還による宴ですよ?】




え? マジ?




【はい マジです】




やべー全く知らなかった てか、いつ勇者召喚されてたの? 帰還てことは魔王か邪竜でも討伐したのか?




【召喚されたのは2年ほど前ですね 今回は邪竜の討伐の様ですよ】




えーと、まぁ説明するとこの世界は不定期に魔王なり邪竜なりが神によって配置される。配置される理由は人が増えすぎているーだとか信仰が減っているーだとかまぁいろいろだ。これにより同族同士の争いが起きにくい様にしているらしい。しばらくすると神が勇者の遣わし討伐させるのだとか。




この世界に来る勇者は基本的に死者だ。何らかの事故で死んだ若者の比率が多いようだ。良く言えば頭が固くない、悪く言えば馬鹿で扱いやすい者を選んで召喚しているらしい。




説明が曖昧なのは叡智のスキルによって知った情報をシリが簡潔に端折って教えてくれただけだからだ。めんどくさいし俺には興味がなかったので詳しく聞いてないというのが大きい。




んー どうせだから勇者のご尊顔でも拝んでおくかな こんな時ぐらいしか会うこともできないだろうし偶にはいいだろう どっか見やすいところってあるか?




【大通りのところであればどこでも問題ないかと 屋根の上なら見やすいのでは?】




そうだな 人の多いところの屋根の上にでもいるか まだ時間あるのか?




【昼頃の予定のようなのでまだ時間はあります】




そうか~ 昼寝でもしてればすぐかね~ ん? この時間帯は何寝って言うんだ? ん~?




【・・・また寝るのですか 時間前には起こしましょう】




わるいな まぁそういうことでよろしく




【・・・・・わかりました】




ということで俺は時間になるまで屋根の上で寝ることにした。






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パレードの時間になった。通りだけでは収まらない人の数が屋根の上にまで大勢が登っている。俺の周囲にも人がいるが足場が急なため他の屋根の上よりはまだ空きがある。




大歓声の中待っていると更にうるさい大歓声によって勇者御一行が乗る馬車が通りに現れた。今回の勇者は男女の二人が召喚されたようでそれぞれ手を振りながら民衆の歓声に応えている。だいぶ慣れているように感じるのはこの二年間でもまれた証拠だろうか?その後ろでは邪竜討伐に参加したであろう軍の主要メンバーが参列している。さらに続く軍の統制の取れた動きはなかなかに迫力があり見ごたえありだ。




俺も楽しみながら周りに交じって手を振っている。一瞬女性の勇者の方と視線が合ったような気がしたがまぁ気のせいであろう・・・




【いえ こちらを鑑定していたようですね 勘違いと判断しスルーしたようですが】




あー やっぱ鑑定されてたのね この日本人顔が気になったのかね~ 問題なさそうだしこちらもスルーでいいだろう




【マップにマークされたようですがどうしますか?】




・・・・・・後で森の中にでも入って戦死したことにでもしておくか めんどくせー




俺は通り過ぎた御一行を見送り森へ向けてその場を後にした。






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あれから何年だろうか?長い時間を旅をして回った。訳の分からない部族に捕まり生け贄にされそうになったりちょっとキレて領主の館を吹き飛ばしたりなど好き勝手旅をした。領主のときは逆切れされて逃亡の身にされそうになったがその国の国王に領主の悪事を全部暴いてやり事なきを得た。そのあともめんどくさいことになりそうになったが他の国へ逃げた。




あとは、武人に教えを乞われたので相手をしていた時期もあった。俺はスキル任せというかシリ任せに指導していたのだがそれでもなかなか面白かったものである。あいつは今では何をしているのだろうか?またどっかで武者修行でもしているのかね~




召喚された勇者には何度か会うこともあった。なかなか性格に癖がありめんどくさいところも多かったが勇者に選ばれるだけのこともあり憎めない奴である。この世界に残ったものもいれば帰っていった者もいる。今頃は悠々自適に暮らしていることであろう。




まぁ 久々に長々と話したような気もするが要するに・・・




「あきた」




【突然なんですか・・・】




いや、あのさぁ この大陸はもちろんのこと海を越えた大陸も空に浮かんでいた島々もこの世界を保っている神龍にさえも会ってきてしまったのだよ これからどうしようかなぁ~とふと思ってな 寝たら何か思いつくかな?と思って寝てたけど思いつかなくてさぁ~




【はぁ~ なるほど 百年寝ても思いつかなかったと・・・】




え? 俺そんなに寝てたの?




【正確には97年ほどですね】




うわぁ~ だんだん時間の感覚がマヒしてら~ で、どうしようか?




【はぁ~ なら他の世界にでも行きますか?】




・・・ん? 他の世界? 行けるの?




【行けます 以前遭遇した帰還を選んだ勇者をマークしているのでその時間軸に転移することが可能です】




ほんとなんでもありだな~ その世界がどんな世界であるとかわかるのか?




【いえ 流石にそこまでは分かりませんがランダムに転移するよりは人のいる世界に転移した方が何かと不便はないかと】




なるほどね よし 日本人の勇者がいた世界に行くとするか!




【了解マスター これより転移します 忘れ物の無きようご注意ください 黙想ー】




なぜに黙想?思いを巡らせろってか? 目を閉じしばらく待つこと数秒、突然足場が消えたため慌てて目を開けると雲の上はるか上空から落下していた。




「シリさんやーい!! なぜに俺は何もなしでスカイダイブ!?」




【マスター落ち着いてください 魔法がありますから ほら】




お、お~ 緩やかに速度が落ちていくけど いや、そうじゃなくてなんで上空? てか、心臓に悪いわ!!




【大丈夫です マスターの心臓はオリハルコン並みですよ】




や、そうじゃなくてね!?




【まぁ 理由としましては世界を超える転移となりますと少しの誤差が地中深くに埋まる可能性もありましたのでより安全策として遥か上空に座標指定をしました】




な、なるほどね 流石に地面と融合するのは嫌だな でも、一言ぐらい欲しかったです 怖かったです




【以後、善処します】




む、はぁ~ 次回以降もこんな感じになるみたいだし俺が覚悟していればいいか さて、ここから天眼からの転移でいいのかな?




【はい ですがその前にこの世界に合わせた服装、ステータスに変更します しばらくお待ちください】




言われたとうりにしばらく待つと服装が変わっていく見慣れた旅装はジーパンとちょっとダボっとしたような服装に変わっていく。俺はぴっちりした服装よりもこちらの方が好きだからありがたい。使い慣れた短剣は収納し小さな袋はウエストポーチに変わった。




【変更終了 この世界にはステータスの概念が存在しないため初期数値にしてあります 何か才能が欲しかったりします?】




うーん 速読くらいでいいかな 追々考えるよ




【わかりました これより転移します】




すると雲海の景色は夕日の差し込む神社の風景に変わった。この時間にこのあたりには人はいないらしい。天眼でざっと見た感じ俺が前生きていた世界とそう変わらないようなので今晩はネカフェにでも泊まって明日から活動を再開しようか。あ、でもお金が・・・




【金貨、銀貨をこの国の紙幣に変更しました 問題ありません】




あ、そう お金自分で作れるって犯罪じゃない?




【紛失したりした物を基準に作ってあるため限界はありますがしばらくは大丈夫です 明日までになんとかしましょうか?】




ん~ 俺にはよく分からん いつものシリにお任せでイッチョウ!




【了解 マスター 本日のおすすめを提供させていただきます】




俺は細かいことはシリに任せて一番近いネットカフェへと歩くことにした。






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やっぱりシリはすごい。一週間もしないうちにシリの指示道理にに行動したら生活環境が整ってしまった。戸籍とか学歴とかその他諸々一体どうしたのかわからないが問題なく生活できるようになった。シリ本当に恐ろしい子である。それからもう何日かするとネットなどもつながりニートの準備が整った。あら?ニートはダメではないだろうか?




まぁ、とりあえず置いておこう。置いておいてください。




戸籍などの登録は俺の分だけでなくもう一人シリの分も作られている。身体がないのに意味がないのでは?と思うだろうが実はシリには外部ユニットとなる体が存在する。以前、旅の途中にダンジョンの最奥で発見した人間を精巧に再現したゴーレムを入手。シリが魔改造しさらには魔力強化によって更なる魔改造を施した。結果、人間と見分けることは鑑定でしかできないがその鑑定ですら偽装している為見分ける方法はない体が出来上がった。




これによりシリは人としてしばらく旅の仲間をしていた時期もあった。初めは無表情なことも多くちょっと残念だったのだが時間を経るごとに馴染んできたのか今では違和感はない。見た目は美しいや可愛いでなく凛々しいあっているだろうか?細部は自身で変更できるので容姿が決まっているわけではないのだが・・・




何が言いたいかと言うとシリ嫁、俺夫の形に収まった。・・・・・このままだと俺ダメ男じゃね?




【いえ 正確には私が母でマスターが息子です 勝手に勘違いしないでください】




あ、さいですか すいません




【マスターの見た目年齢は頑張っても20に見えません 私を変人にしないでください】




はい 申し訳ありませんでした この通りです




【よろしい では、明日からは学業にしっかりと励んでくださいね】




「え? まじ?」




【来年から高校に入学できるように手続きを済ませてあります 頑張ってください】




どうやら拒否権はないらしい・・・






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学校思ったよりも楽しい。この体のスペックが狂っているからか勉強が苦にならず、すんなりと入学することができた。成績は中の上辺りをキープしている。学校が楽しく感じるのは馬鹿をやれる友達ができたからだろうか?この体になってから寿命がないことを理解しているので友人の死を見たくない。だが短い3年間といった時間ならそれでもいいかと思えてしまった。シリはこのために俺を入学させたのだろうか?考えすぎかもしれないがお礼を後で言おう。




そんな風に過ごしいると・・・




「・・・ねぇ あなた、あなたは何者?」




突然話しかけられて振り返ると顔には出さなものの納得してしまった




「えーと? 俺の名前は 木野京 ですけど・・・」




この世界はあの時のパレードに出ていた男女の勇者の世界なのだと




「だから!? じゃなくて!? あなたは死んで!?」




覚えていることに驚きつつも顔には出さない




「は? 俺が死んだ? 突然何を言いってるんだ? あんた」




少し機嫌が悪いように表情を作り惚けることにした




「え、あ、ごめんなさい 変なこと聞いて・・・」




彼女は少し泣き顔になりかけていたが俺は見ないふりをし彼女が走り去るのを見ていた




・・・・・・勇者の世界に来ると混乱させる場合があるのか 気をつけないと いっそのこと容姿も性別もすべて変えてからくるべきかな・・・




【マスター申し訳ありません 彼女が記憶しているとは思っても見ませんでした】




あ~ いや、シリは悪くないよ 今回はあの時の対応の仕方が最悪であり偶々同じ学校で偶々彼女がずっと気にしていたことが原因だから仕方ないよ こんなことは滅多にあるものじゃない




【・・・わかりました 今日はちょっと豪勢にしておきますね】




お、いいねぇ~ 夕飯を楽しみにしてるよ




こんな偶然もあるんだな~そんなことを思いながら今後どうするか考えていた。






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結論から言うと惚けるのをやめることにした。俺のせいで彼女に苦い思いをさせるのもあんな表情をさせるのも嫌だったからだ。このままだと気持ちよく睡眠をとることができないではないか。




翌日には彼女、高富陽菜さんに俺が何者なのかを話した。終始理解できないといった表情をしていたが俺がいくつか勇者である彼女から見ても理不尽な現象を起こしたらあきれた表情に変わり納得した様子だった。解せぬ。まぁ、納得してもらったのだから良しとしておこう。落ち着いたところでもう一人のことを聞いたところ彼は向こうの世界で結婚しており帰ってこなかったそうな。たった二年のうちに結婚までもっていくとは行動力あるな~と思ってしまった。




心残りだったことが晴れてすっきりした様子の彼女を見て俺も一安心だ。これで俺もスッキリ爽やかに眠ることが出来そうだ。




「そういえば、自身が死んだ原因は理解してるのか?」




「私が死んだ原因?」




彼女は聞いていないのだろうか?




「勇者として召喚される原因となった死因だよ 死者を生き返らせることは混乱の種になるから帰還する場合には死ぬ前の時間に戻されるはずなんだ」




だったはずだよな シリさん




【はい あってます】




「ぇ? なにそれ? 何も聞いてない・・・」




彼女は本当に知らない様子だった。そんなことがあり得るのだろうか?




「私なんで死んだの? あのとき突然真っ白になって目を開けても真っ白で声が聞こえたから・・・」




突然真っ白になった? なんだそれは? シリなんかめんどくさい気がする




【少々お待ちを・・・・・・ 今から一月後に謎の発光現象が起こるようです それが原因ではないかと】




謎の発光ってそんなんで死ぬのか? 




【これ、魔力爆発です 場所は無人の場所なので本来被害がないはずなのですが何らかの理由でそこに居たのではないでしょうか?】




魔力爆発てなんでそんな事・・・ この場所って廃墟っぽいな




「一か月後に廃墟で何か思い出すことないか?」




「廃墟・・・ あっ肝試ししてたんだっけ? 5人ぐらいで行ったんだよ それで、それで・・・それで?」




肝心なところが思い出せないらしい う~ん 調べた方がいいかな?




【私が調べておきます】




ん? じょあ任せる どちらにしてもだ




「もう、廃墟にはいかない方がいいってことじゃないか?」




「あっ そうですよね・・・ 他の子にも言っておきますね」




たぶん、これで同じことで死ぬことはないはずだ。念の為シリにも任せていることだし問題ないだろう。




後日、シリが調べた様子だと件の廃墟にはオカルトに傾倒していた者が置物などの配置により魔力が微量ずつ溜まっていたそうだ。廃墟となり置物の崩れた配置から起こった事故であり廃墟の持ち主はもうこの世にはいない。この魔力溜まりは彼女たちが来た時に臨界に達し破裂したと・・・ 


なんだこの奇跡的な事故はどんな運命を辿ったらこんなものに遭遇するんどよ 不運すぎるだろうが・・・




あまりにも不運な彼女らを不憫に思いしばらくの間気にし過ぎて快適な睡眠から遠のいてしまった。






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この世界は俺がいた元の世界とは違う点がある。そのれはVRが存在することだ。ヴァーチャルリアリティ、初めは医療分野から研究され、ある程度浸透すると資金集めが目的なのかゲーム関係が発達してきている。古参のシリーズから採り上げられ最近になってVRMMOが作られるようになった。




高校を卒業し大学は行ったり行かなかったりの生活の中でそんなゲームが発売されたらやらないわけがないではないか。




ということで俺は今ゲーム生活を満喫している。




【ニートってことですよね?】




自宅警備員と書いてな~ あれ? ゲーム中は動けないから警備できない!?




【はぁ~ どうでもいいです 働く気はないのですか?】




んー 俺が働いてもシリの不労所得に全く届かないし正直意味ないよね?




【まぁ そうですけど気分的にどうなのかと】




気が向いたらするよ 動画投稿で少しは稼げてるし・・・




【それ、動画編集してるの私が大半ですよね?】




・・・・・・いつもお世話になっております!! というわけで今日もゲームをやっていこうよ!




【はぁ わかりましたよ】




ゲームの舞台は剣と魔法の世界だ。プレイヤーの強さはキャラクターのレベル制ではなくスキルレベルによって強化されていく。レベル上限は99、スキル枠は10、使わないスキルはサブに保管される。スキルポイントは10レベルごとに1ポイント獲得できる。上位のスキルを獲得するにはそれ相応のポイントが必要になり特定の条件を充たすことで解放される。




俺は、のんびりプレイしているためログイン時間の割にはあまり強くない。だいたい中堅プレイヤーほどだろうか?見た目は黒いちっびこな感じにしている。シリは、俺とは別で行動していることも多くいつの間にか上位プレイヤーに名を連ねていることがある。見た目は女騎士ってのがしっくりくるかな。聞いてみたところ初期スキルはいくつかカンストしてるようである。




俺のはこんな感じ・・・




スキル


短剣術 86


投擲 90


格闘 23


鋼糸術 15


筋力大上昇 17


脚力大上昇 20


器用大上昇 23


脚力中上昇 61


索敵 92


隠密 90


サブ


拳術 50


脚術 50


裁縫 30


鍛冶 72


糸術 50


などなど




色々試した結果やっぱり斥候のようなスタイルの方が性に合っているらしくこんなスキル構成になった。サブには様々なスキルを試したため雑多な感じになっている。生産職のスキルは趣味程度に遊んでいる。簡易作成もあるが実際に時間をかけて作ると性能が面白いものになったりと遊び心のあるゲームだ。




そろそろ何か一つでもスキルレベルをカンストさせたいと思っている。でも、最近はなかなか上がらない。鋼糸術を手に入れるのに時間をかけ過ぎた気がする。手っ取り早く上げるために効率のいい場所はないだろうか・・・




【新しいエリアが解放されたようですしそこに行ってみますか?】




お、聞いてたのかい 今更だけどゲームの中でこの会話ができるのすごいな




【ほんとに今更ですね~ アバターに話しかけているのではなく本体に話しかけているので問題なく話せます】




納得やわ 新しいエリアだっけ? ギルドの方は良いのか?




【こんな朝早くからゲームに入り浸っている人はそういません 夕方ぐらいからのログインが多いいですし問題ないでしょう】




う、やっぱニートやめるべきなのだろうか・・・






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新しく解放されたエリアは森林型の迷宮といったらいいのだろうか?いわゆる迷いの森というものだ。いくつもの小型エリアがありランダムで組み合わされる。一度入ったら運が悪いと何時間も彷徨うことになりそうだ。てか、現に彷徨っている。




シーリー 入ってから何時間たった~?




【六時間くらいですかね~ そろそろボスエリアに着いてもよさそうなものですが・・・】




戦闘回数は新しいエリアということもありそこそこでいい熟練度上げになっているが同じ景色ばかりだと飽きてくる。シリの言うようにもうそろそろ変化しないだろうか・・・




【もしかするとレアドロップのフラグかもしれないですよ?】




だといいな~




さらに彷徨うこと数分、やっと変化が訪れた。ぽっかりと開けた広場。中心には湖が広がっている。俺たちが湖へ近づくと湖に波紋が広がりネッシーのような首長竜が現れた。戦闘になると思いすぐさま身構えていたのだが敵の頭上にライフゲージが表示されず戦闘が始まる様子がない。俺はシリと顔御見合わせて武器をしまうことした。




俺たちが近づくと首をこちらに伸ばし頬ずりしてきた。しばらくされるがままになっていると満足したのか一声鳴き湖へ帰っていった。端の方には転移用の魔法陣が現れている。




・・・これ何のイベント?




【何のイベントでしょう? あ、この湖の水が採取アイテムみたいですね】




まぁ 瓶にでも採取して帰還しますか 今日は疲れた




後でそのアイテムを調べたところレアアイテムと判明した。進化の水というアイテムで装備に使用することで一段階性能がアップする効果だった。ニ回目以降の使用はムリみたい。割に合わないようなイベントだ。






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あれからどれだけの月日が経っただろうか。この世界から召喚された勇者である陽菜は社会人になってからも何度か持ち前の不運により様々な事件に巻き込まれていた。震災であったり裏組織であったりなど巻き込まれては勇者の力でギリギリ生還、解決していた。俺は巻き込まれないようにしていたが何度か関係者と勘違いされたらしく手伝うこともあったがめんどくさかった。いくつか重要なものも壊してしまったがもう過ぎたことだ。陽菜がもう一度他世界に召喚されそうになったときは回避するのが大変だった。あの子は何かに呪われていたのではないか?シリ曰くそんなことはないようだけど・・・




VRゲームは楽しかった。年を経るごとに新作のゲームが発売されていきその度に遊んだものだ。同時に人工知能が発達していきだんだんと世界が変わっていく様は神が意図的に管理してない世界ならではで面白かったよ。最終的にはあんなことになってしまったがこれも人間の業だ。俺は何も関与しなかった。他世界による関与は別だがな。




ん~ おはよう! シリ 固有空間も案外寝やすいね~




【おはようございます 今回は約三百年ほどでしたね】




また俺そんな寝てた? 戦争が起こったあたりからゲームできなくなったしな~ そこからずっとだっけか?




【はい そこからですね 何が起こったかの説明は必要ですか?】




いや、いいや 大体予想がつくし 切もいいし次の世界に生きませんか? 




【了解 久しぶりの仕事ですね 何か希望はありますか?】




ん~ ファンタジー系がいいけど世界の様子は正確に確認できないんだよね? ニ回目はランダムにしない?




【わかりました ランダムに転移します 確認方法は用検討しておきます では、黙想ー】




あー、そんなのあったね 黙想黙想と・・・ 




目を瞑り少し、足場の感覚が消え浮遊感を感じるようになる。目を開けると紅の雲海の上にいる。




うん 流石にニ回目だと驚きも半減だね ちょっとヒュッてなったけどさ・・・ やっぱ慣れないよ・・・




【無事世界転移完了しました 検索中・・・ この世界は異能が認知されている世界の様ですね】




お、異能ね~ 一応ファンタジーなのかな? ファンタジーだと魔法のイメージが強いけどさ




【異能も魔法もそこまで大差はありませんね 異能が先天的なもので魔法が後天的なものと言えばいいのでしょうか? 異能が感覚で魔法が学者といった方がわかりやすいかもしれません】




ん~ よく分からんしどちらでもいいよ この世界に合わせての変更をお願いしていいかな?




【了解 今回は容姿から変更していこうと思います 性別が変わることに抵抗はありますか?】




性別か~俺はそこまでこだわりはないかな シリに任せるよ




【では、性別を女に容姿に関しては私の外部ユニットに合わせるようにします 姉妹であれば行動しやすいかと ステータスは年齢にあった初期値に 異能に希望はありますか?】




中級って言えばいいのかな 平均ぐらいの異能でいいんじゃないかな




【では、身体能力強化に 科学文明も進んでいるようですので服装に関してはそこまでの変更はありません 少々お待ちください】




しばらく待つと一瞬発光する。眩しいほどではないが突然だったので少し驚いた。身長は少し縮んだかな?全体的にスレンダーな体系であり容姿は鏡で確認したところシリの妹と言われたら納得できるような感じになっている。服装は俺の好みのダボっとしたものだ。




【変更終了です どうでしょうか?】




うん 問題ないよ これって偽装なのかな?




【はい あくまで偽装です 感触なども偽装している為本物との区別は難しいかと】




スキルの性能が相変わらずおかしいね よし、今日はその辺で泊まって明日から活動かな~




俺は、人気のない場所に転移し泊まる場所を探し始めた。






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相変わらずのシリさんの情報チートです。何をどうしているのか俺には見当もつきません。前回よりも三日早く生活環境が整いましたね。今回は親子ではなく姉妹になり親、親戚は既に他界している設定だ。




この世界は異能に階級を設けているようだ。優秀な異能ほど様々な面で優遇されている。異能の活用方法は主に戦争への転用が多くを占めている。異能の原因究明から科学の発展に役立て文明を成長させてきたようだ。俺の異能はリクエスト通りに良くもなく悪くもなく優遇されることもないが不便なこともないといった感じだ。




んー でも、世界単位で差別が許されている世界ってのもなんか息苦しいね




【これがこの世界の形ですので仕方ないかと 改革でも起こしますか?】




いや、そんなことはしない 後処理がめんどすぎるし さて今後どうしようかな~




【マスターには学園の方に行っていただきます】




え? また? 俺、今何歳だと思ってるのよ




【4235歳ですね 見た目年齢が20代以下ですし問題ありません】




そんなに歳くってたっけ・・・ えーと、必要?




【はい 必要です マスターが学園に通っている間に詳しく情報を仕入れる必要がありますので】




あー わかった 行くよ 久しぶりだし気分転換になるでしょ




ということで俺はまた学園生活を送ることになった。中級学園だから特に問題も起こることもないであろう。だぶん・・・






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うん、ほんとに何もなかったよ。ただ坦々と日々を過ごしていたよ。離れた高等学園ではテロがあったりとかノーマークだった奴が黒幕だったりとかいろいろあったらしいけど俺が通っていた学園は平和そのものだったよ。高等学園とは距離があり過ぎて影響は全くなかったしそこの学園に優秀な学生がいたらしく解決も早かったから巻き込まれることもなかった。もしかして入学するところ間違えたかな?とも思ったけどそんな面倒なことに巻き込まれたくはなかったから正しかったんだよ。うん。




【あの、マスター? 本気でそのようなことを言っているのですか?】




ん? シリ? 実際巻き込まれなかったからそうでしょ?




【・・・・・何やら知らない者に嗅ぎまわられているからブッ飛ばしたり帰り道を塞がれたからブッ飛ばしたりと最近よく人やら物やら機械やらを吹き飛ばしていたのは気のせいですか?】




それはその・・・ 相手の事情は聞いてないしノーカンでいいんじゃないかな?




【話も聞かずにブッ飛ばしたと・・・】




いや、少しは聞いたよ? 何か用ですか?って聞いたら麻酔銃撃ってくるんだし正当防衛だよね!




【確かにそうでしたね 私が調べたところ高等学園で起こった事件の黒幕の黒幕が指揮していたようですよ?】




黒幕の黒幕て・・・ 俺は何も聞いてない! 平和だった! 以上!!




【そうなこと言いながら何でブッ飛ばしているんですか 今の最後の一人がさっき言った人ですよ?】




え? あ~ そうなの? もしかして組織壊滅?




【そうなりますね ここ十年ほど続いていた怪事件やテロなどの元凶ですからマスターがすべて解決したようなものですね 半殺し状態のこの方々は私が警察の前にでも積み上げておきますね】




あ~ はい よろしくお願いします




今俺の周りには泡を吹いて気を失っている方が多数周りに並んでいる。ザっと数えた感じ千人はいると思う。ここ最近日に日に帰り道に現れる人が増えていた。帰り道に人が現れ始めたのはストーカーのようにというかストーカーに何してるのか話しかけて麻酔銃を撃たれたので反撃してからだと思う。初めは三人とか十人とかだった。でも、だんだんと増えてきて今では千人越えだ。今日は初めに偉そうに話す人がいて俺が拒否をしたら襲われて反撃し終えたところだ。時間にすると数分だと思う。まぁ、後はシリがしてくれるみたいだしいつも通りに帰宅するだけだ。




【はぁ~ わかりました 他の後始末もまとめてしておきますね】




・・・他にもあったか?




【自覚ナシですか まぁいいです】




・・・・・




俺はいつも通りの学園からの帰り道をいつも通りに帰った。






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何年たったのだろうか?俺は様々な世界を満喫した。その世界の隅々まで旅をしたら旅をした年数以上に睡眠をとって次の世界へ転移する。知り合いの勇者の世界はすべて訪れた。ランダムで転移した世界は数知れない。まぁ、人類がいない世界が多くてすぐ転移することも多かったんだが・・・人類がいないと文明が発展してないことが多くて生活するうえで不便なことが難点だった。




世界の根幹にかかわる事象には関わらないようにしていたから酷い迷惑にはなっていないはずだ。魔王討伐みたいなことはしてないし国を興したりもしていない。政策なんて面倒なのが本音だがな。




【マスターは寝すぎです あれは冬眠というか仮死状態といった方がいいのでは?】




いや、スキルで死なないし~ きちんと目覚めてるし~




【今回は五百年近く寝ていましたよ? 私は暇で暇で仕方がありません】




うっ それはすまない




【はぁ~ 何度言っても治らないのはもうわかっています いつものことです では、次の世界に転移しますか?】




出来る限り善処します いつも通り転移でよろしく




【わかりました 転移します 黙想ー】




あいよ 黙想~




いつものように目を瞑りその世界であったことを思い出す。ここであったのはパンデミックだったかな?初めの数十年は他の化学文明の世界と大差がなかったのに突然ウイルスの大量発生が起こったんだったか?いや、研究物質の流出だったか?まぁなんやかんやあったのよ。




そんなどうでもいいことを考えているといつものように上空に放り出される浮遊感が・・・




「こない?」




【マスター すいません 何者かに転移を干渉されたようです】




「転移に干渉って誰が・・・」




『ようやく捕まえました 散々手こずらせてくれましたね あなたは何なのですか! 私が配置した場所で寝ているかと思えばいませんし追跡すれば毎回毎回突然いなくなりますし関係のないところで過度に干渉していますし ほんとに何なのですか!?』




「え~と? どちら様で?」




『・・・・・・まさか私が分からないのですか』




・・・シリ? ほんとこの人誰?




【・・・・・・あっ この者は初めにマスターを飛ばした転生担当の者ですよ】




・・・あ~ あの声の人ね だから、この白い空間が見覚えがあったのか~ すごい納得やわ




「あの時の謎の声の人ね」




『どうやら思い出したようですね 本当に忘れていたなんて・・・』




「で、呼び出したりしてどうしたの?」




『で、ではありません! で、では!! あなたなんであの場所で寝ていないのですか おかげで探し回る破目になったではありませんか!』




「寝ていないのかって 起きたからだけど・・・」




『それが在りえないのですよ! 私は永眠するようにスキルを組んだのですよ? それがなぜ組み合わせがずれるようなことが起きるのですか 意味が解りません!!』




「そんなの俺に聞かれてもな 起きてただ旅をしてただけだからな」




『死者の魂をスキルによって記憶を保持したままその世界に送るのです スキルの原型が変わっては魂の保持すらできなくなり輪廻に戻るはずですのに・・・』




へ~ そんなふうになってたの 前にシリがちょろっと言ってたようなないような気がするけど・・・ その前にさぁ~ 俺ってほんとに死んだの?




【仮説ですがマスターは死んでいなかったのでは? これまでのマスターを見る限りマスターの睡眠時間はおかしいです 不死になる前から異常な睡眠時間だったのでは?】




いや、俺も流石に人間だったころに何年って寝たことはないよ? 最高で一日だったと思うよ?




【・・・マスター それでも寝すぎです 普通の人であれば死んでいると思われても仕方ないと思いますよ】




え? じゃぁ、勝手に死んだと思われて転生させられてスキルを得たから今みたいになっているのか?




【恐らくですが・・・】




『・・・・・ころが読めないのも意味が解らないし、それになんで鑑定が正常に働かないの? あなたの本当のステータスが一切分からないなんて・・・』




おっと、また話を聞いてなかった 鑑定ができないって言ってるけどそうなの?




【それはマスターの存在が声の存在と同等以上ですからね 私が偽装したステータスしか閲覧することはできません】




・・・人外人外って思ってたけど俺、この声の人と同等なの? 多分この人女神的な存在だよね




【はい 物語で言うところの神や女神といった存在ですね 高次元存在と言えばよいでしょうか?】




どっちでもいいや 俺は異常ってことがよく分かった で、まだなんかブツブツ言ってるけどどうしようか? もうめんどくさいし転移してもいいかな?




【よろしいかと 今後妨害されないように独自の転移システムに切り替えておきますね 少々お待ちを】




じゃぁしばらく待ちますか~ 




『・・・・・ままで散々引っ掻き回してくれたのですから地獄にでも・・・いえ、その前に上司に現状報告をしなくては・・・』




【マスター 準備ができました いつでも行けます】




では、行きますか! 今度の世界はどんなところかな? 楽しみだね~




俺は白い空間から次の世界へと転移した。








『・・・では、これから行くところに失礼のないようn・・・ はあ!? なぜ!この空間から転移が出来るのですか!? あ~~また、探さなければいけないのですか!! 今度はどこにいったのですかぁ~~~~~~~~~~!!??』








白い空間には誰の存在もなく一人の声しか響かなかった




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