スライムな世界監視

目が覚めたのだろうか? 視界は真っ暗のままだ




体が動く感覚はするのだが手足を動かしているような感覚ではない。




【おはようございます】




・・・・・? おはようございます・・・




【無事目が覚めた様で何よりです 続けて現在の状況を説明したいと思いますがよろしいでしょうか?】




はぁ はい お願いします




【まず、私のことは世界の意思のようなものと判断してください。あなたの現状としては来世がスライムであったというのが正しい言葉となります。本来、スライムとして生まれ変わった場合、意思のようなものは持たず世界の自然浄化、並びに世界の目、耳の役割を持つ存在です。ここまではよろしいでしょうか?】




んー はい よろしくないような気もしますがよろしいです・・・




【あなたは幾たびの輪廻転生の果てに私の世界のスライムとなりました。私の世界はまだ出来たばかりです。そんな中迷い込んだあなたの魂の記憶、何万何億回と蓄積された記憶をこの世界を創造する際、参考にさせていただきました。感謝します。】




・・・・ん? どういたしまして?




【記憶を参考にした過程で、本来であれば繰り返してきた時と同じように記憶はリセットされ転生するはずだったのですが、すべての記憶が残る形で私の眷属として生まれ変わりました。今、あなたには様々な人格の様々な生物の記憶が再生されていることと思います。】




はい そうですね 僕か俺か私か気持ち悪り感じにミックスされています




【その記憶はあくまで過去の記憶です。スライムである今のあなたと同じ人格の記憶ではありません。あくまで情報としてとらえてください。あなたはあなたです。今再生されている者はより身近に感じられる動画の情報のようなものです。ネットサーフィンでもしているような感覚でいいと思います。】




んー ちょっと待ってくださいね 動画?ネット?う~ん お、テレビ画面みたいにできました。




【・・・よろしい。では、もうしばらくその記憶再生は続きます。終わり次第また連絡を取りますので頑張ってください。】




あ、はい 分かりました




一人称は俺とする。俺の輪廻転生は人間に転生した場合、割合的に男の方が多く一人称を俺としていることが多いためそうすることにした。




俺の記憶には本当に様々なモノが存在する。割合的には人間1割、亜人1割、動物3割、意思のある魔物1割、意思のない魔物1割、虫3割、ぐらいだ。結構人外率が高い。自身の意思があったのは3割ぐらいと少ないように感じる。まぁ、比べようがないのだが・・・




それに俺はだいぶ変人だったようだ。なぜかというと人族として生きた記憶のほとんどが何か一つのことに熱中しているみたいなのだ。ひたすら鍛冶の中でも剣の作成に情熱を注いだ人生もあれば鎧のみ、刀のみ、盾のみなどとそのことしか作っていない。魔術の道でも火魔法のみ、土魔法のみ、結界魔法のみ、拘束魔法のみなどと極端に人生を歩んでいる。いくつかの人生では無難な技能を学んで過ごしていることもあったがだいたいの人生が極端に自分の興味を持った事柄だけを突き進んでいる。




獣や魔物の人生もなかなかに苛烈。早死にすることが多く討伐されることが多い。何処か一処に留まることなく様々な場所に移動し戦いを挑んでは散っていっている。中には戦い抜いて強者となることもあるが最後には討伐されている。




食事シーンはちょっと割愛させてください。味覚がないことが救いなこともあるのだと思ってくれるだけで十分です。






どれだけの時間が経過したのかはわからないがすべての記憶が再生された。




【どうやら終わったようですね。再度説明させていただきますがよろしいですか?】




はい お願いします




【まず、この世界のスライムという存在は魔力を固体化した流体のゼリーの様な体を持つ生物です。戦闘能力はほぼありませんが稀に長い年月を生き抜いた個体はとても強力な存在となる生物です。スライムに寿命はなくその身に宿る魔力がなくなったとき死となります。魔力がHPのような半不死の存在です。】




ほほ~ 結構強いのかな?




【いえ、生まれて二十年以内の個体であれば雑魚ですね。二十年を過ぎるとため込んだ魔力が変質し環境に合わせた個体となります。火山で生き抜いた個体であれば火魔法を使い始めたりしますし海であればクラゲよりも厄介な捕食者になったりした前例がありますね。】




大器晩成型ですか・・・ そうですか




【ただ、これはいずれも意思を持たないスライムです。意思を持たないスライムは必要なエネルギー以上にエネルギーを集めません。エネルギー吸収時に無意識にため込んでいた魔力が変質した結果、強個体へと変化します。】




なるほど、俺という意思がある場合はより早く強くなることができると




【はい。ですからあなたには早急に強くなってもらいたいと思います。どのような固体になるかは自由で構いません。現在、あなたは魔力の充満する亜空間にいる状況です。外敵は存在しませんので頑張ってください。魔力の吸収に関しては本能で理解しているはずです。満足のいく結果になりましたら御呼びください。】




分かりました 呼ぶときは世界の声とかでもいいですか?




【問題ありません では、また後程】






うし、とにかく強くなれってことだな。まず始めるべきは魔力の取り込みだ。この生命維持のために無意識で行っている吸収を意図的にすればいいってことだな。がんばるか。




・・・・・




無意識のことを意図的にやるってのは、ほんとに難しくて時間がかかったが何とか集めることができた。だが蓄積にも限界があるようだ。今の俺の体積では上限が存在するみたいだから吸収と同時進行で体積を徐々に増やしていっている。生命維持に必要な分を差し引いた残りを3割ぐらいを蓄積に回し7割をスライム細胞の生成に回している。これで俺の体が徐々に大きくなるにつれて蓄積容量も増していき大量の魔力を準備している。




・・・・・




俺は蓄積をしている間に今までの人生の記憶を思い出している。だんだんとこの思考に裂く余裕ができていることからスライム細胞は脳の役割も果たす万能細胞なのかもしれない。体積が増えるにつれて頭(?)がすっきりしてくるし本棚のように記憶整理もできている。当分は記憶の整理がつくまでスライム細胞を増やす必要があるのかもしれない。




・・・・・




やっと記憶の整理がついた。今の俺は最初の頃と比べるとものすごく大きくなっている。何倍だ?何万倍かもしれない。まぁ、これだけ集めれば強化がはかどるだろう。俺は、過去の記憶から魔術師の中でも魔力そのものを研究し続けた記憶を参考にして体を作ろうと思う。魔力の硬度に関する記憶だ。魔力を集めて圧縮することで固体化する。その個体となったものをさらに圧縮することで硬度が上がるのではないかというものだ。俺は集めた魔力とスライム細胞を直接操り超圧縮を試みた。結果は限界まで圧縮に成功、硬度は飛躍的に上昇したが流体のような柔軟性はなくなり超硬度の固体となった。これをもとに構想を練る。




・・・・・




幾度もの試行錯誤の末、魔力による超高度の骨、柔軟に動く筋肉、修復の高速化に繋がる組織液と皮膚、の作成に成功。今はそれらを徐々に組み立てている段階だ。これらを作るのに過去の記憶が非常に役立った。マッドサイエンティストの記憶から人体構造を。魔術師の記憶から魔力操作に関する全般を。アスリート、武術の記憶から体型などを。他にも様々な専門家の記憶を参考に作成に成功した。これにより第一段階が終了間近だ。




・・・・・




第二段階として得意魔法属性を決めようとしたときに問題が発生。体の作成にほとんどの魔力を使ったことにより遠距離魔法が使用不可となってしまった。魔法自体は発動するのだが体表から少し離れただけで霧散してしまう。ここまで体を作り定着させてしまいもう変更は不可能になっていしまっている。これにより俺が使用できるのは身体強化系の魔法かゼロ距離で発動させるしか魔法を使用できなくなってしまった。また魔法属性に関してもこの亜空間の魔力を利用して体を作成したため時空属性の空間属性よりの属性になっていた。これからどうしようか非常に悩みどころだ。




・・・・・




遠距離攻撃手段に関しては投擲や弓、銃など方法がないわけではないので問題ないとする。体の作成にほとんどのスライム細胞を使ってしまったがまた徐徐に増やしている。スライム細胞はあって困るものではないので増やせるだけ増やし続けて何かに活用しようと思う。それにしてもこの亜空間の魔力は尽きる様子がないのだが何か仕組みがあるのだろうか?過去の記憶の影響か学者魂がうずいて仕方ない。少し予定を変更してこの空間について徹底的に調べつくしたいと思う。世界の声に連絡を取るのはまだまだ先になりそうだ。




・・・・・




いかん、夢中になり過ぎた。やっと満足がいくまで調べつくしたが如何せん時間を使い過ぎたように思う。寿命がないというのは怖いことだと思うよ。うん、それは置いといてこの亜空間は簡単に説明すると1の魔力を2に変換する空間の様だ。詳しい仕組みやなぜそうなるのかといった考察はあるが今は割愛させていただく。


この空間を調べたことにより俺はこの空間と自信の体を繋げることに成功した。今も進行形で増え続けているスライム細胞と人型に構築した自身の体を亜空間を経由して繋げている。だいたい心臓の位置にこの空間とつながる魔術を構築しその術式を守るように新たに骨格を追加した。仮にこの魔術が壊れたとしてもすぐに再接続がされるように仕組んでいる。表の亜空間外の人型の接続が切れても亜空間内のスライム細胞群から瞬時に接続ができる。時間にすると1秒とかからなかった。


これによる副次効果として発展形の収納魔法が使えるようになった。収納するためには取り込む必要があるがこの亜空間に送り出すことができ保存できる。この亜空間は時間の概念がないようなので時間に関しては止まっているも同然である。




後は遠距離攻撃手段として武器を作る必要があるかな?では、早速作成に取り掛かろうと・・・




【どれだけ時間を掛けるつもりですか!】




っ! びっくりした どうしたんですか突然 何かありましたか?




【なにかありましたか?ではありません あなたの能力は固定化されたというのにまだ何かする予定があるのですか?】




予定ですか? 残りの予定としては遠距離攻撃手段の確立、武器防具の作成、五感の調整なんかがありますね 中でも五感に関しては触覚以外ほぼない状態なのでそれに類する器官を作成したのですがもともと無意識で使用していた器官でもあり鮮明な詳しい情報がなくこれから試行錯誤をしようかと・・・




【・・・どこまで自己強化を進めようとしているのですか はぁ、まず現状のステータスを渡します 確認してください】




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ステータス【裏】


種族:エリアスライム(オリハルコンスライム?)


位階:Ⅰ


魂装:


HP:ーー/ーー


MP:99999/99999 +907465928179847897467848759769くぇrちゅいおp


攻撃:9999


魔力:9999


防御:9999


精神:9999


速さ:9999


スキル 残りスキルポイント50


捕食変換Ⅹ 10000


記憶Ⅹ 10000


魔力操作Ⅹ 10000


亜空間Ⅹ 7511


時空魔法Ⅹ 5228


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え~と・・・。これは何でしょうか?




【これがあなたの現在のステータスです。HPが表記なしなのはスライムの特性上です。他ステータスはカンスト。MPは現在も増えているようですので測定不能。次にスキルについてです。捕食変換はスライムの種族スキルです。捕食しエネルギーなどに変換する効果を持ちます。記憶はそのままです。膨大な記憶を保持し整理します。魔力操作もそのままです。魔力の操作技術の向上。亜空間は現在滞在している空間の理解です。また、その空間の操作技術も向上します。時空魔法は魔法技術、特に時空属性に補正がかかります。


ザっと説明しますと以上です。質問はありますか?】




え~ では、なぜステータスがカンストしているのでしょうか?




【あなたの構成した体がそれ相応のステータスだからです。オリハルコンを超える硬度の骨格、準オリハルコン並みの筋繊維です。このステータスになるのは必然です。因みに純オリハルコンの硬度は9000ほどです。】




なるほど スキルというのは?




【スキルとは云わば一種の才能です。スキルがないからと言って剣が振れないわけではありませんし魔法が使えなくなるわけでもありません。例えば、剣術のスキルを所持していれば持っていない人よりも剣術が上達しやすくなります。火魔法を所持していれば他の属性の魔法よりも上達が早くなります。】




スキルの後ろについている数字は?




【スキルレベルと熟練度です。スキルレベルを上げることで補正が大きくなります。熟練度が上がることでも補正が大きくなります。最高値はスキルレベルがⅩ、熟練度が10000です。】




スキルの取得方法は? スキルレベルの上げ方は?




【その者の行動次第です。また例外としてスキルポイントを消費することによって取得、上昇できます。】




この ステータスの後ろについている【裏】ってのは何?




【これは裏ステータスに移行したこと、また世界に記録されたことを意味します。本来であればステータスの上限値は999でありHP,MPは9999です。また、レベルが存在し上限値はなしです。経験値を増やしレベルが上がることでステータスが上昇します。その者の行動次第でステータスが上昇することもあります。


裏ステータスに移行するにはいくつかの条件が存在します。レベルが100以上、ステータスの値が合計3000以上、知的生命体による認知度、が上げられます。三つの条件を満たせば裏ステータへ移行します。他の条件としてレベルが5000以上になった場合、ステータスがすべて999カンスト、9割以上の知的生命体による認知があります。】




ふむふむ 最後に位階と魂装について教えてください




【位階は魂の位階を指します。位階が上がることで飛躍的に強くなることができますが現世では制限がかかります。どれか一つのステータス以外は999の値でストップします。例えば、攻撃は9999の力まで調整できますが他ステータスは999の力までしか使用できません。


次に魂装はその者だけの専用装備です。その者の行動により装備は変わります。例外として三つの条件を満たさず後半の極端な条件を満たして至った場合、自身で決めることができます。こちらも位階の上昇により性能が上昇、現世で制限がかかります。】




うんうん で、なんでこんなにゲームチックなのですか? ハクスラ要素を盛り込み過ぎたようなことになっているようですけど・・・




【・・・あなたの記憶を参考に盛り込めるだけ盛り込んだ結果です。英霊というものを作れば世界管理が楽になるのではと思いましてこのような形になりました。】




あ~ やっぱり、俺の記憶の影響か~ にしても英霊か・・・ 癖の強そうな存在ばかりが集まりそうですね~




はぁ~ 気を取り戻します 遠距離攻撃手段は魂装を選択することで解決できそうですね。防具に関しては選べるステータスを防御にすることで解決できそうです。五感に関してはそういったスキルはありますか?




【五感操作といった全般を補助強化するスキルがあります。】




じゃぁそれを取得して解決かな?あとは魂装に合わせたスキル構成にすればいいか。魂装はどうすれば選べますか?




【思い浮かべてください。あなたが心から欲する形が魂装となります。】




思い浮かべるねぇ~ 思い浮かべるは銃 片手の拳銃の形 弾は魔法、魔力は潤沢にあるのだから使わないのはもったいない 魔法銃? 魔拳銃? リロードは魔力消費 魔弾の種類は術式構築 俺の前世の知識をふんだんに取り込ませよう・・・




うん、できたね。 目を開けると自然と手に持っていた。片手で持てる拳銃サイズ 銃口から引き金にかけて三角形の形にも見える。弾倉は六連弾倉。実弾ではなく中に術式を組み込むことで球を作り出す。次弾に切り替えるように弾倉を回すことで球の種類が変更できる。だから、この魂装は六種類の魔弾を打つことができる拳銃だ。魔弾の術式に関してはあとでもいいだろう。




次にスキルをあと4つか。銃を手に入れたのだから射撃を取得。ガンカタ楽しそうだし格闘術もかな。見た目をスライムから人間に近づけさせるために擬態か変身みたいなスキルはないかな?最後は何にしようか?




【低レベルのスキルを取得することを推奨します。高レベルのスキルだけですと周りに溶け込むことが難しくなる恐れがあります。普通の一般市民はステータスは30以下の者がほとんどですしスキルもほとんど所持していません。強者と呼ばれる者でもステータスは100を超えるぐらい。スキルは多いですがスキルレベルはⅡ、Ⅲがほとんどです。】




スキルレベルⅩは滅多にいないのか。なら最後の10ポイントは趣味で選ぶか・・・




結果、ステータスはこうなった。




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ステータス【裏】


種族:エリアスライム(オリハルコンスライム?)


位階:Ⅰ


魂装:ハーディル(魔法拳銃)


HP:ーー/ーー


MP:99999/99999 +907565928179847897467848759769くぇrちゅいおp


攻撃:9999


魔力:9999


防御:9999


精神:9999


速さ:9999


スキル


捕食変換Ⅹ 10000


記憶Ⅹ 10000


魔力操作Ⅹ 10000


亜空間Ⅹ 7511


時空魔法Ⅹ 5228


五感操作Ⅹ 0


射撃Ⅹ 0


格闘術Ⅹ 0


擬態Ⅹ 0


武具作成Ⅰ 0 


短剣術Ⅰ 0


弓術Ⅰ 0


盾術Ⅰ 0


投擲術Ⅰ 0


隠密Ⅰ 0


隠蔽Ⅰ 0


分裂体作成Ⅰ 0


振動操作Ⅰ 0


速読Ⅰ 0


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うん これでいいかな?




【何を考えて後半のスキルを選んだのですか?】




え~と 武具作成はスライム細胞を使った武具を作ってみたいからだな。短剣、弓、盾、投擲、隠密、隠蔽は便利そうだから?分裂体作成はスライムなら必要かな~と。振動操作は物理法則を操作できないかな~と。速読はあまりだな。




【そうですか では、最後の説明に移りたいと思います】




はい お願いします




【これからあなたには他のスライムと同じように自然浄化、目、耳の役割を行ってもらいたいと思います】




自然浄化 目 耳 の役割ですか




【はい、これから生活することになる世界を旅してください 各地を見て回り気ままに旅をしてください 自然浄化はスライムがもともと持っている能力ですので無意識にでも行うでしょう 目、耳は旅をしてもらうことで役目は完了です】




ん~? それだけですか? 特にこれをしなさいということもなく?




【そんな制約はありません 好きなように過ごしてください 旅に飽きて引き籠りのような生活になったとしても問題ありません まぁ、時々は私の話し相手にでもなっていただければ嬉しいです】




世界の意思、声ですよね? なんだか可笑しいです




【それは出来たばかりの頃にあなたの記憶の影響を受けてしまったので、私が言うのもなんですが生物に近い感情を少しはもっているのだと思います 私の役目がこれ以降ないかも知れないのは酷く退屈ですし私の話し相手にでもなってください】




あー 分かりました よろしくお願いします 




【よろしくお願いします 後は現世へ送るだけですが名前はどうするのですか?】




名前ですか・・・ 付けてもらえます?




【では、僭越ながら私が・・・。初めから四文字を取りそのままエリアスはどうでしょうか?】




エリアス うん ありがとうございます これから俺はエリアスです 




【はい では、これより現世へ渡ります まだ生物の分布も混沌としており人間社会もない時代に降り立つこととなります 人間社会が活発になるのは数億年先の話となりますが徐々に変化していく様子を共感できればと思います では、がんばって!!】




へ? 数億年? いやいや、それは長すぎるよ世界の声さん!!




【私のことは、そうですね~ ライムとでも呼んでください いつでもお答えしますよ~】






その声を最後に俺の視界は暗闇から真っ白な視界へと変化し気づくと鬱蒼と生い茂る森の中に立っていた。周りを見渡してみたが木しか見当たらない。






「いや、まじか!」




【マジですよ!】






そんな元気で気楽なライムの声とともにエリアスのスライム人生が始まった。






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どれだけの月日が流れただろうか?未だに人間社会が形成される様子はない。ということはまだあと何億年かは大きな変化はないのだろう。俺が現世に降り立って初めにしたことは寝ることだった。亜空間にいる間は一度も睡眠をとることなく自己強化や亜空間の理解に費やしていたので気疲れを起こしていたのだ。久しぶりに得た睡眠は格別だった。たぶん、三日ぐらいは死んだように寝ていたと思う。




それからは、世界の声もといライムの言葉どうりに好き勝手に世界を見て回った。初めに感じた感想はとにかく広いだ。どんな惑星だと突っ込みたくなるほどに広い。世界を一周するだけでも何十年とかかってしまった。次に感じたことはなかなかに混沌とした世界ということだ。ある場所では液体に戻ってしまうんじゃないかと疑うほどに暑い環境の地、逆に極寒の地、重力の狂った地、気圧の可笑しい地などなど何が起こったらこんな状況になるのだろう?と思いたくなる土地が多数見受けられる。




ライムに聞いてみたところ多量の魔力による影響らしい。この世界は他の世界よりも魔力濃度が極端に高く。世界が内包する魔力総量も多いのだそうだ。その影響か各地で天変地異が派生し定着してしまう土地が多数存在するのだとか。この年中自然災害のような土地を浄化することも可能なのだそうだがそれをするとまた別の場所で発生するだけらしく意味がない。俺たちスライムはそんな極端な環境はそのままに他の地に影響が出ないように調整を行っている存在というわけだ。




まぁ、なかなかに刺激的で楽しい世界ということが分かった。動植物が存在できる環境も存在するので人類が発展する土地はそんな限られた土地なのかもしれない。それでも地球よりも大きいが・・・




世界の観光ついでに俺は各地のスライムにコンタクトを取った。特に極端な土地で生き延びているスライムに接触し俺の最小単位の分裂体を分け与えることで眷属とした。これによりさまざまな遠方の土地の情報収集が円滑に行えるようになり接触したスライムをその環境の主クラスにまで育て上げることで安定を図ることに成功した。まだ、裏ステータスに移行するスライムは存在しないが徐々に強くなってもらっている。




あとは、自身の修行ぐらいか。とりあえず獲得したスキルの熟練度を極めるようにしている。すべてを極めるまでにはまだまだ時間がかかりそうだが人間社会が出来上がるまでには問題なく終わるだろう。まぁ、過去の記憶があるので苦労することなく熟練度は高められそうだ。




問題はスキルの取得とレベル上げだな。才能を開花させる又は才能を増やすことは難しい。今になってスキルポイントが大事だったことに気が付く。あのスキルポイントというボーナスは100が上限なのだろう。そこから先は運と努力だ。何が発現するかは不明であるし巡り合えるかも未知だ。でも、この何億年と過ごさなくてはいけないのだから楽しみとして少しずつ取得していこうと思う。




目下挑戦中なのは鍛冶関係のスキルだ。武具作成と過去の記憶によって品質はなかなかに良いものができるがスキルレベル、熟練度カンストの品質と比べると大きな違いが出るように思う。現に魔力操作に関しては過去のどの記憶よりも現在の方がスムーズに操作ができいる。スキルというのは存外馬鹿にできない差を生む結果になるのかもしれない。




あ、そうそう。ライムの希望で新たにスライム骨格を作成中だ。ライムも言葉だけでなく自身で冒険してみたいのだそうだ。そこで俺がステータスカンストの骨格を分裂体として作成しようとしている。どうせだから傍から見て血縁関係のありそうな容姿にしようと思っている。




因みに俺の特徴は身長165センチ容姿は中性的で体格はスレンダーな女性寄りにしている。なぜ、俺という一人称で女性の体にしたのかと言うと趣味だ。スライムだから生殖器を作る意味もないしそれなら上も下も何もない方が体を動かしやすい。なら、下はないのだし上を少し膨らませて女性寄りにしても問題ないだろうと趣味全開でスレンダーな女性を作ってしまった。自画自賛だがなかなかにかわいいと思う。




ということで妹を作成中です。ライムに聞いたところ性別はどちらでもいいとのことだったので声質から女性を作っています。どうせだから身長は少し高め程度で優しい感じのグラマラスな妹を作成中。途中経過をライムに確認しながら作っているので出来はいいはずだ。スキル擬態で見た目を変えることは可能なので何とも言えないのだが・・・




まぁ、気ままにのびのびと過ごしていくことになるのだろう。問題を強いてあげるならば時間が膨大にあることぐらいだ。世界の情報は眷属となったスライムから逐一収集できる。スキルは徐々にやっていく。話し相手にライムと話す。そんな生活を人類が発展するまで気長に過ごすことになるのだろう。退屈はしなさそうなのが何よりなこの頃です。






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どうもエリアスです。この世界に降り立ってからどれだけ経ったかは数えていないがまだ、一億年は経っていないように思う。ここ最近はボチボチ裏ステータスに移行した主スライムが現れだした。いや、元スライムというべきか。初めの数年で眷属としたスライムたちは順調に成長し、見事その地域の主となった。主スライムを中心に更なる眷属、俺からすると孫にあたるスライムたちと協力することでそれぞれの地域を安定させてくれている。情報も逐一報告してくれてるため情報収集も問題ない。




そんな主スライムたちは、最小単位のスライム細胞を与えて眷属にしたことによるためか俺の記憶を閲覧できるようなのだ。眷属にして数年経った頃に気づいた事だったのだが問題なしと判断して放置していた。そんな主スライムたちは俺の記憶を独自に理解し解釈をするようになる。そこからは早かった、徐々に無意識の頃よりも意図的に魔力を集めるようになりさらなる進化を繰り返すことになる。結果、ライムが想定していなかった進化をすることとなる。




とりあえず例を挙げよう。極端な高温地帯、常にマグマが川のように流れている地域。そんな地域で主となったスライムは今ではどこからどう見ても炎の精霊イフリートとなっている。普段の容姿は筋骨隆々のゴリゴリな男の姿だが、いざ戦闘となると悪魔のような獣のような凶悪な姿となり敵を殲滅する。なんて存在になっている。ステータスを確認した限り、もはや別種族の精霊となっている。ライムに確認したところ問題なく、寧ろわざわざ精霊を作る手間が省けて喜んでいる節すらある。




精霊になったことで俺のように意思を持つようになった。性格は容姿とは真逆の温厚な性格で滅多にキレることはない。参考にした記憶はゲーム関係の本来の意味からは離れた情報を参考にしたようだ。俺の印象もたぶんに影響を受けているのだと思う。名前はそのままわかりやすくイフリート。俺のことは生みの親のように思っているようだ。




このイフリートのようなそれぞれの環境にあった属性精霊が生まれることとなった。今までよりも話し相手が増えより賑やかになった。主スライムが精霊となったことにより各地域の環境はより安定し、その眷属である孫スライムたちも徐々に精霊化することで不安要素はほぼなくなった。今では主精霊は徐々に裏ステータスに移行していることもありより安定している。




熟練度は順調に極めている。何かにつまずくこともなく道のりはまだ遠いが日々の繰り返しが物を言うことなので問題ない。問題なのは新たなスキル習得だ。鍛冶スキルは未だに習得できていない。いつの間にか家事スキルは習得していた。ステータスを確認したとき何とも言えない気持ちになった。新たな才能を開花させることは運の要素が大きいのかもしれない。何か一つ切っ掛けがあれば習得できそうなのだがその一つが見つからず難航している。




スキルレベルの上昇は習得することと比べればまだ容易い。何度も繰り返す中でコツのようなものを掴めれば上げることができる。熟練度を上げているうちに徐々に上がっていくのでそこまで苦労はしてない。まぁ、それでも数年単位の話なので普通は無理なのだろう。




時間は膨大にあることだし、諦めなければ習得できることが家事スキルで証明されているので心持としては問題ない。気長に人類が現れるまで暇つぶしをしながら過ごしていこうと思う。




ライムは自由に動ける体が手に入りご機嫌だ。今まで以上にうるさいので退屈しない。




また何か変化があるまではこの平和な日常の繰り返しになるんだろう。






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ん~ おはよう、エリアスです。相変わらず平和な日常を繰り返してますね。最近の自然界は生物の進化が著しい状況が続いている。『弱肉強食!!』と叫びたくなるぐらいに生物間では殺伐としているように思う。それも原因は俺の眷属スライムなんだがな~。




それぞれの環境の頂点に立つ主精霊とは別に最初の旅の最中、道端で眷属としたスライムも存在する。そのスライムたちは今まで目立った変化はなかった。普通のスライムよりも強くしぶとく生き残れる存在という以外はこれと言って特徴のないスライムだった。




だが、この眷属スライムたちも進化していないわけではなかったようだ。主精霊たちよりもより複雑な進化の過程を歩むこととなる。




あるスライムは自身の体をナノサイズにまで圧縮と分裂を繰り返した。結果、ウイルスのような存在となり、より広域に存在するスライム、ナノスライムとなった。ナノスライムからの情報量は群を抜いて多くとても重宝している。




あるスライムは石のように全く動かずに只ジッとするようになる。このスライムは浄化と圧縮を繰り返し自身は誰にも動かせない存在となる。周りの環境はとても清潔で清らかな環境となり希少な鉱石、植物が群生するパワースポットのそうな場所となる。




あるスライムは寄生することに特化した。その身を他の動植物が好む体、ニオイに変質させる。そうすることで捕食され体内へと侵入する。吸収と強化を繰り返すことで徐々に主導権を乗っ取った。最後には意思すらも乗っ取り身体を強化していく。このスライムが一番多様なスライムというか全く別の存在を作り出すこととなる。狼の体を得たスライムはその体格を巨躯に頑丈に筋肉質に変質させる。俺の記憶の影響か体毛を白銀に変質し美しい魔狼となった。はじめ見たときフェンリルじゃね?と思ったのが悪かったのかそのスライムはもうフェンリルといってもいいような存在となっている。




その他にも元がスライムだったと分からないような存在が現れた。中には多種族と交配できる存在も現れより混沌としてくる。それにより弱肉強食が酷くなった。強者の種族の殆どにスライムが係わっている状況だ。もう本当に酷い。状況は逐一理解しているし眷属同士は争っていないので問題なしと判断している。




世代を重ねることでスライムの影響は薄れるのだろうか?ライムに聞いてみてもそれは分からないとの回答だし気長に待つしかないのだろう。ライムも問題としていない様子なので大丈夫だろう。大丈夫だよね?




スキルに関してはやっと鍛冶スキルを習得できた。長かった。習得したときは感動に涙し、ライムが引くほどに狂喜乱舞していたように思う。これで初めて意図的にスキルを習得できることが証明されたのだ。




意図しないで習得したスキルとしては家事、料理、生活魔法、話術、並列思考、多重人格、情報共有なんてスキルを獲得している。どれも普段から多用している技能だったため才能として習得したのだと思う。




ライムも別でスキルを獲得できているらしい。釣りスキルを習得したと、この前自慢していた。何とも平和である。(現実逃避)




まぁ、致命的な問題は起こっていない。今日も今日とて平和ないちにちt『エリー様 南の大陸の端で大規模な破壊が確認されましたがどうしましょうか?』iだったらよかったな~。




ドライアドの報告から直ちに行動を開始する。ナノスライムからより詳しい情報を受け取りライムと相談しながら確認しに行くのだった。






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今何時だろうか?エリアスです。ちょっと現実逃避に長いこと眠りについていた。主精霊や眷属スライムたちは順調に順調すぎるほどに成長し今ではすべての個体が裏ステータスへと移行している。主精霊はその土地に居なくても環境を安定することができるほどに成長し今では俺が長年住んでいる家でのびのびと過ごしている。眷属スライムも同じように家にいる。元の群れはスライムの影響が薄れ急激な進化は安定した。




家が賑やかになったことはいいことなのだが過去の弱肉強食の影響かどうも神格化されている。精霊はその環境の頂点という立場なので畏怖される程度だ。眷属スライム達はそれぞれの群れの最古参であり生きる伝説的存在であったことから崇め奉られていた。スライムの影響が薄れ雲隠れする形で群れから離れても未だに奉られている。そんな存在の頂点たる俺は名前だけが広く広まってしまった形だ。




ちょっとその事実が受け入れられなくて20年くらい部屋にこもっていた。その間もナノスライムからの情報は受け取っていたので世界の移り変わりに疎くなることはなかったがそれでも気持ちの整理をする時間は欲しかった。不幸中の幸いは未だに人間社会ができていないことだろうか?いや、人間は未だに発生していないがスライムの影響による進化の過程で亜人種は多種多様に形成されていまっているから手遅れかもしれない。




亜人種は猿のような動物に寄生したことで発生した。眷属スライム達は自身を強化しそれぞれの環境に合うように進化していく。樹海の環境に適応するために木登りがしやすい身軽な細身な体に、遠くの音が拾えるように耳を長くとエルフに関する記憶を参考にした個体が現れる。他にもドワーフや小人、鬼人、獣人等ほとんどの眷属スライムが最終的には人型の存在となった。これは俺の影響を多分に受けているものと思う。




その過程でさらに複雑な生態系になってくる。初めは猿の動物に食われた寄生スライム。徐々に主導権を乗っ取りその体の主体となる。猿スライムは自身を強化しながら眷属を増やす。猿スライムは俺の記憶を参考にゴブリンのような姿になるが眷属猿は進化についていけず取り残される。ゴブリンスライムは眷属を増やす。ゴブリンスライムはより人型に近いゴブリンとなるが眷属ゴブリンは取り残される。あとはこの繰り返し、猿⇒ゴブリン⇒ホブゴブリン⇒エルフ⇒ハイエルフといったように眷属スライムは進化を繰り返したがそのたびに孫スライムは取り残される形となり独自の進化をするようになる。




他には、


ホブゴブリン⇒オーガ⇒鬼人


ホブゴブリン⇒ドワーフ⇒ハイドワーフ


       ドワーフ⇒小人


ホブゴブリン⇒オーク⇒巨人


狼⇒黒狼⇒フェンリル⇒白狼の獣人




等々、別の過程から同じ結果になった眷属スライムも存在し生態系が多種多様な混沌としたものとなった。なぜゴブリンから?と疑問の残る箇所は多くあるが多種多様な前世の記憶から眷属たちがなりたい種族に進化したことが重要であり仮定は関係ないのかもしれない。




だが、これにより人間の社会はできていないがそれぞれの種族の集落は形成されている。その集落内で神格化されているのが眷属スライム達だ。人間ができる前に亜人ができてしまった。逆になぜどの眷属スライムも人間にならなかったのかが疑問でならない今日この頃。




それぞれの種族はスライムの関わらない緩やかな形で変化していっている。急激な変化はスライムの影響だと改めて理解させられた。今では眷属達は自由気ままに暮らし孫スライム達が多忙な日々を送っているような状況だ。




スキルに関しては熟練度、スキルレベルはともに順調。初めに取得したスキルはすべてカンストしている。暇な時間を使い違ったスキルが取得できないか試行錯誤する日々を送っている。いつの間にか位階も上昇しておりⅦにまで上がっていた。こちらは何が原因かわからないので放っておく。




ライムはこの予想外の変化に驚いた様子ではあったが問題はないと判断しているようだ。今日も自由に釣りをしに行くと言っていた。ここら辺はいつも道理で平和だ。




また、何か変化があるまでは繰り返しの日々。仲間が予想以上に増えたため退屈する気がしない。






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んー やっとだやっと。どうもエリアスです。最近になって人間の文明が見えてきたように思う。長かった、本当に長かった。この地に召喚されて5億年ぐらい。ようやく人間文明の気配がするようになった。




主スライムが主精霊になったのがだいたいこの地に来て1億年くらい。眷属スライムの影響で弱肉強食が酷くなったのが1億5千年ぐらい。それぞれの種族からスライムの影響が完全に抜けたのは2億5千年ぐらいか。三億年くらいでやっと人類の先祖であろう生物が道具を使い始め火を使い始めた。それから5億年経つまでに形成と崩壊を繰り返し徐々に俺がよく知る人間ができ始めた。最近では集落から村に変わっているように思う。




人類が発生したのは環境の安定した大陸だ。大雑把に中央に三つほど大きな大陸があり環境が安定している。この三つの大陸だけで地球よりも大きな土地となる。中央から海を挟んで北の大陸に獄炎と極寒の土地が濃い霧を挟んで存在する。獄炎があのイフリートの管理する土地だ。東には雷雨と台風、土地の隆起が常に環境破壊を繰り返している大陸。南には樹海と言うのも生ぬるいほどに鬱蒼とした植物の大陸。西には昼と夜が極端に長く短い大陸。そのほかにもそれぞれの環境の島が無数に存在している。




中央のそれぞれの大陸に徐々に人類が形成されきている。発展と崩壊を繰り返しながら少しずつ数を増やしできていく様子はある種の感動すら覚えるほどだ。亜人種たちは様々な場所に環境に適応するように暮らしている為、人類と接触するのはまだまだ後になりそうだ。




ナノスライムがこの世界全域を覆ったため、孫スライム達もようやく自由な時を得た。それぞれの環境は維持をしつつ自由気ままに過ごしている。眷属スライム達も同様だ。




ここからは発展が加速するのだろうか?ライムに話してもいつも道理の会話ぐらいで楽しみであることが分かるぐらいだ。弱肉強食の世界も退屈することはなかったがそれはそれで同じことの繰り返しであり刺激が足りないものだ。




最近自由過ぎる気がする眷属達に気を使いながら文明ができていく様子を観察していく。






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人類が発生してからは今まで以上に退屈することがなくなった。野生の動物と違い人が思いつくことは面白い。今のままでも混沌としている状況をさらに混沌の坩堝へと落とすとは思わなかった。人類は他の人類と接触し争い、和解し時に裏切り俺がよく知る人類史の歩む道を進んでいく。最盛期の文明にまで昇りつめたと思ったらすべてが無に帰す。何度も同じ過ちを繰り返す様子は傍観者の立場であるがゆえに滑稽に映る。そんな繰り返しを中央大陸内だけで行うのだから飽きれるしかない。




人は過剰に溢れる世界の魔力を使って異世界召喚魔法を何度も行使する。世界に穴を開け他世界が干渉できる隙を作り出す。この行動が世界をさらに混沌とさせる行動となる。環境の安定した中央の三大陸にこの世界を侵攻しに来た悪魔やら魔王やら高次元文明やらと様々な存在が争いに来る。その度に文明が崩壊、または撃退、侵攻してきた者たちは周辺の大陸に攻め込み全滅、統率者を失いこの世界に残される形で文明がなくなるを繰り返す。この世界は俺が思っている以上に過酷な世界の様だ。未だにどこか一つの種族が統一するような状況にはなっていないのだから。




今、中央大陸に存在する人類は他世界との混血の者だけだ。見た目も能力も様々。俺が確認できるこの世界のステータスで活動している者はほぼいない。複雑なステータスが一周して単純な表記に落ち着き本来の強化方法を行いない状況になっている。




俺は文明が成長するたびに様々な姿で訪れ書物や食べ物、文化に触れている。幾人かの人とは仲良くなった。俺も仲良くなり気に入ると不幸なことにあってほしくないと思うものでお節介をかけてしまう。簡単に死なないように裏ステータスまで修行をつけたり気の合うやつとは一緒に住むうちに馴染んでしまったりなど今では様々な英霊がわが家で居候している。




この世界のスライムとしての役割は俺にとって退屈することがない。ライムもとても機嫌がよく感情豊かで俺という存在の介入でこの世界は大きく変わったとこの前話してくれた。なんでも俺のいない世界線ではここまでの変化はないのだそうだ。安定しているという状況はいい状況ではあるのだがそれ以上発展しないということでもある。そんな世界に他世界からの侵攻などが始まれば簡単に乗っ取られてしまう。酷い状況では悪魔が蔓延り世界を壊されてしまうのだとか。だから、今の混沌としているが表に出ない強者によって守られている世界は一つの理想なのだそうだ。それでいて表に干渉しないので常に変化が続いている。




ライムは満面の笑みでこの世界の英霊たちに感謝を述べていた。




一時期は眷属スライム達の影響で悪い方向に進んでいるのでは?と気が気でなかったが結果的にいい方向に進んだようだ。今の混沌の中でも保全された状況に落ち着いて少しほっとしている。エリアスとしての役目は一段落着いたということだろう。今にして思うと長いようで短かった。初めの話し相手がライムしかいない時期が懐かしい。




状況は俺の手から離れている。これからこの世界がどのように変わっていくのかどのように進んでいくのか今まで通りやりたいことを続けながら変化を見守っていくことが最大の楽しみとなっている。




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不死者の短編 菅隆 @Rerisutan

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