ステータス確認
目が覚めた。何処かの木によりかかるように寝ていたようだ。体がバキバキに凝って所々痛い。周りを見渡してみたがここに来た覚えがない。頭痛もする。なんでこんなにひどい状況なのだろうか?体に不具合はないようで動かすのは問題ない。というかいつもよりも体は動かしやすい。状況がすぐには理解できない整理することにする。
確か今年十歳になったことで教会に訪れていたはずだ。僕の出身は片田舎の農家だ。兄弟は多く10以上いる。兄や姉は授かったスキルをもとに生計を立てている。僕も例にもれず、今回の祝福でスキルを授かる予定だった。協会に到着し僕の順番となり神像に祈りをささげるまでは問題なかったはずだ。
それから・・・。そう、スキルを授かったか確認して膨大な情報量による激痛で絶叫を上げてのたうち回ったんだ。神父や両親、他の祝福を授かりに来た家族が僕のことを指さしていたような気がする。僕に対する視線、表情が悪魔を見るようなそんな感じだった気が・・・。そんな事よりも頭が痛すぎてどうでもよくなって気持ちが悪くなって、そしてそして・・・。
「ああ、気絶している間に森に捨てられたのか」
これから、僕は一人なのかな・・・。はぁ、なんか妙に落ち着いてるな。人生が終わってしまったようなだいぶ危機的状況のはずなんだけど、どこか楽観視している部分がある。何だろうこの違和感?
ステータスを確認するしか情報は得られないか。また、あの激痛が来るんじゃないかと思うと確認する気がなくなるのだが確認しないことには何もわからない。僕がこの状況に陥ったスキルを確認しないと。
それからしばらく覚悟を決めるために時間を置き、意を決してステータスを確認する。
目の前に半透明のプレートが現れた。
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Lv:1 ー 1.000
生命力:10 ー 11562.917
魔力量:3 ー 11003.238
体力量:7 ー 11300.251
攻撃:3 ー 1634.034 26.183 47.562 ・・・
魔力:1 ー 1207.296 89.561 35.819 ・・・
防御:2 ー 1467.939 11.892 67,451 ・・・
精神:5 ー 1789.452 28.561 57.111 ・・・
敏捷:3 - 1413.011 69.371 22.225 ・・・
スキル
ステータス確認 LV:1 - 1.000
自身のステータスを詳細に確認することができる
ーー - 0.000
ーー - 0.001
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「は?」
まず初めに確認できたステータスがこれだ。基本のステータスの横によく分からない数字が無数に羅列されている。数値は多すぎて横にいくらスライドさせても終わりが見えない。一番左端の数値は見覚えのあるスキルを授かる前の数値と何ら変わらない。が、そのほかの数値はまるで意味が分からない。
肝心の僕が授かったスキルは【ステータス確認】というスキルらしい。効果は自身のステータスを詳細に確認することができることみたいだ。何だこれは?こんな誰でもできることをスキルで授かっただけであんな激痛に苛まれたのか?
【ステータス確認】の下にも意味の解らない数値が無数に羅列されている。こちらも下にいくらスライドさせても終わりが見えない。
まったく意味が解らず、他に情報がないか隈なく探しているとステータス画面そのものをスライドさせることができた。その後ろにあったのはまた別のステータス。
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レベル:1 /40
ジョブ:なし
HP:30
MP:10
スキルポイント:1
スキル
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こちらはまた別の意味で意味がわから・・・いや、理解できる。それぞれの値が何を意味するのか、スキルポイントの扱い方、取得方法、どうやって扱うのか一般常識のようにわかる。
さらにスライドさせるととまた別のステータスが確認できた。どうやらステータス自体も無数にあるようだ。そのステータスも何を意味するか理解できた。
これか?これら無数のステータスの情報を一気に確認したことから情報の波にのまれたのか?その情報処理のためのあの激痛か。傍迷惑だな、おい!
何となく状況がつかめてきた。スキルを獲得して自身のステータスを文字道理、詳細に確認したためにその情報量に耐えきれず激痛に沈んだと。で、本来とは違うステータスは例のスキルを獲得したことで確認できるようになり扱えるようになったと。情報量の中にはそれらのステータスの扱い方も含まれていた為どう使うのかがわかると。でも、今まで使っていたステータスの謎の数字群についてはまるで意味が解らない。
あれか、【ステータス確認】のスキルレベルが足りないのか。スキルレベルが上がればさらに詳細に分かるかもしれない。となると、スキルレベルが上がるまでは放置だな。他のスキルを確認するのに使っていけばいやでもスキルレベルが上がるだろう。
大分頭痛も取れてきたしいくつか確認したいこともできたから行動に移すか。手始めに今の自身の身体能力の確認と経験値がどう入るかの確認だな。
僕は、その場から立ち上がりしばらく準備運動した後、手ごろな魔物がいないか森の中を彷徨った。
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森に捨てられてから一か月以上経過していると思う。この日々の中で思ったのは案外やろうと思えばできるもんだということだ。真っ先に直面した問題が食事と寝る場所。魔物と何戦かしたときにお腹が減って気づいた。帰る場所がなかったことに。もう夕方近くでどうしようもなかったためその日は空腹のまま木の上で眠りに着いた。体が頑丈になった影響か眠ることはできたが空腹は続く。
何か食べ物をと適当な植物を食べたり、狩った魔物を血抜き処理もろくに分からずに食べたりと初めは腹を壊すことが多かったがどうにかこうにか生き抜くことができた。
腹がある程度満たされた後に自身の今あるステータスを確認するといくつかスキルを習得可能または持っていることに気づく。それからは随分と楽になった。スキルの中には技能系のスキルもあり解体術や釣り、採取、加工、等々今のサバイバル生活に役立ちそうなものを取得。
火魔法や水魔法、生活魔法といった便利な魔法も習得できたことでさらに楽になった。他にも体術、格闘術、投擲術なんかの落ちている石ころや無手の状態でも戦いやすくなるスキルも習得。常時発動するようなスキル、飢餓耐性、寒暖耐性、状態異常耐性、病気耐性などなど。索敵系のスキル群も取得したことで余裕が出てきた。
今では何か苦になることもなく森の中を適当に進みながらサバイバル生活を送っている。いくら進んでも森を抜け出す様子がないことから適当に転移されたのかもしれない。まぁ、しばらくはレベル上げに専念しようと考えているので問題ないだろう。
経験値取得に関してはいろいろとわかってきている。随分と自由度が高くどれか一つだけのステータスに経験値を振り分けることもできれば複数のステータスに分けることもできる。だけど、戦闘終了後にステータスを確認することで経験値が振り分けられるようだ。振り分けるステータスは事前に分けておかないと経験値が無駄になってしまうので注意が必要だ。
今は、レベル上限がないステータスを常時セットして置き、無駄にならないようにしている。あとは育てたいステータスを入れ替えるようにして管理している。
ステータスを確認していてわかったことはそれぞれ様々な方法で成り立っているということだ。
・1レベル上昇ごとのランダムステータス上昇
・レベル上昇ごとに獲得できるステータスポイントを割り振り上昇
・熟練度によるステータス上昇
・スキルによるステータス上昇
・基礎ステータス×レベル
・隠しステータスによる数値変動
・スキルポイントの割り振りによるスキル習得
・レベルごとの技、技能、能力習得
・スキルツリーをレベルまたは熟練度によって習得していく
・初めにランダムでスキル習得
これら以外にも複合的な物や全く当てはまらない独自のものなど本当に様々なステータスがある。
能力値がランダムに上昇するステータスはレベルを下げる方法が分からないと弱いステータスになってしまうため後回しにしている。熟練度系のものは経験値とは別物なので反復して努力するしかない。手っ取り早く強くなるためにはレベルを上げるだけで固定で数値が上昇するもの。それもレベル上限があるものを優先的にレベル上げしている。そういったステータスはスキルポイントの割り振りでスキル習得できるものも多いため自分で選べることもありなかなか重宝している。
本来の自身のステータス、最初に確認した数値の羅列されたステータスは最後に取り掛かろうと考えている。分からないことが多すぎるため【ステータス確認】のスキルレベルが上がり切るまで放置しとこうと思う。
まぁ、いろいろ話したと思うが簡単にまとめると他のステータスが便利!何も苦労していないので気ままに過ごしています!ということです。
しばらくの間は自身の能力上げが続くかな。やりたいことはいっぱいあるし一つ一つ消化していこうと思う。最初の捨てられたときに悲壮感を感じなかったのはたぶん頭痛の時に漠然と何も苦労することがないことが分かっていたからなのかもしれない。
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森に捨てられてから20年近くたった。あれから僕は気ままにサバイバル暮らしを堪能しながら少しずつ森を進んでいった。1年くらい森を彷徨って谷底に差し掛かったころやっとここがどこなのかが分かった。
僕が彷徨っていたのは国と国の境にある広大なダンジョンの上。難易度が屈指のダンジョンである為、国も攻略しきれず全容が明らかにされていない。特徴としてそのダンジョンの魔物は瞳が赤黒くさらに暗い紫のような湯気を纏っている。上の森は広大過ぎて踏破することが出来ず放置されている場所だ。
なるほど、道理で森を出ることができないわけだ。出る予定はなかったので問題ないのだが一向に森が途切れない土地だったため不思議に思っていた。これは実質処刑だったのかもしれない。僕が天罰でも食らったように思ったのだろうか?今では両親が何を考えてここに送り込んだのか分からない。
崖から谷を覗くと何かが蠢く様子と赤い瞳、青い湯気が確認できたことからここがそのダンジョンだと理解した。そして思ったことは・・・
経験値取り放題じゃね? ということである。
それからずっとダンジョンでサバイバル生活を送っている。谷に差し掛からない限りダンジョンは洞窟のため昼夜は曖昧になり日付の間隔もよく分からなくなっていたが20年近くの月日は経っているように思う。
僕の身長も大きく成長し170はあるだろうか?計っていないため正確なところは分からないがそのぐらいだろう。年齢も30ともうおじさんなわけだがどういうわけか身体が衰える様子がない。不思議だが外見年齢を他の人に確認できるわけでもないので置いておく。
ステータスの方は大きく成長した。レベル上限のあるものは全て終わらせたしレベル上限の無いモノは四桁は超えている。最近は数値がランダムで上昇していたステータスをレベルの上げ下げを繰り返して最大上昇のものが出るまで厳選している。
スキルはそれこそ膨大な数がある。スキルツリーは全て開けたしスキルポイントも使い切った。熟練度もほとんどカンスト、いくつか数える程度のものがあるぐらいだ。
ステータスが上がり過ぎた弊害か全力に耐えうる武器がなくなってしまった。防具に関しても金属系のものは耐えきれず粉々になってしまうため魔物由来の毛皮装備ぐらいしか装備していない。柔軟性を最優先に複数のドラゴンの合成ズボンや上着、外装を愛用している。壊れない武器が作れないか試行錯誤していることも多くなっている。
何年か前に【ステータス確認】のスキルレベルを確認するためにステータスを開いたことがあったのだが数列はさらに膨大でややこしいことになっていてやはり理解できなかった。スキルに関してもいつの間にか膨大な量のものを獲得していたらしく確認することが億劫になった。ただ、スキルの数値に関してなんとなく理解したのは熟練度の数値ではないかということだ。それが小数点第何位だというぐらいに続いておりすべてのスキル表記があるのではないかと予想している。
だって明らかにどうでもいいようなスキルを流し読みしただけでも見つけてしまったのだから。【歩く】とか【走る】はまだいいが【欠伸】だの【上腕二頭筋】だの果てには【まばたき】とかどうでもいいような行動やら部位がスキルとして表記されていた。
そこから先はどうでもよくなって経験値が獲得できるように設定を変えてからは放置している。他にも似たように理解が追い付かないステータスはあるが最初のステータスほど酷いモノはない。
このもう諦めたステータスを除けば能力値の厳選をしているステータスといくつかの熟練度が足りないスキルと無限にレベルが上がるステータスだけだ。これらもそう何年とかからずに達成しそうだし終わり次第、国境を越えて旅をしてみるのもいいかもしれない。
まぁ、どちらにしてももうしばらくはこのダンジョンに厄介になろうか。図鑑系のスキルを記録していくのも楽しいしまだまだここも飽きることはないだろう。
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さらに十年たった。ようやくこのダンジョンでやりたかったことが終わった。ステータスは諦めた本来のステータスを除いてすべて上げきった。膨大なスキル群に関しては同じようなスキルを統廃合することで整理した。数えれるほどにまで整理することができて満足だ。
ダンジョンに関してはそれらのスキルを駆使して全容を明らかにできた。生息する魔物は全て図鑑に登録。マップも完成。地上の広大な森の中心に拠点も完成した。生活環境は快適で農民だった頃よりも断然今の方がいい。
これで自身のステータスに紐づくやりたいことは全て終わった。これからは外の国々を転々と渡り歩きたいと思う。
神様が何を考えてこのスキルを授けたのか?それが分かることはないかもしれないが一まずの目標として定めようと思う。
これから何が起こるのかとても楽しみだ。
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神の気まぐれによって生まれた不変の存在が解き放たれる。
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