精霊の魔法使い19

湖の中はとても澄んでいて水面から差し込む光は空から降るカーテンのようでありその合間を色とりどりの魚たちが優雅に泳ぐ姿はとても幻想的な風景を醸し出していた。




「「きれい~」」




流石水の精霊というべきかな。本当にきれいだ。美紀なんかも見とれてしまってるし元の世界だとなかなかお目にかかれない光景ですよ。うん




「まだ、底は見えそうにないな どのくらいの深さなんだ?」




「数千キロメートルぐらいかのぉ~ この速さなら30分くらいではないか?」




「30分か~ そのぐらいならまだまだ余裕かな」




俺も随分と成長したよ自分で言うのもなんだけどさ~ 昔なら10分くらいで障壁の維持はきつかったからな~今なら一日中展開しっぱなしでも大丈夫ですよ。グランさんの修行の賜物だね。




「魔物が出てきたりしたらみんなよろしくね~」






それから40分くらい






「おっ あれかな?」




視界の先に半球のドーム状に結界の貼られた空間が現れた。結界の先は見えないようになっているのか確認できない。




「えっ どこどこ?」




「目の前にあるじゃん ちょうど美紀が見てるところだよ」




「え~ なにも見えないよ~」




「コウの方が魔素の認識は長けているからのぉ~ もう少し近づけば見えるじゃろう」




「んー 、、、 あ、 見えた! おっきいね~」




なるほど、普通なら遠くからだと見えないのね。俺はそんなにすごかったかなぁ~?あ、『逆転』の影響か。




「コウよ 少し待て」




「了解~」




リアが演唱を唱えだしたね めずらしい。 余程高度な結界なんだろう。俺もこの結界を再現するのは難しそうだし維持なんてことは数分も持ちそうにないね。




「・・・・・・・・ よし よいぞ」




俺たちはリアの合図とともに結界へと入って行った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






結界の中はまず、水がなかった。結界で遮られているのか空気が存在する。それにおいしい… 空気がおいしい。あとは結界ギリギリまで大きな湖になっている。陸は…中央に存在する孤島みたいな場所だけだ。その上には小屋があるだけだ。




「湖の中にまた湖… そんなにも湖が好きなのか?」




「まぁ あやつは水の精霊だからのぉ~ 自らの能力が最高に生かせる環境は水が周りにあることだからのぉ~」




なるほどね~ でも飯とかどうしてるのかな?ここぱっと見湖しかないしあの距離を毎回移動するのは面倒だし転移できる魔法陣でもあるのかな?




「とりあえず、あの島へ行くのでいいのか?」




「ん? あ~ あれはフェイクだぞ? このまま下へ向かってくれ」




「え!? リアっちあそこ違うの!? あの島がが目的地だと思ったのに…」




「実はのぉ~ あの小屋に入るとな 足元からそれはもう大量に水が噴き出してな 結界の外の湖の上空に打ち上げられる罠が仕掛けてあるのだよ」




「なんでそんな嫌がらせを…」




「ふふふ 私が仕掛けたのだ! 面白いであろぉ~?」




リアが仕掛けたかよ! 何が面白であろぉ~?だ! ここまでなかなか強い魔物もいたし苦労してきた人にとってはカチンとくる仕掛けだよ! はぁ~ 精霊の方々は何をしていっるんだか…




「はぁ~ 下に行けばいいんだな じゃあいくぞー」




俺はそういってさらに下へと降りていく。もう一つの湖へと入って行き、しばらくするとそこの方に神殿のようなものが見えてきた。色は真っ白で上の小屋とは比べ物にならないくらいに大きい。




「あれがそうか? また罠じゃないよな?」




「お~ よくわかったのぉ~コウよ もちろんあれも罠じゃ」




何がもちろんだ! 何が! 




「はぁ~ どこに行けばいいんだ?」




「コウよ少し怒ってないか? まぁよい あの岩のあたりに階段があるはずじゃ」




「了解」




リアの言われたとうりその付近に行くと大きな岩に扉がついているものを見つけた。う~ん本当にこれなのか?




「リアこれか?」




「ああ ここじゃ さぁ入るぞ~」




リアが何か唱えて扉を開けると中には確かに階段が存在した。中は扉からは水が入ってこないようになっているみたいで水で満たされてはいない。俺は今まで維持していた障壁を解いた。まだまだ、維持はできるけどめんどくさいから解いた。さて、階段を降りますか。




「リア? あっちの神殿の方に言ったら今度は何が起こるんだ?」




「神殿の方か? あっちは普通に神殿内でラスボスの水龍が待ち構えているだけじゃが? あー 水龍の首のあたりにタグがあっての?そこにココの扉を開ける合言葉が書いてあるのだよ」




「よく覚えてたな 合言葉」




「ん? 覚えているわけがなかろう 共通の特別な言葉を使ったのよ」




そらそうか ここでしか使わない言葉じゃ覚えてられないよな~ 他にもあるであろう合言葉を全部覚えておくなんて難しいな~




「その言葉教えてもらえるのか?」




「よいぞ『開けゴマ』じゃ 簡単じゃろ?」




・・・




「・・・・・・えっ まじで?」




「ん? まじじゃが?」




思わず思考が少し止まってしまった。まじで? セキュリティー緩すぎないか? いや、逆に試さないかもしれないからセキュリティーは固いのかも… うん、それはないな。




美紀も驚いてるみたい。だって、半口開けてるし…




「チーちゃん? ま、え 前、、」




「ん? !!??!?」




俺は、美紀が言うように前を振り向くとそこには・・・




「だれ、だ?」




階段を下り切った先。目の前には扉があった。たぶんその先が目的地なのだろう。でもなんで?こんな脈略なくこんな扉に出くわすんだ?その扉は普通ではない。めっちゃ凸凹している。人型に・・・ そう扉に人が埋まっている。手や足が突き出ていたり体の半分が出ていたりなど不気味だ。




「り、ア? こ、れ何?」




「なんじゃ? 扉だが?」




「いや、だから! この人!!」




「人? あれは柄じゃぞ? 魔素をよく感じてみるといい」




「へ?」




リアに言われたとうりに魔素の感知に集中してみる。あ、ホントだ。人じゃない。生々しいけど素材はほとんどが水と土だ。泥人形なのかな?なんて趣味の悪い!驚かすなよ、も~




「あ、ほんとだよ~」




美紀も気づいたみたいだね。驚いてたのは俺と美紀だけだったみたい。他のみんなはとくに動揺した様子がないし初めから気づいてたみたいだ。




「なんでこんな扉に…」




「趣味じゃろうな」




リアは気にすることなく扉に近づくと扉がひとりでに蠢き開きだした。うわ~これもまたなんというか…入ると中はどこのオカルト部屋だ!と叫びたくなるような部屋だった。壁には骸骨やら怪しげな道具やらが並べられており部屋の中は全体的に暗いように感じる。そんな部屋の中央に全体的に水色の服装で身を包んだ女性がいる。




「えーと… あなたがその・・・」




「ええ 初めまして 水の精霊のウルです」




「久しいのぉ~ウルよ 何年振りか?」




「150年ほどですね おばさま またお会いできて光栄です」




「かたいかたい 相変わらずじゃのぉ~」




部屋の印象とはだいぶ違うなぁ~ にしても150年ぶりて…どんだけあってないんだよ。




「して今日のご用はなんでしょうか?」




「だからかたいと言っておるじゃろに… まぁよい 今日はここ本来の設定どうりじゃ」




「なるほど、そのお二方に加護をお与えすればよろしいのですね?」




「そうじゃ 早速お願いしようかのぉ~」




「では、お手を…」




俺と美紀はウルさんに利き手の甲を差し出した。てか、本来の設定て何を遊んでいるんだか…精霊の方々はそんなにも暇をもてあそんでいるのだろうか…


ウルさんは俺たちの手の甲に触れると聞き取れないくらいの小声で唱えだした。手の甲の文様が淡く発光をはじめ次第に収まっていった。




「・・・・ ふぅ 以上になります」




「「ありがとうございました!」」




「いえいえ」




うん、これで新しい加護ゲットだね。今回の目的達成!!


あ、朝の答え合わせね。ではでは、わたくしめのステータスをごらんなさいませ~


というわけでステータス開きます!ついでに加護も一緒に!






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立川康



21歳


男⇒女(逆転の効果、解除不可)


スキル


逆転


魔法


気法


死の剥奪


超速再生


召喚術


魔物の使役


・アオ スライム 1歳 なし スキル 空間


・クー 電気猫  1歳 なし スキル 変化


・ラク イト 走鳥 1歳 女 スキル 人化






加護


名前:タチカワ コウ


物: 神木の木刀


   変化の魔銃


   竜の鱗


   魔のペン


魔の短剣(最大50)


魔の札(最大100)


魔のビー玉(最大50)


魔のワイヤー(最大5キロ)


   魔のナイフ


   魔のフォーク


遠見の片眼鏡


   魔のロングコート(自動障壁)(魔法吸収)


疾風の靴


   力の手袋


知恵の神留め


黒竜の刃


・・・・・・・


レベル:503


職業:冒険者


加護:大精霊リアの加護


古黒竜グランの加護


精霊ウルの加護


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




おっ ウルの加護が入ってるね。 ・・・ん? いやいや、なんで俺はまだ21歳なんだ?グランさんのところで最低でも10年以上は過ぎているはずだぞ? え、どうでもいい?答えがわからない?いやいや、明らかに可笑しいスキルがあるでしょうが!そう!『死の剥奪』だよ。




まぁ、答えは・・・












死んでいた










ということだよ。






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