精霊の魔法使い11
平原に二つの影がとぼとぼと歩いている。手には武骨なこん棒のようなものを持っている。時折立ち止まっては、周りを警戒するように見渡しまた進んでいく。
その平原を見渡せる位置にある少しばかり高い丘の上には、伏せの体勢で背中にに弓を括り付けた者と腰に自動拳銃のような形をしたものを吊るした者がいる。その近くには、子犬と子猫も伏せている。
「橋本さん、初めてのゴブリン退治だけど大丈夫? 俺のときはひどい気分になって大変だったんだけど・・・」
「大丈夫です。今まで道理にやれます。」
「・・・わかった 念のためにクーは橋本さんについていてね」
「了解しました! マイ マスター!」
うーん、クーは最近いろんな呼び方を試しているみたいだけど大丈夫かな?まぁ、俺よりも優秀だからそこまで心配はしていないけどさー
「私としてはコウの方が心配だな コウもゴブリンのような知性のあるものとの戦闘はまだ数回しかしてないであろうに」
「それはごもっともです。 正直まだ、気持ち悪いのがくすっぶてるよ」
どうしたものか・・・ どうにかして克服しないとこれからの戦闘に支障がででくるよな~
その間にもゴブリンは少しづつ草原を進んでいきもう少しで橋本さんの射程距離に入りそうだ。
弓を持っているのが橋本さんだ。橋本さんは弓道部だったらしく弓を扱うことに決めたのだ。リアに加護をかけてもらったことでレベルが30となり物を3つ登録できる。そのうちの二つを使って弓と矢を登録したのだ。
弓を登録するだけでいいようにも思うのだが矢も登録することで残弾?まぁ矢の残りを気にせずにすむのだ。もちろん、魔素の割り振りで強化もできるから強力にすることができる。
で 今、俺が持っているのが拳銃だ。初めは祭りの日に当てたモデルガンだったのだが弾を魔素に変えて使えば銃として使えるのでは?という俺の思いつきで登録してみた。
俺の発想道理にビービー弾に変わり魔素の集合体のようなものとなり撃てるようになった。
例のごとく強化することで撃てる弾がより強力なものとなり連射もできるし属性も変えられるといったものすごく便利なものとなった。
あまりにも大規模な魔法は使えないのが欠点ではあるがな。
「じゃあ 俺は移動を始めるから合図を送ったら攻撃を始めてくれ リアは俺と一緒な」
みんなから返事を受け取り隠形を発動して移動を開始する。リアは元のサイズになったリィーに乗って一緒についてくる。
リィーが子犬のサイズになっていたのは、リアの魔法の影響だ。俺は、まだ理解しきれていないから使えないのだがリア曰く質量を変える魔法なんだとか。
枝とかで練習はしてみたがなぜか小さくなるのではなく砂になってしまう。イメージの仕方が違うのかもしれない。
そうこうしているうちに目標のゴブリン二匹はもうすぐそこだ。片手で合図を送る。
合図を送ってすぐ目標のゴブリンの脇腹あたりを矢が貫く。ゴブリンは攻撃のあった方向に奇声を上げながら橋本さんにむかって、、こちらに向かって走り出す。
気づかずに通り過ぎようとしているゴブリンに右手に持った拳銃、改め魔銃で四発連射する。
そのうち、二発が手前を走っていた無傷の方肩と右足に一発がもう片方の腹の下あたりに命中し魔法が発動する。
被弾した個所から瞬時に凍っていきゴブリンたちの動きが鈍くなり・・・
「雷よ 彼の者を貫け!」
空いたもう片方の手の周囲にとどめていた雷による数本の槍がゴブリンの体を高速で貫く。
ゴブリンは凍りによる冷たさか雷による激痛か耳にこべりつくような奇声を上げながら数秒後絶滅した。
「やっぱり気分のいいようなものではないね・・・」
「その悩みは私にはどうにもならん コウがどうにかせい」
リアは厳しいねー これはどうにもならない気がするよ あ、こっちに橋本さんたちも来たみたいだね。
「見た限りだと他に敵はいないみたいだから大丈夫そう・・・ 顔色悪いけど大丈夫?」
「あぁ 大丈夫 ごくろうさんです 橋本さんは大丈夫?」
「私は最初の一矢だけだし大丈夫だよ そこまで気分も悪くないし」
橋本さんはすごいなぁ~あの断末魔を聞いてもそこまで堪えた様子がないな。俺の気持ちがただただ弱いだけなのかもなぁー
「よし、討伐部位と換金部位を回収して残りはアオに任せよう」
そんな感じで今回の討伐依頼をこなしリリーシモへと戻るのだった。
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今、俺たちは、ギルドでの換金を終え宿屋の方に来ている。時間は、5時と夕方ぐらいかな。
橋本さんは、俺が女の姿ということもあり部屋が同じなので全員が部屋にいる状況だ。ベットが二つある部屋に変えてあるのでそこまで狭くはない。
橋本さんが仲間になってからは初め、戸惑った様子だったけど依頼も今までよりもこなしやすくなったしどうにかなりそうだ。
そろそろ、次の行動に移ろうか・・・
「お金もだいぶたまってきたし明日には、道具をそろえて明後日にはこの街を出発しようと思うのだけどどうかな?」
「私は、それで大丈夫です」
「コウがそういうのであればついていくだけだからのぉ~」
「クーもマスターについていきます!」
みんなからも了承をもらえたな。それにしてもクーは、自分のことをそう呼ぶことに決めたのかな?ここ数日は、そんな風に話しているし俺のこともマスターって呼んでるし・・・なんか子供っぽいね。まぁ生まれて一か月たたないんだけどさぁ
「クーは、分担して買い物にいくことを提案します!」
「そうだね その方が早く済みそうだし別々に済ませようか。」
「コウよ 私も何か買ってもよいか? 人間の作り上げた魔法なども気になるしのぉ~」
「わかった リヤは俺と行動しようか 橋本さんはクーでも連れてく?」
「・・・」
と話しかけたのだがなぜか俺の方を見て黙っている。 えっ、俺なんかしたかな?
「そろそろ、さん付けやめてみませんか? なんか女友達とさん付けで呼ぶのに違和感があるんですよ 私、チーちゃんって呼びたいと思うのでそっちも下で読んでください!」
「・・・なんでチーちゃん?」
「えっ 康だと男っぽいしちゃんをつけても変わんないし・・・だから立川の『ち』からチーちゃん!」
なんだろうこのなぞ理論?まぁ深く考えても仕方ないか・・・
「ん~ まぁいいか どうせならため口でいこうよ 美紀」
「オーケー よろしく チーちゃん! で、私はクーといけばいいかな?」
「うん それでよろしく クーもいいか?」
「問題ないです!」
そんな感じで明日からの行動を決めていきその日はゆっくりと過ごしたのであった。
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