精霊の魔法使い14
翌日、
「よーし ここら辺なら人目につかないかな」
「ん? これからなにするの?」
「まぁ 見ておれ おもしろいことが起こるからのぉ~」
俺たちはリリーシモから出てしばらく歩き少し開けた森の中に来ている。芝生のような草の生えている場所だ。ここらへんでシートでも敷いて昼寝でもすればいい感じに眠れそうだ。
「クー見張り番任せたぞ~」
「はい! マスター!」
俺はその場に腰を下ろしアオから取り出した。元の世界で買ったけど使わなかった大きめの画用紙を取り出しマジックで六芒星の円を書く。イメージしやすいように単語を書いていく。
「えーと 鳥に……双…… 白、黒、 ……化 、、、、」
ぶつぶつと様々な文字を書いていき、次にアオから取り出したのは昨日のうちにギリギリまで魔素を込めた羽毛たちに毎日ちょっとずつ魔素を込めていた水晶のような物を二つ。他にもいろいろと取り出す。
この水晶は冒険者登録をした数日後ぐらいに宝石屋で購入したものだ。初めて手に入ったこの世界のお金を使いたいと思い半ば衝動買いのような感じで買ったものだ。とても安かったので10個ほど持っていたりする。
予定では宝石魔法みたいに使えないかな~と考えていたものだ。
「あとは… 髪を少し切って… 美紀もこのぐらい髪をもらってもいい?」
「えっ あ このぐらい?」
「ありがとう あとはこんな感じでもろもろ並べて全力で魔力を流すのみ!」
ぱんっ!と一度合掌するように手を叩き画用紙に向けて手を伸ばす。すると魔力のこもったものが輝きだし何も見えなくなってしまう。数秒のあとぼぼふっ!と二つなりものすごい勢いで白煙が舞い上がりまたも視界を隠してしまう。
「けほっけほっ この手ごたえは…… 成功かな?」
「なにこれ! 前が全く見えないよ どうなったのチーちゃん?」
次第に白煙が止んでいきそこに二つの丸いシルエットが浮かび上がる。
「「チャー」」
なんか不思議な鳴き声で翼を広げてパタパタしている二羽。片方の声が若干低い気もしなくはない。見た目はダチョウに近いような近くないような感じでとにかくふっわふわ!片方が白い羽毛に包まれており右側の羽が所々に黒が混じっている。もう片方は反対に黒い羽毛に包まれており左側の羽が所々に白が混じっている。大きさはなかなか俺の身長よりも高い位置に頭があり高さが2メートルあるかないかぐらいかな横も大きいね。
「うん 成功だね 大体はイメージ道理かな? 前よりは随分とうまくなったものだよ」
「うわ~ なにこれ? どうやったの? 錬金術みたいな? 生物作っちゃうとかやばくない?」
「魔物であるから本来の生物とは違うがのぉ~ 今回は随分と大きな者にしたのだなぁ~」
「おお~ クーたちの仲間が増えたのですよー!」
「アオーン!」
みんなそれぞれの感想を言っているみたいだね。アオも隣でプルプルしてるしうれしいのかな?
「じゃあ スキルも試してみないとね どうぞ!」
「「チャ」」
そう促すと先ほどよりは弱い光を放ちながら徐々にその姿が変わっていく。高さは130センチほどにまで縮んでいき人の形へとなっていく。羽毛は消えていき骨格などもだんだんと人のそれへと変わっていく。とても小柄なその体系はどちらも全体的に肌は若干白く、女の子か男の子か判断しにくい中性的な顔立ち、腰のあたりまで伸ばしたとてもフワフワそうな髪型だ。姿かたちは瓜二つの双子である。見分ける違いは髪の色だ。片方は白い髪に前髪の右側が一房だけ黒が混じっている。もう片方は反対に黒い髪に前髪の左側が一房だけ白が混じっている。
俺がイメージしていたのは白黒と双子といったところだけだったのだが随分とかわいらしい子が出てきたなぁ~と思っている。美紀とも繋げた部分があるからこんな感じになったのかもしれないしないのかもしれない。 はっきり言ってなぜこうなったのか分かりかねまする~
「「チャー!」」
「スキル『擬人化』も大丈夫そうだね もうちょっと大人のイメージだったんだけどなぁ~」
「うわー もうね、、、 うん、 驚きすぎた…はは」
「また、コウは面白い考え方をするのぉ~」
「まだ、話せないようですがクーが教えればいいですか? マスター?」
「ん? できるなら頼もうかな とりあえず名前を決めないとね 何がいいかな?」
クーが率先して指導してくれるみたいだし任せてみても大丈夫かな。あら、クーと話してるみたいだけどアオもリィーも教えるのかな?教わるのかな? まぁ何とかなるだろう。
おっ 美紀も驚きから立ち直ったみたいだね
「はぁ~ 名前かー じゃあブラックとホワイトからラクとイトでどう?」
「また、独特なところから考えたね うん そんな感じでどうかな?」
「「チャッー!」」
美紀の提案を聞いてみたところ元気よく返事返してくれた。なぜにこの鳴き方なのかもわからないなぁ~
「じゃあ ラク、イト これからよろしく!」
こんな感じで道中の足として新しくラクとイトが仲間になったのだった。
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「さてとっ とりあえず行き先を確認だな」
俺はカバンの中に入っていた地図を取り出し芝生の上にそれを広げる。その周りにみんなも囲むように座っていき会議の状況を作っていく。
「俺たちはこのリリーシモの町から離れたこのあたりにいるわけだ 予定としては街道の方に戻ってその道を都市に向けて進もうと思っているのだが…」
「少し良いか? どうせなら直線距離を進まぬか?」
「いや あのぉ~ それは道がない気がするのですが~」
リリーシモの町から次の都市に向かうには山を迂回する道しか地図上には書かれていない。理由を聞いてみたところ山を突っ切る道のりは開拓されていない・・・というか開拓できないのだ。リアはその山を越える道を指示している。
「私もきいたよー なんかものすごくでかいドラゴンが住んでいるとかなんかで開拓できないみたいだよ?」
「うむ そのことについては問題ない むしろそのドラゴンに用事があるのだが」
「用事ですか?」
「昔からの知人でな 久しぶりに挨拶でもしていこうかと思ったのだよ」
「「「知り合い!?」」」
俺も驚きだ。いくら長い年月を生きている精霊であるとしてもまさかドラゴンに知り合いがいるとは思わないだろう。精霊というと森の守り神的なイメージがあるからドラゴンと仲がいいはずがないと思うのは俺だけであろうか?あっ でも同じ森の守り手として協力関係みたいに過ごすみたいなこともあるのかな?
「うむ 古い知り合いだ もう数十年年あっていないがな」
流石に何百年何千年というわけではないみたいだけどそれでも長いことあっていないみたいだ。何十年は短いのかな?俺にはスケールがでかすぎてよくわからん。
「そんなわけだがコウよ この道を進みたのだ」
「そうだね そんな理由ならこの道を通っても大丈夫かな みんなもいい?」
みんなからも反対はないみたい。よし!行き先も決まったことだし進んでいきますか。
俺たちは初めは生まれたばかりということもありしばらく徒歩で移動し昼の休憩をはさんでラク、イトの背に俺とクー、美紀とリィーの組み合わせで移動をしていった。
目指すはドラゴン この世界のドラゴンはどんな生き物なのだろう?
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