精霊の魔法使い15
あれから数日たった。まだドラゴンのもとにはたどり着けていない。順調にいけば山ぐらいは遠目に見えていてもいいと思うのだが見えていない。その理由は何点かある。まず、道なき道を通っているということもあり確認しながらなので時間がかかっているのが一点。もう一点が・・・
「っち 壁!!」
俺の眼前に俺と相手の間を区切るように半透明の障壁が出現する。そこに轟音をたて優に直径2メートルほどもある岩が衝突し障壁とともに砕け散った。
視界がふさがる中美紀が相対する敵、大岩のようなトカゲに対して風を纏い貫通力の上がった矢を放っていく。命中したのか岩を削るような音が響く。
「うーん ダメージはないわけじゃないみたいだけど私の攻撃じゃ時間がかかりそうね 牽制するからあとはチーちゃんの大技に任せるよー」
「了解 ちょっと集中するからあとよろしく」
俺は美紀よりも後ろに下がり魔法のイメージを固めていく。その間前衛でリィーが縦横無尽に駆け回り時折魔法を加えながら岩トカゲの気を逸らす。クーはそのリィーの上に乗り電撃を浴びせている。ラクとイトは隙があれば攻撃を加え回避を中心に行動をしているみたいだ。後衛では美紀がさっきと同じ矢を放ち文字道理削っていっている。
「コウよ 手助けは必要か?」
「今回は大丈夫かな 前が危なそうだったら補助をよろしく」
「うむ」
「ふぅー 、、、 想像するは轟雷 ただ薙ぎ払え」
俺が唱えると同時にリィーたちが岩トカゲの側から離れる。岩トカゲが再度岩を放とうとするが俺の発動した魔法が直撃する方が速い。俺の魔法は轟音をたてる雷が弧を描きながら瞬く間に飛来する。通過した大気中には帯電し音を鳴らしている。直撃した岩トカゲは衝突した個所から大岩の胴体が爆ぜ砕け散り絶滅した。
「・・・少し威力が強すぎたか?」
「まぁ結果オーライってことでいいでしょ」
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「よし 討伐部位も回収したな」
「だね それにしてもこのあたりの魔物は今までよりも随分と強いよね リアは何か知ってる?」
「ん? あー 普段人の通らない道だからではないか? 魔物の生き残りやすい環境にでもなっているのかもしれんのぉ~」
俺たちが遅れているもう一つの理由は魔物が強力であり、かつ遭遇することが多いいからだ。今まで町の周りで討伐していた魔物よりも数段強く癖があるのだ。例えば、さっき弾け飛ばした岩トカゲ(正しい呼び名を誰も知らない)もそこまで素早くはないが防御力が非常に高いといった特徴がある。美紀の風の矢を受けてあれだけしかダメージを負わせられなかった。今までの魔物であったならばそのまま貫通して重症または即死が大抵なのだ。
俺の魔法でもさっきの魔法は集中するのに少々止まる必要のある魔法だ。高い威力を出すためにはより強固なイメージが必要になる。そのため戦闘中では致命的なことになるのであまり使わない方法だ。それだけこのあたりの魔物が強いってことかな。
「この調子だとまだまだかかりそうだな 少し休憩するか?」
「賛成です! マスター」
俺たちは一まず休憩することにした。昼時でもあるわけだし丁度よかっただろう。赤い果物というかまんまリンゴだね。それを食べながら一休みする。
「リア~ あとどれくらいかとかわかるか?」
「う~む この調子であるならばあと四日といったところかのぉ~」
「四日か~まだまだかかりそうだね ふと思ったんだけどさー こんなに魔物倒してていいのかな?」
「ん? なんでですか?」
美紀が突然不思議なこと言い出した。倒してはいけない魔物とかあるのか?あっちから襲ってくるのに抵抗しないなんて自殺行為だろうに。
「その これから会いに行くドラゴンの配下だったとかだったらシャレにならないじゃん」
なるほどな 確かにもしそんなだったらドラゴンさんは怒り心頭だろうな~ でも問題はないだろう。
「そのようなことは問題ない 私の知り合いであるのだぞ? その辺の魔物と一緒であるわけがないではないか」
「あー 確かにー」
「それにのぉ~ 仮に配下であるならばこのような雑魚であるわけがあるまい さすがに今のコウたちだけでは相当苦戦するはずであるぞ?」
「あれが雑魚なの!? 魔法の使えない人には相当きつい魔物のはずだよ!?」
やばいな まだ、あのクラスの魔物はリアにとって雑魚の部類に入るのか・・・ どうしよう・・冒険なんてしようと思わない方がよかったのかな?でもでも、異世界に来たなら夢見るじゃん?冒険してみたいじゃん?よし・・・とりあえず強くなればいいんだ。そう、強くなればいいんだよ!魔法をもっときわめてさっきの技も補助がいらないくらいに・・・
「・・・っ ・・ウよっ ・コウよっ 聞いておるのか? これからどうするのだ?」
「ん? へ? なんだっけ? もう一度いいか?」
「聞いておらんかったのだな、、、 まぁよい 配下の者であるならば私の話を聞けば戦闘になることはあるまい 安全とまではいかないが危険なことはない」
「そっか ならこのまま進んでも大丈夫かな? 休憩が終わったらまた、ラクとイトに乗って移動を開始しよう」
みんなからの了承を得て休憩を切り上げた。ラクとイトも十分休憩したみたいだし大丈夫だと思う。
俺たちはまた移動を開始した。日が少し傾いたぐらい(だいたい二時間ぐらいかな)になって突然木々がなぎ倒されたような空間に出てきた。その空間はとても広く爆心地みたいに中央にクレーターができておりそこを中心に放射状に木々がなぎ倒されている。
でも、その空間には何もないわけではない。いたるとこらで木が自律的に歩いているのだ。大きな根や枝を器用につかって移動をしている。大きさはさまざまだが小さいので人と同じぐらい大きいので何十メートルもありそうな木もある。
一目見た感じの感想は何かがこの更地を作り出して森が勝手に修復している?ように感じた。
「お~ おぉ~ また、やらかしたみたいのぉ~ 余程気に食わない者でもおったのかのぉ~」
「リアはこの状況の理由がわかるのか?」
「ああ 彼のドラゴンであろうな 大方森を荒らすような輩でもおったのであろう 随分と手加減したみたいだがのぉ~」
「はは 手加減でこれ? やばくない?」
「はは じゃああれはドラゴンさんの配下かな? 話聞いてみる?」
「それがよかろう 近くで指示を出しておる精霊もいるはず 少し挨拶をしていこう」
ドラゴンさんとあって俺は生き残れるのかな? 美紀も表情が凍り付いた感じになっちゃってるし・・・
随分と不安になりながらもリアを先頭にして話をしてみることにした。
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