もう一人の私

谷川杏子は38歳の誕生日を迎えた。
結婚間近の彼氏との同棲を解消し実家に戻ってきたのだが、両親も弟も腫れ物に触るように接してくる。誕生日当日は家族で盛大にお祝いをしてもらうが、かえって悲しさが増して来るのだった。
同姓解消と同時に、派遣社員としても雇止めに会い、喫茶店でアルバイトを始める。
その喫茶店に大富豪の宇賀神虎之助が連日常連客として訪れる。
杏子の顔を見て初恋の人に似ていると驚き、デートを申し込まれ虎之助と昔の高校生のように動物園や美術館に行くのだが、杏子はセレブの通うゴージャスなホテルでのデートを予想していたため、がっかりしてしまう。
虎之助の愛人の子愛莉の暮らしぶりをマスターから聞かされる。そして杏子は誘拐事件を思いつく。
お金のかからない暮らしをしている愛莉と働かなくても贅沢三…続きを読む