43:如月信男がいない!!

連廉、天使月姫の二人は新学期早々如月信男が登校時間になっても姿を現さないことに疑問を抱いていた。だが、教師やほかの生徒はいつも通りに授業を受けているのである。



「西京先生、如月くんのこと聞いてませんか?」



「なんだ、天使。如月がどうした?」



「今日見かけてないですけど...」



「? そういえば、いないな。だが、なんといえばいいか...いるような感じもするんだ。変なペキュラーに目でもつけられたんじゃないか? あいつのことだし。」



「今日のクラブに出席してもらえませんか? 情報も欲しいですし。」



「嫌だね! 私はまだ君たちの活動を認めたわけじゃない。ただの監視役さね。」



「じゃあ、監視のためにくればいいじゃないですか。」



「連、人の上げ足ばっかとんじゃないよ。私は用事があるんで、失礼するよ。」



西京はそそくさと教室を後にした。連は呆れかえり、天使はふくれていた。天使は、そのまま隣のクラスの札杜 礼もとに向かっていった。少しキレ気味の天使を連がなだめながらあやに事情を説明した。



「そうなんですか...。 マスターを狙うペキュラーがいるのは間違いなさそうですね。」



そういうと三人は机に座って科学の資料集を読みふけっている羽生 時雄に目線をギロッと向けた。



話を聞いていたのか、少し嫌味たらしい顔で返してきた。



「俺じゃねえよ。俺は正々堂々とあいつの能力をまねるって決めてんだ。」



「たしかに、彼に用意周到な作戦は立てられそうにはありませんね。昼休みに愛海さんに聞いてみましょう。」



結城愛海は天使たちともあやとも別のクラスで麗美と同じクラスなのだ。クラスをこれ以上またいだら休憩が終わってしまう。天使たちは移動教室なので急がなければならなかったので早めに切り上げた。



「おい! 人を散々けなしといて無視してお帰りかよ! ったく、あいつの周りはろくでもねえ女ばかりだな。」



「「なんかいった?」」



「いえ」



天使、連が体育館へと向かい、運動をこなした。その時、天使がきらりにも話をして昼休みに天使、連、あや、きらり、愛海の5人で緊急会議を開くことにした。



「…すごい俺に目線が来て居づらい。帰りたい。」



「「「「ダメ!!!!」」」」




「ゴホンッ! えー、じゃあ手芸部緊急会議始めるよ。昼休み短いから手短にね?愛海ちゃんからよろしく~」



「オッケー。 まず初めに信男君がいなくなったのはまずペキュラーの仕業で間違いないと思う。というのも姉さんからの情報になるけど、3年に信男君のことについて聞いてきた人がいたんだって。」



「ぜってーそいつじゃん。愛海、まじそいつだれ?」



「えっ、あ、その人の名前は、、榊 皐月。姉さんと同じクラスメイトだ、す」




「愛海さん、もしかしてきらりの事苦手なの?」



「えー!?一緒にキャンプいった仲っしょ!!」



「ギャルは専門外、、なのであと麗美さんとも話すの初めてだし。」



「あたしも? まあそっか。人それぞれに苦手な子っているもんね。ダーリンと会うのが早かったからってちょっと彼女面するどこかの雪女とバカテンションギャルと違ってね!」



「「なんて?」」



「もう、喧嘩しないでよね。モブ男くんが大変なのよ? 私たちが今仲間割れしてても仕方ないでしょ?」



「そーだ、そーだ!」



小声で廉が加勢すると女性全員がにらみつけてきた。その表情は獲物を狙う雌豹そのものだった。廉は委縮して椅子の上で足を腕で抱えた。縮こまっていると天使が廉に話しかけてきた。



「レン君、あなたも自分の想うことだったり情報を話していいよ。みんな、めちゃくちゃしゃべっちゃったし。」



「…まずは、その榊さんの元に話を聞くって言ってもあいつと一緒にいるだろうから、放課後亜莉須先輩も交えて居場所を見つけよう。今まで信男が音頭を取ってきたから誰がこの作戦の指揮をしてほしいけど、誕生日の時ももめた結果天使さんにやってもらったけど、今回は俺がやるってことでいいかな?」



「「「「「「「「異議なし!」」」」」」




「以外とすんなりだな。」



「だって一番の親友はれんちーじゃん。友達のピンチにすぐに手をあげれるのはいいところっしょ。そこはモブッチに負けずにかっこいいと思うよ。」



「私も、蒲生さんと同意見。姉さんにもこのことは伝えておくわ。」



廉の音頭で皆まとまり、放課後もう一度集まることにした。そして、時は満ちた。



家庭科室は信男がいない分少し静かな教室となっていた。全員が集合し、黒板には“如月信男救出大作戦”と大きく書かれていた。そして廉が黒板の前に立ち、メンバーに改めて説明した。



「これより、榊皐月より如月信男の救出を図りますが、榊皐月とはどんな人物ですか? 愛海さん。」




「はい、私と姉さんの二人で調査したところ、彼女は少し思い込みの激しい傾向があるようです。」



「そうだねぇ。あの子、ちょっと恋愛に対して重いからさぁ、信男くんにも何かしらの妄想ができたんじゃないかな? 」



「彼女の能力を調べたところこんな結果が出ました。」



愛海は能力で黒板に榊の情報について浮かび上がらせた。




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榊 皐月


5月5日生まれ 18歳



【個性】:ヤンデレ


相手のことを一目ぼれすると束縛し、独占したくなる。振り向かないと攻撃的な姿勢


になってしまう。その性格さえ嫌悪しているも、止めることはできない。



<現出魔>:デザイア


カマキリのような見た目。その鎌で亜空間を作り、相手を孤立させる。自身も亜空間に


入ることもできる。



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情報を眺めて呆然とするメンバーだったが廉が黒板をたたきつけて、彼女たちに諭し始めた。



「今、このペキュラーに対抗できるペキュラーは残念ながらここにいない。そこで新規部員を調達したいと思うけど異論は?」



「はい! 異議ありです!」



「先輩? 手芸部の部員が増えるんすよ?」



「信男君がその後許すかなぁ?例えばそれが男の子だったらハーレムを作りたいのに邪魔って思わないかな?」



「健全なハーレムという常軌を逸したことを言う奴だぞ?ああでも、あいつ、友達の友達とか嫌うタイプだしなぁ。めんどくせぇな」



全員に暗雲が立ち込めてきたとき、家庭科室の扉が突然に開いた。そこには天河美琴と降谷一星がいた。



「お困りのようだな。手芸部の諸君。」



「生徒会? なんでいんの?」



「うちが呼んだんだぁ。 信男君と仲良くなったみたいだし、みんな大丈夫だよぉ~」



「我々には如月信男に借りがあるから手を貸してやろう。」



「生徒会副会長として、人選しておいたよ。」



そして、教室に現れたのは意外な人物だった。



「久しぶりだねみんな。」



「「「「「「「いや、誰だよ!」」」」」」」

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