個性が強くて何が悪い！

04：きらりん革命

やったぜ。

今日はきらりさんと二人っきりで下校デートだ！　

あやさんは剣道部の練習があるらしいし、俺とれんれん、そしてきらりさんは帰宅部。れんれんには悪いが俺は女の子と二人きりで帰りたいんだ。

　雰囲気もバッチリ！？だし。いいぞ、これ。意気揚々としているときらりが少し頬を赤らめてこちらを向いて話かけてきた。

「ね、モブッチって甘いもの好き？」

「はい、めっちゃ好きです！」

ホントはそれほどでもない。だが、甘い展開はとても大好きです！　つまり？　これは下校途中のカフェに行くルートだな。さらに熱くなってきましたゾ。

「うちのおきにのカフェ寄って帰ろ」

魅力の効果最高だな。俺はそんなに甘いものもパフェなるものも食べないけど、彼女のためなら今日は甘党にもなろうぞ。

そして、下校途中に、商店街に寄って彼女がお気に入りという喫茶店「どり～む」へとたどり着いた。二名様ご来店で俺氏、ご満悦。互いに対面で座って、（要はカップル座り）をして彼女は予定通り、パフェを注文し、俺はとりあえず、パンケーキを所望した。

　はじめにパフェがきて、彼女はインスタ映え狙いの可愛い写真を取ろうと必死になってる。そうしてるうちに俺のパンケーキが届いた。とてもおいしそうなパンケーキだ。

俺は甘いものがあまり食べないが、パンケーキは好きな部類だ。家なら怒られてしまうくらい大量のメイプルシロップと、バターをふんだんに付けて二枚重ねにして大口でほおばる。意外にも罪深く、それがたまらなく好きだ。しかも女子と二人きり、厚いケーキがのどに詰まりそうだ。しっかりと味も思い出もかみしめる。きらりさんもとても美味しそうにパフェを口に含む。すごく幸せですが、死ぬのか？　俺は…。

さて、きらりさんもパフェをぺろりと平らげ、カフェを後にした。やはり幸せな時間というのは短いと、カフェからほどなくした二人が別れる駅へと向かいながら考えているとその途中、とある黒いコートを着た男が急に話しかけてきた。

「おまえ、欅ヶ丘高校一年、如月信男だな。　お前の能力は、我が校の風紀を乱す。して、ここで君を倒す！」

「ちょっち、モブッチに手だすとか、ないから。　キモい中二は帰れよ」

「そうですか。信男君もそうですが、蒲生さん、あなたも風紀を乱す存在です。一緒くたに指導してしまえばすむ話です。私、一年風紀委員の藤田冬吾があなたたちを補導し、指導します」

自ら名乗った藤田は能力者のようで彼は猟銃のようなものを何もない所から現出させた。藤田は容赦なく猟銃で二人を狙い打ってくる。込められた弾丸は空気弾のようであったが当たれば段ボールや紙類が吹っ飛ばされ、へこんでいる。にとに当たっては軽傷は免れなさそうだ。

俺ははっきり言って戦闘向きの能力じゃない。俺は逃げ回るしかなかった。だが、彼女は違った。

「うちのモブッチに手ぇ出すんじゃねえよ！！　あれ嫌なんだけど、モブッチのためならやってやるんだから！　＜現出装・ヒップ＆ホップ＞」

というと、なにかダンスのステップの様なものを踏み出していく。そうして行くと見る見るうちに彼女の服装がヒップホップ女子が着てそうなダンススタイルに早着替えしてた。

「よしっ！　あんたの銃弾なんか、うちのポジティブパワーでやっつけんだかんな！」

息まくきらりさん、そして不用心にダンスステップで近づいていく。藤田は銃弾を放つが一向に当たらない。彼女は手を地面につけると足を開き、ベイゴマのように回転して藤田のあごに向け直接攻撃（クリ―ヒット）させた。

「くっ、奇怪な動きを......」

「まだまだ、これからだもんね。　必殺卍おとし行くよ～♪」

そう言うと、距離を置き、手で卍形を作ったと思うと閃光が走り、辺りが白くなった。俺も、藤田もそれに目をそらしたその瞬間、きらりさんは足で藤田を挟み、空中に舞っていた。その姿はオリンピックの体操選手のE難易度の技みたいだが、藤田も慌ててなどいなかった。

「私の情報を甘く見るな！　この時を待っていたのだよ。お前の卍おとしとやら、既に私の頭の中で敗れている！　」

藤田はきらりさんの両足から離れると地面に落ちながら、何やら彼女に標準を合わせていた。

「現出はペキュラーの能力値を示す、パラメーター。本来の個性とは関係なく、それをサポートする形でイメージの武器を出すことのできる。我々に与えられた特権。つまり、私は私本来の個性を発揮していないのだよ......。　くらえ、[捕縛]！！」

そういうときらりさんの両手両足が大きな手錠で藤田と繋がれてしまっているようだった。

いったいどういう個性なんだ。縛り大好きとかか？　ただの変態だな！

「私の個性は正義感。それは正義を貫き、悪を補導する更生能力。そして、リーダーシップ。これこそ、能力者にふさわしい個性…。君たちのように遊びで使ってるんじゃない！」

きらりさんがピンチだ。なにか、助けなければ。でも、自分本来の個性は同性に効かないよなぁ。じゃあ、どうすれば・・・。いや、方法はある。あいつと同じように武器を現出させるんだ。さっき、藤田が言っていたように能力者ならそれをサポートできる武器を現出できる。よし、チート級の武器出てこい！！

「＜現出・なんかすごい奴＞！！」

目をつぶり、イメージをすると右手になにかを持っている感触がする。硬い、棒だ。ん？　戟か？さすまたか？それとも木の棒とかか？　木の棒だけは勘弁してくれ、木の棒だけは勘弁してくれ。

薄目を開けてみてみる。何やら派手な色合いだな。ピンク？　変な大人の玩具じゃあるまいな？　俺の想像力に期待しながら見開く。

「なあにこれ？」

マジックステッキだ。　いや、別に変なことを言っているわけではない。いわゆる女児向けアニメにでてきそうな魔法の杖だ。なんだ？　俺がいたいけな魔法少女にでも選ばれたのか？　いやいや、これはそんなファンタジーじゃない。ただ、能力者のいる世界だというだけのことだ。こうなれば仕方がない。

「もうどうにでもなれ、適当に魔法でも唱えてやる、エクスペリア！！」

呪文を唱えるとなにかが変わるわけでもなく、辺りは静まりかえるだけだった。半べそをかきながら両手でステッキを持つ男子が情けなく立つだけだった。

すかさず、藤田はこちらへ向かい、捕縛しようとしたが、俺はこんな無様な姿は見せたくない！

「やはり、君のように遊びで個性を使ってるんじゃ現出なぞ、役に立たないんだよ！」

「確かに、遊びだ！　でもな、お前にはロマンがない。そう男のロマンがっ！俺の個性は、、男の夢そのものだぁ！」

ステッキが激しく光ると、信男の周りに淡い赤色の膜状のものが大きく張りだされ、その障壁が藤田を押し出した。

空中に藤田を投げ出した信男はきらりに

「きらりさん、今です！　」

「ナイスフォロー！　モブッチ！」

彼女の卍おとしは見事決まり、藤田は戦闘不能となった。心配しないでもらいたいのは彼は生きている。彼の身元は携帯で呼び出しておいた便利な神様、天使ちゃんに預けた。

天使ちゃんを見送り、きらりさんと別れる駅前に差し掛かるときらりさんはうつむきながら

「今日はいいとこ見せたかったのに、、モブッチのカッコイイとこ取られちゃったなぁ。ちょっと惚れ直したぞ？」

「かっこいい......か。言われ慣れてないと変な気分だな」

「うん、あのクールな貧乳には見せんなよ！いい？」

いや、貧乳って確かにあやさんの胸はあなたよりおしとやかだけど、、まあ、照れ顔頂いたし、笑顔も見れたし、万事解決っしょ。

俺も思わず笑顔になって彼女を見送った。