17:愛、覚えております

相川一郎は信男に一連の事件について謝罪しながら語り始めた。


「申し訳ない。私達というものがいながら、あのような裏切り者を出してしまった。」


信男は首をかしげながら


「どういう意味だ?」


と聞くと相川は深呼吸して


「彼らは降星会と呼ばれる生徒会の中でも選民思想の高い変な人たち集団のメンバーらしい。というのも恥ずかしながら私も最近知ったものだ。藤田くん、羽生くんも、もちろんメンバーだった。が、彼らは目的を果たせなかったとして破門されたと言われている。早く、集会を解散させなければいけない。君にも被害が出てしまう。」


「それは君たち、生徒会のメンツのためk」


「それは断じて違う!!」


相川は大声で信男の言葉を遮った。


「生徒会は単に私達生徒が居心地の良い学校生活を送るために先生との架け橋になれる存在だと信じている。権力や上に立ちたいなどという私利私欲は絶対に捨てなければならない。愛、愛がなければ真の学校生活を送れない! それが私の信念だ!」


学校生活にどんだけかけてんだ。まあ、俺もハーレム生活にこの青春を賭けてるから同じようなもんか。

相川との対峙が終わると影から相川と共に探していた手芸部のみんなが集まってきた。集まってきたのを確認した相川はみんなと顔を合わせ、真剣な顔になり、


「手芸部のみなにも集まってもらったことだし、改めて君たちにお願いがある。縁か運命か君たちは精鋭のペキュラー達が集まり、信男くんを信頼している。だから、その愛と絆の力で学校の秩序を乱そうとする降星会を止めてほしい。頼む。」


「自分達で尻拭いができないからって俺達に任せるってあんたちょいと卑怯じゃないか? こんな奴の話を受ける必要はない。行こうモブ男。」

「待ちなさい、れんれん。」


信男はニヤッと笑みを浮かべ、立ち去ろうとする廉を止めた。


「その話、引きうけるよ。特にやることなんてないし、それにミッションが成功したら俺達、学校の人気もんだよ?」

「逆に失敗すれば、降星会とやらに潰されて学校にこれなくなるかもしれんぞ。」


「うっせー。俺のハーレム道はここで終わりじゃない。青春は後先考えずに行動するもんなんだよ!」


信男の声にみんながやれやれとなりながら参加することになった。(おそらく、魅力の効果かと思われるが)相川は信男に力強く握手し、


「君のその勇気、すばらしい! 早速だが、今度の体育祭でどうやら不穏な動きがありそうなんだ。メンバーを割り出すとともにリーダーも見つけてほしい。そして出来れば倒してほしい・・・。」


信男は、やってやるぜ。俺のハーレム道の邪魔になるならそのコウセイ会とやらもぶっ潰してやる。そしてかっこいい所みせてもっと多くの女の子とハーレムしたい!!誰もがうらやむハーレム王に俺はなってやる。と考えながらにっこりと笑みを浮かべ


「お任せください!」


連廉は彼の笑みが邪悪なものに見えて不安を覚えながら彼がどのような道を行くかを見届けるためただ見守り続けるしかなかった。


体育祭での不穏な動き、それはなんなんだろう。とにかく俺達は体育祭を前にある程度の情報を抑えたが、降星会のリーダーの素性は全く分からなかった。そうこうしているうちに体育祭も本番がきてしまった。


『さあ、皆さん待ちに待った体育祭でございます。今日はとても晴れ晴れとした・・・』


校長の長ったらしい前節の中、愛海さんが信男に近づいてきた。


「ちょっといいですか。」


「なんですか?」


「一応マークしてる人の動向確認してるけど、骨折り損じゃない? 一年、御笠 麗美(みかさ れみ)、甲斐 弾乃介(かい だんのすけ)、二年、天河 美琴(あまのがわ みこと)、二階堂 響(にかいどう ひびき)...。みなさん成績優秀で人当たりもいいと評判です。相川さんの情報自体もすごく曖昧ですよ。どうコンタクトをとるっていうんです?」


「まず、一年生の甲斐に聞いて見よう。それか、御笠さんをとりこにするのもいいかも。まあ、なんとかするよ。それより、気になってるんだけど、この情報のない松村 禅至(まつむら ぜんじ)って何者??」


「うーん、特に気にする必要はないと思いますが、念のため調べたところ彼は影が薄すぎて経歴を閲覧できませんでした。」


なんでこんな人引っかかってたんだろ。モブならあまり関係ないだろ。むしろ巻き込んじゃいけないよな。れんれんも・・・ホントは。

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