第19話

次の日、私は昨日よりも1時間ほど早くに学校に来ていた。編入テストの代わりにちょっとした実力テストをやるからと、昨日の帰りに先生に呼び出されていたのだ。




 テストは、国語、算学、共通語の3教科だった。前の学校ではまだ習っていない範囲もあったけど、沙羅に教えてもらっていたため難なく解くことができた。




 テストを終えた私は、瑛良たちと合流して高等部の教室を目指していた。


 今日の一限の授業は、全校生徒一斉に行われる作法の授業だ。


 全校生徒が一斉にやる理由は、指導役として一人一人に付くのが契姉だから。月曜日以外は毎日ある授業だ。作法といっても1種類ではなくて、茶道、礼儀作法、食事作法、音楽の4種類ある。


私たちは今日は茶道の作法を習う。




茶室に着くと、私たちよりも早く来ている人がいた。


「「失礼します」」


「どうぞ」




 教室にの中から返事があり、扉を開けて中に入る。入ってすぐのところに出席を取る先生が待機していた。




「学年、組、名前を教えてください」


「中等部3年1組下谷瑛良です」


「同じく浅木和葉です」


「同じく北澤柚希です」


「同じく高崎奏歌です」




 瑛良に続いて順番に名前を言っていく。




「4人とも契姉はまだ来ていませんね。全員揃うまで少し待っていてください」


「はい。分かりました」




 出席を取った私たちは、教室の外で契姉が来るのを待つ事にした。時計を見てみると授業が始まるまで30分程あった。




「そういえば、瑛良の契姉は今、療養中じゃなかったっけ?」


「うん。今日は代わりの先輩が来てくれるの。奏歌は?まだ契姉いないよね?」


「昨日、家でお姉様が候補の方を3人紹介してくれたの。今日はその中の1人の先輩が来てくれるの」


「そっか。……あれ?奏歌って姉がいるの?」




 あ。……やっちゃった。お姉様の事は秘密なのに。


どうしよう?誤魔化す?




『高崎っていうと、高崎綾沙たかさきあやさ様かな?」




 どうやって答えよう?と思った時、お契姉様おねえさまたちが来た。ナイスすぎるタイミングだ。瑛良たちもお契約 姉様たちに気づいた。全員、姿勢を正して挨拶を各々し始める。




「おはようございます、小晴お契姉様こはるおねえさま


「おはよう、奏歌。お契姉様だなんて、まだ契りを結んでいないのだから付けなくてもいいのよ?」


「いいえ、付けさせてください。体験とはいえお契姉様に変わりはないので」


「分かったわ。そろそろ中に入りましょう」


「はい、小晴お契姉様」

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