第24.5話①
注意:この話は凛歌目線の話です
とある古びた倉庫の暗い部屋の中に1人の少女が拘束されていた。
少女の名前は凛歌。本人は知らないが、御三家の1つである高星家の三女である。
自分の生い立ちについて何も知らない彼女は、訳がわからないまま、高星家を潰そうとする貴族によって捕らえられているのだ。
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目を覚ますとそこは真っ暗な世界だった。目が暗闇に慣れてきて周りを見てみるとこの部屋には私1人しかいないことがわかった。手と足はロープで拘束されていて、手を拘束しているロープは私の隣にある柱に繋がっていた。
部屋の探索は出来そうにないので、とりあえず今の状況を整理することにした。
学校の帰り道、歩いていたら突然、怪しい男たちが私の周囲を囲み、私の首に手刀を打ち気絶させた。
私は幼い頃から、役に立つからと両親から護身術を習っていたが、突然のことだった上に、相手が4人もいたので対応が間に合わなかった。
そんなこんなで今に至る。
状況整理の次は、自分の体を一通り見る。
どうやら怪我は無いみたい。服も異常はない。でも、学校のカバンともう一つ無くなっているものがあった。首に掛けてあったペンダントが無くなっている。
表には国旗、裏には星のマークと共通語で“KOUBOSHI”と書かれているペンダントだ。
このペンダントは私が12歳になった時に養母さんから貰ったものだ。養母さんが私の本当のお母さんから預かっていた物だそう。これを渡すとき養母さんは「とても大事な物だから」って言っていた。
私は何故大事なのか聞いたけど教えてもらえなかった。でもお母さんの形見だから学校に行く時でも、常に身に付けていた。
カバンを没収されたのは分かるけど、なんでペンダントまで取られたんだろ?素材がいいからかな?
そんな事を考えていたら部屋のドアが開き、近くのものが見えるくらいの明かりがつけられた。明かりをつけたのは1人の男だった。
「おっ?やっと起きたか」
「あなたは誰?誘拐の目的は?」
男とは距離がある為、男の顔までは見えない。少しずつこっちへと近づいている様で、だんだん男のシルエットが見えてきた。見た感じ、身長は170くらいかな?
「お前に名乗る義理なんてねぇよ。まあ、誘拐の目的ぐらいなら教えてやろう。理由はいくつかあるけど、1番は身代金だな」
「身代金?」
「ああ。100万ミルを要求したぜ」
「100万ミル⁉︎そんなお金うちにはありませんよ!」
100万ミルなんて払えるはずがない。この前、養父さんに1ヶ月の給料を聞いたことがあるけど、大体10万ミルだって言っていた。だから100万ミルなんて金額は借金をしなければ、とてもじゃないけど払えない。
「お金が目的ならなんで貴族でもなく、富豪でもない“平民”の私を選んだの?」
「何故?ってそこらの貴族や富豪よりもお前の方が稼げるからに決まってんだろ」
「うちにはお金なんてあんまり無いよ?」
そこらの貴族や富豪よりも稼げる?何を根拠に言ってるのこの人。平民なら誘拐しやすいとか?
「あのペンダントを持ってるってことは、お前“高星家こうぼしけ”の人間だろ?さっきから“自分は平民”だとか言って惚けてるけど」
「高星家?……あの御三家の?」
「この国に高星家なんて一つしか無いだろ」
本当に何言ってるのこの人。話を聞けば聞くほど話がややこしくなっていく。
私は“平民”で、しかも両親はもういない。私が6歳の時に亡くなっている。
親戚もいない私は、両親の親友だったという養母さんと養父さんに引き取られて今に至る。
そんな私が高星家の人間だなんてありえない。もし、仮にそうだとしても、とっくに迎えが来てるはず。
一つだけ気がかりなのは、あのお母さんの形見のペンダント。共通語で“KOUBOSHI”って書いてあるんだよ
ね。
「その話って本当なの?」
「その話ってペンダントのことか?」
「私が高星家の人間だって話」
私は気になったので男に聞いてみることにした。
……答えてくれるかはわからないけど。
「……お前、本当に何も知らないのか?まさかあのペンダントは偽物か?」
「リーダー‼︎大変です!」
「どうした⁉︎何があった?」
私たちが話をしていると、部屋に慌てた様子の男が部屋に駆け込んで来た。
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