第24.5話②

「交代で見張りをしていたらいきなり立石って名乗る男が来て……」

「立石?高星じゃなくてか?」


ドン!


いきなり大きな音と共に部屋のドアが蹴破られた。


「凛歌!」

「養父さん!」


部屋に入ってきたのはなんと養父さんだった。養父さんの後ろには鎧を身に着けた二人の男性だった。

こんな状況なので2人が誰なのか気にしている余裕はない。


「おまえは誰だ?」


リーダーと呼ばれた男が声を大にして叫んだ。


「私は凛歌の養父親だ!娘を返してもらいに来た!」

「嘘をつくな!俺は知っているぞ!この小娘が高星家の人間だってことをな!」

「何!?」


高星という名を聞いた瞬間、養父さんは驚いた表情をしたがすぐに厳しい顔でリーダーを問い詰めた。


「何故それを知っている?どこで聞いた?」

「こいつだよ!」


そう言って男が乱暴にズボンのポケットから取り出したのは、私の大切なペンダントだった。


「ペンダントを返して!」


ペンダントを見た瞬間に私は叫んでいた。

だが、男は私の言葉に気を留めることなどせず話始めた。


「これは、高星家の人間だけが持つことを許されているペンダントだ。これを持っているだけで高星家であることの身分証明書にもなる。裏の業界の奴なら誰でも知っている情報だ」

「養父さんどういうこと?なんでそんな凄い物を私が持っているの?」


男の話をきいて私は叫んだ。高星家の身分証明書をなんで平民の私が持っているの?

ペンダントをくれたお母さんは何者なの?わからないことが多すぎる。


「凛歌……すまん。話は後できちんとする。その前にお前を助ける」


養父さんはそう言うと、鎧を身に着けた2人と共に剣を振るって戦い始めた。

私たちが話している間に外や、隣の部屋に居た敵がこの部屋に集まっていたようで、敵の数が増えていた。


「おい!そこの3人は小娘の見張りをしろ!絶対に逃がすなよ」


リーダーの指示を受けた男が3人私のもとへ来た。

そのうちの1人が下を向いていた私の顔を覗き込んできた。


「ん?お前、意外とかわいいな」


それを聞いた他の2人も私の顔や体を撫でまわすように見てきた。


「少しくらいならいいよな?」

「傷つけなければいいだろ?」

「リーダーには何も言われてないしな」


そして2人がかりで押さえつけられ、残りの1人が私の制服のボタンをはずし始めた。しばらくするとブレザーやブラウスを脱がされ、上半身が下着だけになった。

今からされることを想像した私は、恐怖心から体が小刻みに震え始めた。


「やっ、やめ……て」


声を出すことがやっとな私は、もちろん抵抗など出来ない。

男はさらに下着の上から胸を触り始める。

その手の感触が気持ち悪くて、私は強く目を瞑った。


「そろそろ下も見せてもらおうか」


男はそう言うとスカートのフックに手を伸ばした。

フックが外れ、チャックが下げ始められたとき、私の目から涙がこぼれた。


「そこまでだ!娘は返してもらう!」


あと少しでスカートも脱がされるというとき、リーダーたちを片付けた養父さんが駆け付けた。

私の周りにいた3人も養父さんが首に手刀を打ち気絶させた。


「お、とうさん……」


私の姿を見た養父さんは少し気まずそうに私の手足の拘束を解き、自分が来ていた上着を私にかぶせてくれた。


「凛歌、迎えに来るのが遅くなってしまってすまない」

「……遅くなんてないよ。助けてくれてありがとう」

「娘なんだから当然だ。あと、これを返そう」


そう言って養父さんが差し出してきたのは、私のペンダントだった。

ペンダントを受け取った私は、さっき聞けなかったことを聞いた。


「養父さん……私って誰なの?」

「……説明するから私に着いてきなさい」


養父さんは私が捕らえられていた廃倉庫から出ると、近くに停められていた馬車を見つけ、馭者に声をかけてから乗り込んだ。

続いて私が乗ると、さっきの鎧の2人も馬車に乗ってきた。

男の人を見た私は、さっきの襲われた記憶がよみがえり体が再び震えだした。

私を助けてくれた人たちだと自分に言い聞かせて、しばらくすると震えが少しずつ治まってきた。


そして、馬車は走り出した。なぜか一度家によって、高そうな服に着替えさせられた。

馬車に戻ると養父さんも高そうな服に着替えていた。

全員が戻ったことの確認が取れると、行先が告げられないまま再び馬車は走り出した。


馬車の窓が閉じられていたため、どこを走っているのかもわからない。

出発から3時間くらいたったとき、ようやく馬車は止まった。


そしてついた場所は……   


貴族の屋敷だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る