第15話

先生はそう言って教室へ入っていった。しばらくすると、朝の会をする声が廊下に聞こえてきた。


 「皆さん、おはようございます」

 「「おはようございます」」

 「突然ですが今日からこのクラスに編入生が加わります。入ってきてください」


私は呼ばれたので教室へ入った。入った瞬間にクラス中から視線が私に集まる。と言ってもこの学校は1クラスに15人しかいないんだけどね。


 「では、自己紹介をお願いします」

 「はい」


私はチョークを手に取り、黒板に名前を書いた。


 「高崎奏歌と言います。公立のほとぎ中学から来ました。今日からお願いします」

 「ありがとうございました。奏歌さんの席は1番窓側の列の1番後ろの席です。隣の席は……瑛良さんですね。いろいろ教えてあげてくださいね」


なんと!隣の席になったのは、さっき教員室まで案内してくれた瑛良えいらちゃんだった。

“また会おうね”と約束した私たちは、再会を果たした。


 「同じクラスだったんだね」

 「うん。隣の席が瑛良ちゃんでよかった」


私が席に座ると先生は朝の会を再開した。


 「この学園は少し特殊な制度などがあるので、皆さん、奏歌さんに教えてあげてくださいね。連絡事項は他にないのでこれで朝の会は終わりましょう」


 「起立、礼」


学級長の挨拶で朝の会が終わると、2人の子が私の方に来た。


 「おはよう、瑛良と奏歌ちゃん!」

 「おはよう、柚希、和葉」

 「えっと……」


どうすればいいかわからなくて、戸惑っていると瑛良ちゃんが2人を紹介してくれた。


 「紹介するね。さっき挨拶した方が北澤柚希きたざわゆずき。その隣にいるおしとやかな方が浅木和葉あさぎかずは

 「高崎奏歌です。よろしくね」

 「こちらこそよろしく!」


1限が始まるまで3人のことを教えて貰った。

和葉ちゃんと柚希ちゃんは一等貴族なんだって。3人は幼なじみで、凄く仲がいいんだって!


2人が席に戻った時に先生が教室に入ってきた。

1限目は社会の授業だ。

ちなみに私は初日ということで、先生から許可を貰い瑛良と机をくっつけている。


瑛良にわからないことを教えてもらいながら、なんとか午前中の授業を終えた。

この学校の昼食は弁当か食堂を利用するかのどちらかだ。

私は弁当を持ってきた。瑛良ちゃんたちに誘われ、4人で教室で食べることになった。


 「ねぇ奏歌、公立の中学と比べて授業はどうでしたか?」

 「前の学校に比べると内容は難しいかな」

 「でも先生の質問に答えていたよね?」

 「それは、家でお母様に教えてもらっていたからなの」

 「そうなんだ。すごいお母様ね」


私たちは、午前の授業のことや、私が前に通っていた学校のことを話しながら弁当を食べた。

私は心の中で、この情景だけ見ればお嬢様学校とは思えないなと思った。

食べ終わって時計を見てみると、まだ昼休みは20分ほど残っていた。

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