平民の私がある日いきなり大貴族に⁉︎

流歌(瑛良)

第1話

私は、高崎奏歌たかさきそうか、14歳。

私には父親がいない。物心ついた時にはもういなかった。それでも、お母さんと二人で毎日楽しい日々を過ごしていた。


「奏歌、朝ごはんだよ」

「今行くね!」


お母さんに呼ばれた私は返事をしてすぐに階段を下り、1階のリビングの食卓に向かった。

私が行くと、お母さんはもう席に座っていた。私も座って、二人で食べ始める。


「「いただきます」」


今日の朝ごはんは和食だった。お母さんの作る料理は全部美味しいんだけど、その中でも卵焼きは絶品なんだ。熱々の炊きたてご飯とお味噌汁を頬張りながらお母さんと、たわいもない話をしながらご飯を食べた。


「ごちそうさまでした」


私は食べ終わるとお皿を洗い、部屋に戻った。今日は土曜日だから学校はない。何をしようかと考えながら2階へと上がる。そして部屋のドアを開けると、んっ?


「あれっ?ここ私の部屋だよね?」


私は部屋の中を見て一瞬考えた。

なぜなら、部屋の中には知らない人達がいたから。

貴族の服を着た身分の高そうな女の人が一人。その横には、側仕えと護衛らしき人が一人ずついる。


「あのー……えっと、誰、ですか?」

「あなたが奏歌さんですか?」


さっきまで下にいたけど、玄関から入ってきた人はいなかったなとか考えながら、名前を聞いてみる。

そしたら逆に名前を聞かれた。しかも、何故か私の名前を知っている?


「まぁ、そうです。で、あなた方は?」

「勝手に部屋に入ってしまってごめんなさいね。」

「私たちは奏歌様をお迎えしに参ったのです」

「お迎え、です、か?私を?」

「はい。そうです」


なんと、この人たちは私を迎えに来たのだと言う。

それにしても、私にはこの人たちに迎えに来てもらうような事をした記憶はない。


「あのー……私、何かしましたっけ?」

「奏歌?部屋に誰かいるの?」


私しかいないはずの部屋から会話が聞こえてくることを不思議に思ったのか、お母さんが言った。


「奏歌?入るよ?」


ドアを開けて部屋に入ってきたお母さんは、女の人を見た途端に目を見開いたまま固まってしまった。


「えっ⁉︎あっあの、あなた方はもしかして高星こうぼし家の方でしょうか?」


お母さんは一瞬驚いたあと、相手を敬うような口調で静かに聞いた。


「はい、私は高星家の当主を務めている高星瑠歌こうぼしるかと申します」

「やはりそうでしたか。まさか当主様自ら来てくださるとは思っていませんでした」

「今日は話があってここへ来ました」

「お話はリビングで伺います。こちらへどうぞ」


お母さんはそう言うと3人を連れて1階へ行ってしまった。私が付いて行こうか迷っていると階段の方からお母さんの声が聞こえた。


「奏歌は呼ぶまで2階で待っていなさい」

「わかったー」


私は待っていてと言われたので、自分の部屋でおとなしく待つ事にした。とはいえやることがないので一度、今の状況を整理してみる事にした。


あの女の人の苗字って高星だったよね?聞いたことあったよーな?なかったよーな?

 しばらく一人で考え込む。すると、先日テレビで流れていた情報を思い出した。


「あっ!高星って、前にテレビで特集していた貴族だ!」


高星家といえばこの国の王族の血を引いていて、国王の補佐をしている家の一つだ!国王の補佐というのは、一般に大臣とも呼ばれている王様の次に偉い役職なんだよね。


でも、そんな家の人が私に何の用事があって迎えに来たんだろう?いくら考えても分からない。

私が考えていると誰かが部屋のドアをノックした音が聞こえた。


コンコン


「はーい。どうぞ」


返事をすると、瑠歌様の側仕えの人がいた。


「失礼します。奏歌様、お母様がお呼びです」

「分かりました。今行きます」


私は呼びに来てくれた側仕えさんと一緒にリビングへ行った。


私がリビングへ行くとお母さんが真剣な表情で待っていた。私はその様子からよほど大事な話を今からされるんだと思った。


「奏歌、そこに座ってくれる?」


私が椅子に座ったのを確認して話し合いが始まった。

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