第13話

「おはようございます、お嬢様」

「…おはよう」


桂花けいかに起こされた私は、少し寝ぼけた声で返事をした。

時計を見てみると、まだ5時半だった。


「ま、ぶしい……」


窓の方を見てみると、千佳ちかがカーテンを開けている最中だった。私は太陽のまぶしさで、眠気が覚めたので起きることにした。


私がベットから降りると、桂花がクローゼットから制服を持ってきた。

もちろん、ソリーナ女学園の制服だ。

新しい制服にワクワクしつつ、桂花の指示に従って着替を進めた。


着替が終わると、洗面台で顔を洗った。冷たい水が気持ちいい。


 「お嬢様、こちらへお座りください」


桂花に言われて、鏡の前の椅子に座った。


「お嬢様、今日はどのような髪型にしましょうか?」

「昨日と同じで、ハーフアップにしていただけますか?」

「かしこまりました」


今日は登校1日目なので、昨日、評判の良かったハーフアップにすることにした。


「留める時に使うバレッタはどれになさいますか?」


そう言って桂花が差し出してきたのは、白色のバレッタと銀色のバレッタだった。2つともリボンが付いているタイプで、とても可愛い。

ソリーナ女学園の制服はブレザーもスカートも紺色で統一されている。スカートの裾には白色のラインが入っている。


白色のバレッタは、白色のリボンの部分に紺色の線が入っていたので、これを付けることにした。


「白色のバレッタにします」

「かしこまりました」


髪を結い終わった私は、朝食をとるためにダイニングへ向かった。

ダイニングへ行くと、既にお姉様が朝食を食べている最中だった。

私は自分の席に着く前にお姉様のところへ行き、挨拶をした。


「お姉様、おはようございます」

「おはよう、奏歌」


私は挨拶をして自分の席に着くと、朝食を食べ始めた。


「お姉様、お母様はもう朝食を召し上がられたのですか?」


私が食べ始めて10分程経っても、まだお母様は来ていなかった。


「お母様は仕事があるので、自室で召し上がるそうです。奏歌、私も生徒会長の仕事があるので先に失礼するわね」

「いってらっしゃいませ、お姉様。お仕事頑張ってください」


お姉様も行ってしまい、私は広いダイニングで1人、静かに朝食を終えた。

朝食の後は、すぐに自室へ戻り、学校の支度をした。

支度を終えた私は、千佳と一緒にお母様の部屋へ行った。


「おはようございます、お母様」

「おはよう、奏歌」

「今から学校へ行ってまいります。手続きなどをしていただきありがとうこざいました」


なんとお母様は、私が高星こうぼし家へ戻ると決めてからの1日で、制服を揃えたり、転入手続きをしたりしてくださったのだ。


「正確には、私の文官がやってくれたのよ。それと、学校に行くにあたって1つお願いがあるのだけどいいかしら?」

「はい。何でしょうか?」

「学校ではしばらくの間、高星ではなく高崎の姓を名乗ってもらってもいいかしら?」

 「高崎をですか?」


お母様によると、まだ世間に私が高星家の人間だということを発表していないので、高星を名乗ると混乱を招く恐れがあるという理由だった。


「はい。そういう事情があるなら、そういたします」

「学校では権力の行使などの禁止事項があるから気をつけてねそれと、生徒会長は瑠歌だから、分からないことがあったら頼りなさいね」

「はい、わかりました。それでは行ってまいります」


私は、馭者の花崎に馬車を出してもらい、千佳と一緒に学校へ行った。

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