第3話

〈瑠歌目線〉


私が4歳の時に妹たちは生まれました。私はお父様たちに妹か弟が欲しいとせがんでいたので、妹たちが生まれたときは飛び跳ねて喜びました。

しかも妹たちは双子だったので、私には妹が一度に2人もできたんです!


双子の姉には『奏歌そうか』、妹には『凛歌りんか』と名前が付けられました。


私にとって2人は天使のような存在で、毎日2人の部屋に遊びに行きました。私は絵本を読んであげたり、歌を歌ってあげたりしました。


2人の成長は早く、1歳になる頃には私のことを「ねぇね」と呼ぶようになったり、ハイハイで歩き回ることができるようになっていました。


その頃、幸せな毎日を過ごしていた私たち家族が離ればなれになるような、のちに国家史上最悪の事変と呼ばれる出来事が起こりました。


そう、『レント事変』です。


私たちが生活している国、『レント王国』には、名前の通り王様がいて、王様を中心に国家が成り立っています。そんな王様を支える役職である『大臣』は、代々王族の血を引く『御三家』と呼ばれる高星こうぼし家、藤堂とうどう家、梅園うめぞの家が務めてきました。お父様とお母様も代々引き継がれるこの仕事に誇りを持っていました。


ですが当時の王様が貴族に対して、権力を振りかざして無茶な政策を何度も強行したことで、一部の貴族が反乱を起こしたのです。

その反乱の対象は元凶である王様や王妃様だけでなく、その補佐役である御三家も入っていたのです。


反乱が起きてから1週間が経つ頃に王様と王妃様が反乱軍に捕らえられ、御三家に手が及ぶのも時間の問題となりました。

お父様とお母様は自分たちが捕らえられた後、幼い私たちが連座になることを恐れました。そこで、私をお母様の実家に預けること、妹たちはそれぞれの乳母の家に養子として預け、隠し育てることを決めたのです。


私たちがそれぞれ、家を出た2日後にお父様とお母様は反乱軍に捕らえられました。

反乱軍は子供を巻き込む気は無かったようで、私たちは捜索すらされずに済みました。

その後の貴族たちの話し合いにより、処刑されるのは御三家の当主と王様だけになりました。


お父様たちが処刑された後、お母様たちは解放されました。それと同時に政権も王族に帰ってきましたが、以前よりも貴族たちの意見を多く取り入れる政治に変わりました。さらに、これから先の王の座や、御三家の当主の座には女性がつくことが定められました。


解放された王妃様が王の座につき、反乱軍を捕らえたことでこの事変は終わりました。


お母様が解放された後、私は家に戻りましたが、妹たちはこれから先のことが分からなかったため呼び戻すことはされませんでした。

あれから14年が経った最近、ようやくこの国は、事変の影響を乗り越え、経済なども回復し、政治が安定してきました。

お母様は妹たちの年齢を考え、御三家の者としての教育を受けるためには今が呼び戻すタイミングだと判断しました。

それを受け、私は妹たちを家に呼び戻すことになったのです。

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